交野山から「あべのハルカス」開業カウントダウン「99」を撮影

2013年11月28日の話。
この日は大阪府交野市に所在する交野山(こうのさん、こうのざん)をトワイライトハイキング。
強い風が吹き荒れる観音岩の上、六甲山から明石海峡大橋、淡路島の北端から南端、紀淡海峡や友ヶ島、和泉山脈に至るまで条件よく眺望できましたが、それどころか、果ては紀淡海峡の向こう、紀伊水道を越えて四国の端まで見えています。
これは日没後のイベントも期待できるのではないかと胸が高鳴ります。

交野山から高取山の向こうに小豆島の一部を遠望 大阪府交野市 2013年11月

交野山から四国、淡路島、明石海峡大橋を遠望 生駒山地北部

2013.12.18

日没に至るまでの大雑把な話は前回の記事に。今回はその続きです。

大阪府交野市 交野山「観音岩」からの展望・眺望

「あべのハルカス」のカウントダウンの話の前に、前回までの記事で掲載する機会がなかった京都方面の写真を。

京都盆地 方面

交野山「観音岩」から京都・北摂方面の景色を望む 大阪府交野市 2013年11月
交野山から京都・北摂方面の景色を望む。
撮影地点から千頭岳(滋賀県大津市、京都市伏見区)まで23.7km。
愛宕山(京都市右京区)まで31.1km、石堂ヶ岡(大阪府茨木市)まで22.1m。

石堂ヶ岡の手前は茨木市方面、音羽山の手前は宇治市方面となります。
比良山地や剣尾山なども写っていますが、広角では分かりにくいものがあります。

比良山地、比叡山 方面

交野山から伏見桃山城、大文字山、比叡山、蓬莱山などを望む 2013年11月
交野山から伏見桃山城、大文字山、比叡山、蓬莱山などを遠望する。
撮影地点から比良山地最高峰の武奈ヶ岳(滋賀県大津市)まで55.7km。
大文字山(京都市左京区)まで27.5km。

伏見桃山城の天守閣(模擬天守)や、ガーデンミュージアム比叡さん(四明岳)の展望台ははっきり写っていますが、リサイズしてしまうと蓬莱山のリフト山頂駅は分からないですね。

京都タワーを遠望

交野山から皆子山、京都タワー、平安神宮の大鳥居などを望む 2013年11月
交野山から京都タワー、平安神宮さんの大鳥居などを遠望する。
撮影地点から京都府最高峰の皆子山(京都市左京区、滋賀県大津市)まで47.5km。

左端、杉ノ峠の鉄塔(花脊の鉄塔)もはっきり写っていますね。
平安神宮さんの大鳥居の後方に見える丘陵は吉田山です。
写真の中央には「法」の字跡(火床)が写っていますが、お分かりいただけるでしょうか。
「妙」の火床は京都タワーの後方、真後ろにあたりますが、字跡が読み取りにくく、点火していないと分かりにくいです。

五山送り火「法」の火床を遠望

交野山から五山送り火「法」(松ヶ崎東山)の火床を望む 2013年11月
交野山から五山送り火「法」(松ヶ崎東山)の火床を撮影する。
撮影地点から「法」の最上段まで30.6km。

いわゆる「京都五山送り火」のうち、「妙法」の「法」の山(松ヶ崎東山)。
これならお分かりいただけるかと思います。

高槻駅の周辺 方面

交野山から「ジオタワー高槻」、高槻駅周辺などを望む 大阪府交野市 2013年11月
交野山から高槻駅周辺、ジオタワー高槻などを遠望する。
撮影地点から「丹波富士」半国山(京都府亀岡市)まで35.9km。
「豊能富士」鴻応山(京都府亀岡市、大阪府豊能郡豊能町)まで25.7km。

「コウノサン」から「コウノヤマ」を望むことになります。
同音同字の山、たとえば、国見山から国見山を望むなんていう話は珍しくもなさそうですが、同音異字の山から山を望むのはやや珍しいのではないでしょうか。

「ジオタワー高槻」の横には関西大学さんの高槻ミューズキャンパスも写っていますね。
大文字山の山頂(三角点)から建設中の「ジオタワー高槻ミューズガーデン」を望むことができるため、たまに進捗状況を撮影していますが、もちろん、交野山から望むこともできます。
せいぜい11km程度の距離にすぎず、極端に条件が悪い日でもなければ、交野山から容易に確認できるでしょう。

いよいよ日没です。

眼下に日没後の夕景を望む

交野市「観音岩」から日没後の阪神間、明石海峡などを望む 2013年11月
交野市から日没後の阪神間、六甲山系、明石海峡などを望む。
撮影地点から汐鳴山(兵庫県淡路市)まで69.6km、摩耶山(神戸市灘区)まで46.6km。

眼下に第二京阪道路、中央には淀川が流れています。
撮影地点から淡路島の北端近く、汐鳴山との間には、寝屋川市、守口市、大阪市東淀川区、淀川区、西淀川区、尼崎市、大阪湾が所在し、同様に、摩耶山との間には、寝屋川市、摂津市、吹田市、豊中市、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区、灘区が所在します。

上の写真からは分からないと思いますが、すでに日は沈んでいます。
予想どおり、この日は日没そのものは望むことができなかったものの、好条件は維持しており、明石海峡大橋もはっきり見えています。

ふと気が付くと、観音岩の上にはもう一人、夜景を撮影にいらした方が……。
日が沈み、風は激しさを増すいっぽう、さらには気温も急激に下がり、体温も奪われ、湿度が下がって目も乾き、どうにも他の方とお話をする気力が湧きません。
様子を見ていると、この方は風に負けないよう、ミニ三脚にカメラを固定して、ご自身は岩の上に腹這いの体勢となって撮影なさっていました。
なるほどと思いながら、私も望遠レンズを付けたカメラを構えてこの体勢を取れば、いっぱしのスナイパーさんを気取ることができる、などと考えていたのは内緒です。

そうこうしているうちに、「あべのハルカス」の外壁北面に数字が表示されました。

ハルカス開業カウントダウン「99」の数字と四国を遠望

交野山から「あべのハルカス」開業カウントダウン「99」の数字と四国や沼島を遠望
交野山から「あべのハルカス」全面開業カウントダウン「99」の数字と四国や沼島を遠望する。
淡路島や紀淡海峡、友ヶ島も写っており、浮島現象を起こした沼島は海上に浮かんで見えます。

主な山、建築物距離標高
(地上高)
山頂所在地備考
あべのハルカス23.7km(300m)大阪府大阪市阿倍野区日本一高いビル
コウノ巣山
(沖ノ島)
85.6km119.7m和歌山県和歌山市友ヶ島最高峰
石仙山
(石仏山)
106.1km117.2m兵庫県南あわじ市沼島最高峰
三角点840.1m峰153.5km840.1m徳島県勝浦郡勝浦町
徳島県勝浦郡上勝町
点名「狸谷」
東尾
(龍山)
162.0km1159.4m徳島県勝浦郡上勝町
徳島県那賀郡那賀町
竜峠の東
竜西峰
(ジュッカショ山)
(栩栗谷山)
162.6km1172m徳島県那賀郡那賀町
徳島県勝浦郡上勝町
竜峠の西

この「99」の数字は超高層ビル「あべのハルカス」がグランドオープンするまでの残り日数を示しています。

稲荷山から「あべのハルカス」カウントダウン「99」を望む 京都市伏見区 11月28日

稲荷山 荒神峰の夜景 京都伏見 ハルカスのカウントダウン遠望

2013.12.01

詳しくは上の記事を参照してください。

投稿する順番が後先してしまいましたが、時系列順で言えば、この交野山から「99」を撮影したのが先であり、その帰りに稲荷山に立ち寄ったことになります。
他の方が撮影なさったお写真を拝見し、初日の「100」も確認していましたが、「あべのハルカス」のカウントダウンの数字を自身の目で確認したのはこれが初めてです。
その後、比叡山から「98」、大文字山から「97」などを望むこととなりました。

交野山から「あべのハルカス」までは、せいぜい24km程度の距離にすぎず、カウントダウンの数字が見えることは分かりきっていましたが、さすがに、紀淡海峡に浮かぶ友ヶ島、紀伊水道に浮かぶ沼島、それに四国と併せて縦並びの構図で撮影できるとは考えてもみなかったです。

四国と重なるため、日没前はその位置が分かりにくかった沼島ですが、日没後は四国と分離して見えるようになりました。
上の写真において、「沼島」と表示している三角点117.2m峰(点名「石佛」)は、「石仙山」や「石仏山」と呼ばれる沼島の最高峰で、山頂付近には沼島灯台が建っていますが、残念ながら点滅しているであろう灯台は撮影できなかったです。
撮影地点から水平線に達するまでの距離は約66kmで、交野山から沼島までは100km以上離れていることから、その海岸線を望むことはできず、沼島でも標高が高い地点のみを見通せます。

また、写真をよく見ると、沼島は浮島現象を起こしていることが確認できます。
下位蜃気楼そのものは大して珍しい現象ではなく、秋冬の琵琶湖であれば頻繁に見ることができますし、同じ時期、大文字山から和泉山脈西端まで明瞭に遠望できるような空気が澄んだ冷たい日であれば、浮島現象を起こした友ヶ島の島影を高確率で眺めることができます。

このまま夜景を眺め続けていたいのは山々ですが、さすがに体力的に厳しく、風に煽られて観音岩から飛ばされかねず、そろそろ撤退することにします。
明石海峡大橋のライトアップも確認できたため、最後にそちらを。

夜景、ライトアップされた明石海峡大橋を遠望

交野山から明石海峡大橋、大阪湾、淡路島の夜景を望む 2013年11月
交野山から明石海峡大橋、大阪湾、淡路島の夜景を望む。
撮影地点から城ノ瀬山(兵庫県淡路市)まで72.6km、鉢伏山(神戸市須磨区)まで58.5km。

明石海峡大橋はもちろん、城ノ瀬山の淡路風力発電所、淡路SA大観覧車、大阪湾海上交通センター、須磨浦山上、大阪湾、いずれも条件よく望むことができました。なにも言うことはありません。

相変わらず、「せせらぎの道」や「こもれびの道」は通行できないため、そちらのコースは諦めます。
源氏の滝を最後に訪れたのはいつだったか、そのようなことを考えながら、「みはらしの道」を利用して倉治公園へと下山しました。

この日の交野山からは、大阪府、京都府、滋賀県、岐阜県、三重県、奈良県、和歌山県、徳島県、兵庫県、香川県(小豆島のごく一部)と、併せて10府県に至るまで見渡すことができました。
大阪府北東部に所在する350m足らずの山の上から、です。
なかなか素晴らしいことではないでしょうか。

追記というか補足しておきます。
この記事の初稿時は見落としていましたが、交野山からは上の10府県に加えて福井県の山も見通せます。
後年、枚方の国見山を登った日に見えることに気付きました。
この「99」の日であれば、おそらく見えていたはずですので惜しく思います。

旗が翻る国見山の夕景 枚方から京都や比叡醍醐山地、京都北山を遠望 2016年11月

国見山の展望 明石海峡大橋に沈む夕日 翻る旗 枚方八景

2016.11.15

私は「たまたま」写真に写っていた、という結果にはさほど興味を持てず、たとえどれだけ遠く離れた山であろうとも、対象を意識して撮影したいので……。

関連記事 2013年11月28日 交野山の風景

すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。

交野山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「交野山」周辺の地図を表示
「交野山(コウノサン、コウノザン)(こうのさん、こうのざん)」
標高341m
大阪府交野市

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!