2016年(平成28年)5月9日から京阪電車×宇治市『響け!ユーフォニアム』スタンプラリーの2期目(vol.2)が始まりました。
『響け!ユーフォニアム』 は、2015年(平成27年)4月より放映されたテレビアニメーションで、京都府宇治市の周辺が作品の舞台となっています。
現在は劇場版映画が公開中で、テレビシリーズ2期の制作も決定しています。
今年の春から京阪電車さんと宇治市がタイアップしたスタンプラリーが全4期に分けて開催されており、3月31日から5月8日にかけて行われた1期(vol.1)には初日に参加しました。
その日の話は上の記事に詳しく。
2期目以降はどうするか未定でしたが、昨日、午後から時間が空いたこともあり、観光とハイキングがてら宇治市へ。
前回は京阪宇治駅を起点としましたが、今回はJR宇治駅を起点とします。
…スタンプラリー○期(全4期)という区分はマスメディアさんの報道に従ったものですが、アニメのシーズンと紛らわしいですね。
追記しておきますと、アニメ2期でもスタンプラリーが実施されることになりました。
今回はスマートフォンアプリ「舞台めぐり」を使用したデジタルスタンプラリーです。
デジタルスタンプラリー|京阪電車×響け!ユーフォニアム2|京阪電気鉄道株式会社
https://www.keihan.co.jp/traffic/specialtrain-goods/euphonium/stamprally.html(リンク切れ)
第1弾は2017年(平成29年)1月21日から2月20日まで。
追記終わり。
目次
宇治川散策
宇治市観光案内所。JR宇治駅前。
『響け!ユーフォニアム』スタンプラリー2期目(Vol.2)のスタンプポイント。
スタンプラリー1期では京阪宇治駅、宇治茶道場「匠の館」さん、JR宇治駅の3ヶ所がスタンプポイントでしたが、2期ではJR宇治駅が外れ、替わりにJR宇治駅前の宇治市観光案内所さんがポイントとなります。
よく見ると、上の写真にもスタンプ捺印台が写っています。
愛宕山と比叡山を遠望
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
愛宕山 | 24.3km | 924m | 京都府京都市右京区 | |
四明岳 | 19.2km | 838m | 京都府京都市左京区 | 都富士 |
大比叡 | 19.3km | 848.1m | 滋賀県大津市 京都府京都市左京区 |
字が重なるため示していませんが、大比叡は四明岳の右(東)の山です。
昨日は青空が広がる良いお天気でしたが、夕方が近付くにつれ遠霞みの白んだ空となってしまいました。
この橋も銘板では「うじはし」と「橋」が濁らない平仮名表記だなと横目に見ながら、宇治橋を渡り、JR宇治駅から京阪宇治駅へ。
京阪宇治駅でスタンプを押し、朝霧通りを南下、匠の館さんで最後のスタンプを押します。
朝霧橋を渡り中の島へ。
※
「うじばし」など、口語では「~ばし」と呼ぶケースでも、橋名板で「橋」を平仮名で表記する場合にかぎり、「はし」と濁らないのが通例です。
これは「大雨で川の水が濁ると橋が流される(から避ける)」の縁起担ぎによるものとされており、法的に定められたものではありません。
連濁の基本的なルールとして、連体助詞(格助詞)を挟まない地名+橋のケースでは「~ばし」と濁りますので、宇治橋の読みとしては「うじばし」が正しいと考えられます。
橘島から仏徳山(大吉山)を望む
宇治川に架かる朝霧橋西詰(橘島)から仏徳山(大吉山)、宇治神社さんを望む。
『響け!ユーフォニアム』の作品中、久美子さんと麗奈さんがナイトハイクするシーンでお馴染みの大吉山展望台の山ですね。
やや分かりにくいですが、西麓にあたる宇治神社さんも朝霧橋の向こう、宇治川の対岸に写っています。
スタンプラリー3期(vol.3)と大吉山展望台の話は上の記事に。
仏徳山(大吉山)ならびに朝日山の歴史と由来についても詳細に解説しています。
スタンプラリーのプレゼント受渡し場所となる宇治市観光センターさんは、橘島から橘橋を渡って南下しても行けますが、塔の島から喜撰橋を渡り、あじろぎの道を北上することにします。
塔の島から観流橋と朝日山を望む
塔の島(中の島)から宇治川、観流橋、朝日山を望む。京都府宇治市。
山肌を染める白いモコモコはシイの木の花で、この季節の里山で目立ちます。
塔の島から宇治川の対岸に観流橋が見えています。
ほぼ全ての方が誤解なさっていますが、山頂で朝日山観音さんがお祀りされる朝日山(標高124m)は、右で目立つ山ではなく、左奥(観流橋の上)の目立たない山です。
観流橋は宇治発電所から流れる水路が宇治川に流入する地点に架かっており、上流には宇治発電所や興聖寺さんが所在します。
後のち、スタンプラリー4期(vol.4)で宇治を訪れた際、観流橋側から塔の島の十三重石塔を撮影しました。
その話は上の記事に。
久美子さんのクリアファイルと宇治イラストマップ。
京阪電車×宇治市『響け!ユーフォニアム』2016スタンプラリー(2期目)。
無事に2期目のクリアファイルも入手しました。ありがとうございました。
『響け!ユーフォニアム』のスタンプラリー2期目(vol.2)は6月19日まで(→5月19日にクリアファイルの配布が終了しました)。
観光センターから外に出てみると、観光でいらっしゃったらしきお年寄りのグループの方々が、皆さん、「久美子はん」絵柄のファイルを手にしていらしゃいます。
最初は見間違いかと思いましたが、改めて周りを見渡してみると、そのグループの方々にかぎらず、多くの方々が赤いファイルをお持ちでした。
直接、お尋ねしたわけではないので推測の域を出ませんが、どうも観光案内の方がスタンプラリーのことを広めていらっしゃるようです。
この後、ちょっとした用事を片付けるべく、太陽が丘(府立山城総合運動公園)へ向かいましたが、なんと木曜日は休園日で徒労に終わってしまいます。
せめて、どこかで宇治観光か、あるいは軽く山登りしてから帰ろうと考えますが、三室戸寺さんはシャクナゲが終わり、アジサイには早いという「合い間」の時期。
どうしたものか迷いましたが、今年の元日に豊国廟を参拝した際の記事でネタ振りをしていたことを思い出し、天下峰を登ることに。
豊国廟の話は上の記事に。
宇治市の天下峰(てんかみね)は太閤豊臣秀吉ゆかりとされる山で、『響け!ユーフォニアム』で「吹奏楽部取材協力」としてクレジットされる東宇治高校の裏山(あるいは奥の山)にあたります。
ただし、作品の舞台である学校の外観などは、黄檗駅から上った先にある莵道高校がモデルで、そちらの裏山は高峰山や五雲峰です(萬福寺さんの裏山)。
作品中、背景ロケーションとして御蔵山の住宅地を通学する風景が描かれますが、御蔵山や平尾台のあたりは1960年代以降に開発が進むまでは山続きで、それ以前の地形図では御蔵山や平尾山の山名が示されています。
このあたりは宇治市とは申し上げても京都市伏見区(日野や醍醐)との市境に近く、いずれも古くは山城国宇治郡にあたる地域でした(ややこしいですが、JR宇治駅や平等院さんなど、宇治川の左岸にあたる地域は山城国久世郡に属しました)。
東宇治高校や平尾台の奥(東)には「山科自動車教習所」が所在しますが、「山科」を称しているものの、住所としては京都市伏見区日野にあたります。
地理院地図では自動車教習所の付近から市境に沿った天下峰の登山道が破線路で示されていますが、あまり一般的なコースではないようです。
五雲峰や大吉山の山名の由来は「黄檗十二勝」では、といった話は上の記事に。
京都府宇治市 天下峰を登山
天下峰の登山は南の炭山~長坂峠(京都府道242号二尾木幡線)から登るコースが短く、登山口の標高も高いため容易でしょう。
ただし、このコースは現行の地理院地図には表示されません。
他には東の上炭山から供水峠を経て登るコースや、京都市側にあたる日野から供水峠を経て登るコースが知られています。
昨日は日野からのコースを選びました。日野薬師さんの奥から入山します。
補足しておきますと、宇治駅から公共交通機関を利用してアプローチするには、京阪かJRの六地蔵駅から「日野誕生院」行きの京阪バス日野六地蔵線に乗車。
日野、日野薬師、終点の日野誕生院、どこの停留所でも構わないので下車し、「方丈石」の道標に従い、東の山のほうへ向かう道を取ります。
方丈石は名所旧跡としてよく知られており、古い道標がそこかしこに見受けられますので、迷うことはないでしょう。
日野で下車するほうが道は太く分かりやすいですが、日野薬師の停留所で下車するのが最短です。
今後は御蔵山六地蔵線の「なごみの里病院北」「日野田頬町」停留所のいずれかを利用しましょう。
なごみの里病院北の停留所から日野川を渡って東進すれば、日野の交差点(日野のバス停が所在した地)です。
地下鉄東西線の石田駅から日野野外活動施設まで歩く(登る)のも良いでしょう。
「長明方丈石みち」日野岳・天下峰登山口。京都市日野野外活動施設の脇。
天下峰から供水峠を挟んで北は日野岳(日野山)に連なります。
日野岳は日野の奥にあたる山で、『方丈記』の作者である鴨長明隠棲の地として知られます。
細川幽斎(藤孝)から長明の話を聞いた秀吉さんが、日野山の方丈石を伏見城に移した、とする伝説もあります。
バイクや自転車の進入を阻むため、日野からの登山道は「故意に」倒木で塞がれており、それを乗り越えながら登ります。
遠足などで地元の子どもらも登る山であることを考えると、他の手段はないものかとも。
ギンリョウソウ
自然観察の関係でしょうか、ギンリョウソウを示す札が山中に付けられていました。
「ユウレイタケ」「ユウレイソウ」の別称も併記していますが、やはり、ユウレイ峠(ユウセン峠)が近いからでしょうか。
すでに褪せているため分かりにくいですが、写真では右下と左下に1輪ずつ写っています。
この地点に限らず、山中ではちらほらギンリョウソウを見掛けましたが、いずれも変色が進んでいました。
4月下旬に大阪府で撮影した写真を。
ギンリョウソウ。純白の花。鉢伏自然歩道にて。大阪府茨木市。
上の写真のみ2016年4月下旬撮影。
鉢伏山や「彩都あかね」を訪れた際に撮影した写真です。
京都北山の標高が高い山や、それに大峰山脈や台高山脈の高峰では6月に咲いているのを見掛けますが、北摂の標高が低い里山では4月の下旬に汚れない綺麗な姿を見せていました。
供水峠でムササビと出会う
供水峠の下の祠に着くと、御供水の横の樹をするすると巻きながら上っていくムササビさんの姿が。
動きが素早く、広角レンズで遠くから写真を撮影できるような状況ではありません。
供水峠でムササビさんを見たのは初めてでしたが、私は昔からムササビ運のようなものに恵まれているようで、私にとって馴染みある大文字山で見掛けるのはもちろん、昨年の夏、他の方と愛宕山を登った日も、ごく近い距離で観察できました。
それと引き換えに? なぜだか昔からリスさんとは縁がありません。
補足しておきますと、牛尾山(音羽山)の牛尾観音さんや、醍醐寺さんの上醍醐の森にもムササビが棲息していますので、同じ山域(醍醐山地)の供水峠に現れてもおかしくはありません。
供水峠の石清水(御香水)
現代においてはこれを御供水と見なしておけば良いでしょうが、厳密に申し上げれば、峠の東の谷(供水の谷)に湧いたとされる弘法大師空海ゆかりの石清水が「供水」の由来だと考えられます。
どうやらムササビさんも湧水をいただきに下りてきたようですね。
「こうすいとうげ」とも「こうずいとうげ」とも呼ばれる供水峠の話や、鴨長明ゆかりの日野岳の話は上の記事に詳しく。
上で少し触れた細川幽斎の話も紹介しています。
一般的に石仏の地点も広く供水峠と呼ばれるようですが、ここはいわゆる「峠」ではありません。
付近の弘法大師堂にもお参りし、少し山を登り、「峠」としての供水峠に着きます。
日野からの登山道は京都市伏見区にあたりますが、供水峠の上は宇治市との市境にあたります。
この峠を東に乗り越えると宇治市炭山(上炭山)で、北の尾根を登ると日野岳の山頂、南の尾根を伝うと天下峰の山頂です。
炭山でも上炭山地区のあたりは「すみやま」ではなく「はいやま」と呼ぶ(呼んでいた)ようですが、これも時代によって異なるため、はっきりとは分かりません。
炭山から、さらに東の山を越えると笠取地区で、これは『方丈記』に「峯つゞき炭山を越え、笠取を過ぎて、岩間にまうで」と見える巡礼の道のりです。
追記しておきますと、『響け!ユーフォニアム』アニメの2期では笠取のアクトパル宇治さん(宇治市総合野外活動センター)が描かれました。
事前に笠取を話の種にしていたのは偶然です。
昨日は天下峰を登ることが第一の目的であるため、南の尾根を取ります。
供水峠のすぐ南の小ピークはバラック小屋があるため、そちらは避けて道なりに巻くほうが良いでしょう。
山頂のすぐ北に所在する北峰を通過、あるいは微妙に巻き、南峰にあたる天下峰へ。
天下峰の山頂
天下峰の山頂。標高348m。京都府宇治市。
現在のところ、当地の天下峰の呼称は豊臣秀吉に由来する説が知られていますが、他地域の「天下」には「天ヶ(雨ヶ)」に通じるケースが見受けられます(「下」は格助詞である可能性)。
天下峰の山頂付近は地元の方々によって整備されていますが、展望はありません。
昔は供水峠からの見晴らしが良かったと聞きますが、今となってはそれも期待できません。
好展望地として知られる日野のパノラマ岩が近いため、他所を切り開く必要もないのでしょう。
もし、山頂から西向きが開けていれば、眼下に六地蔵駅や木幡駅のあたりが見えるはずです。
天下峰。山頂の「長坂峠・炭山← →供水峠・日野岳」道標。
周辺山域において、やや古い道標ではいずれも「日野岳」としています。
南に送電鉄塔を経て長坂峠・ゴルフ場・炭山方面へ下山できますが、昨日は北の供水峠へ引き返しました。
天下峰から木々の合間に高度を下げた西日が覗きますが、どうやら低い空は霞んで遠くは見えにくいようです。
これでは日野岳の奥のパノラマ岩まで足を延ばす気が起きませんが、せめて、山頂だけでも踏んでおくことに。
宇治市・京都市伏見区 日野岳
日野岳(日野山)の山頂
ちょうど、西日が石積みの向こうに沈んで見える時間帯でした。
日野岳は宇治市と京都市伏見区の市境に所在し、山頂は両市に跨りますが、標高点は僅かに宇治市側に所在します。
「パノラマ岩」と呼ばれる展望地はその逆で、僅かに伏見区側に所在します。
「ひのやま」(日野山)の山名標と「←供水峠・ユーレイ峠→」道標。
「ユーレイ峠」は「ユウレイ峠」や「ユウセン峠」とも呼ばれます。
現状、この標高点373m峰は「日野岳」の表記が一般的で、山頂の山名標も大半が「日野岳」を採用しています。
ですが、地元の幼稚園さんか保育園さんが設置したと思わしき山名標では「ひのやま」(日野山)としており、どちらの表記も混在しているようです。
『方丈記』では「日野山の奥に跡を隠して」と見えるように、古くは「日野山」のほうが一般的だったのかもしれません。
ただし、明治時代の小学校用の地方誌読本では、当山を「日野岳」と教えていたことが確認できます。
これは紫式部の歌に由来すると考えていますが、話が長くなるので別の機会に。
天下峰は単独で登られることが少ない山で、基本的には日野岳や東海自然歩道と組み合わせてハイキングやトレイルなさる方が多く。
仏徳山(大吉山)と異なり、『響け!ユーフォニアム』の聖地探訪で取り上げられるような山でもありませんが、地元に根ざした里山と言えるでしょう。
日野岳の山頂の先にあるパノラマ岩については上の記事に。
天下峰(地理院 標準地図)
「天下峰(テンカミネ)(てんかみね)」
標高348m
京都府宇治市
「日野岳(ヒノダケ)(ひのだけ)」
別称として「日野山(ヒノヤマ)(ひのやま)」
標高373m
京都府宇治市、京都市伏見区
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