大文字山の火床から新年2度目の初日の出を望む 2015年1月1日

今年、2015年(平成27年)は元旦の夜明けを京都市北区の釈迦谷山で迎えました。
大文字山の向こうから昇るご来光を鷹峯の上にあたる府道31号西陣杉坂線の新バイパス付近から拝みます。
この新バイパスは西陣杉坂線の「釈迦谷工区」にあたり、昨年、工事も終えて開通しました。

大文字山の向こうから昇る初日の出を釈迦谷山で望む 京都府京都市北区 2015年1月1日

大文字山から昇る初日の出を釈迦谷山の新バイパスから望む

2015.01.01

そのあたりの話は前回の記事に詳しく。今回はその続きです。

未明の空は雲が多かったものの、夜が明けると、比叡山の山頂を隠していた雲も失せ、すっきりした青空が広がります。
せっかくなので、朝日が昇った山、つまり、大文字山に登り初めに行こうと思い立ちます。

すぐに山へ向かえばよかったのですが、そこは正月の話。
少しばかり所用に手を取られていたら、すっかり出遅れてしまいます。
さらに、その次の用事が11時に入っており、急いで登り、急いで下らないと間に合いません。
大文字山を駆け登……、ることは今の私では厳しいため、気持ち急いて登ります。

火床の「左はらい」下部から上を見上げると、ちょうど、山の向こうから朝日が姿を現すところ。
この時期、10時過ぎに火床を訪れると、この光景が見えることは昔から気付いていましたが、1日に2回もご来光を拝み、なんだか得をした気分になります。

大文字山 火床の下部から新年2度目の初日の出を望む 京都市左京区 2015年1月1日
大文字山の火床、「大」の字跡「左はらい」下部から新年2度目の初日の出を望む。

これはいわゆる「初日の出」ではない、という突っ込みを受けそうですが、たとえば、山間部にお住まいの方など、朝日が昇るのが遅い地域の山陰であれば、初日の出がこの時間帯となる例も考えられるでしょう。
弘法大師堂にお参りし、火床の中央から新しい年を迎えた京都の街を眺めます。

新年を迎えた大文字山の火床から愛宕山と釈迦谷山を望む 京都市左京区 2015年1月1日
新年を迎えた大文字山の火床(京都市左京区)から愛宕山と釈迦谷山を望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
剣尾山36.6km784m大阪府豊能郡能勢町
半国山32.2km774.2m京都府亀岡市丹波富士
愛宕山16.0km924m京都府京都市右京区
地蔵山17.5km947.3m京都府京都市右京区
竜ヶ岳16.7km921m京都府京都市右京区
朝日峯15.2km688.1m京都府京都市右京区
釈迦谷山8.2km290.9m京都府京都市北区

五山送り火「舟形」の山である船山の左、先ほどまで私がいた釈迦谷山も見えています。
ですが、とくに目立つピークではないため、このような機会が無ければ故意に目を向けることはないでしょう。
大文字山の向こうから昇る初日の出をあちらで眺めていた……、そして、その数時間後には逆の構図で釈迦谷山を眺めていると考えると、なかなか感慨深いものがあります。

それにしても美しい青空、街並みもシャープな見え方、遠くの半国山や剣尾山までクリアに遠望できます。
左大文字の字跡はもちろん、送り火が点いていないにもかかわらず、珍しく鳥居形の字跡が分かります。
私は前日にあたる大晦日にも火床から同様の構図で京都を展望していますが、大晦日はひどく靄がかった印象を受ける眺めでした。
12月29日の夜から急上昇していたPM2.5の値も、大晦日の夜に降った雨(雪)や強い風の影響を受け低下し、塵や芥もどこかへ吹き飛ばされたようです。
すがすがしい新年の幕開けとなりました。

新年を迎えた大文字山の火床から京都タワーと「あべのハルカス」を望む 2015年1月1日
新年を迎えた大文字山の火床から京都タワーと「あべのハルカス」を望む。

主な山、建築物距離標高
(地上高)
山頂所在地
あべのハルカス49.5km(300m)大阪府大阪市阿倍野区
大阪府咲洲庁舎55.6km(256m)大阪府大阪市住之江区コスモタワー
天王山17.8km270m京都府乙訓郡大山崎町
大沢山
(向谷山)
19.3km478.2m大阪府三島郡島本町
釈迦岳18.5km630.8m大阪府三島郡島本町
京都府京都市西京区
京都タワー5.7km(131m)京都府京都市下京区

京都の街や京都タワーなどは条件よく見えていますが、大阪方面の低い空は霞んでいます。
それでも、うっすらですが、あべのハルカスやコスモタワー、大阪のビル街まで遠望できました。
右端ぎりぎりのポンポン山は山名を示していませんが、京都西山の稜線は浮かび上がるような見え方ですね。

大文字山の火床から皆子山など雪深い京都北山の山々を望む 2015年1月1日
大文字山の火床から皆子山など雪深い京都北山の山々を望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
雲取山
(二ノ谷山)
17.6km911.0m京都府京都市右京区
天狗杉
(花背山)
14.9km837.0m京都府京都市左京区
元・NTT鞍馬無線中継所15.2km854m京都府京都市左京区杉ノ峠の南
標高の値は5mDEMによる
天ヶ岳13.6km788m京都府京都市左京区
焼杉山12.6km717.4m京都府京都市左京区
皆子山20.1km971.3m京都府京都市左京区
滋賀県大津市
京都府最高峰
瓢箪崩山7.7km532.0m京都府京都市左京区

夜半にも雪が降ったのでしょう、皆子山や花脊峠の周辺はなかなか雪が深そうです。
大文字山から下山し、ちょっとした用事を片付けた後、あちらに見える山を歩きましたが、まさか、あのようなことになるとは……。

新年を迎えた大文字山から冬の青空と京都を一望する 2015年1月1日
新年を迎えた大文字山から冬の青空と京都を一望する。

右奥に愛宕山、中央に京都御苑、右手前に吉田山、中央手前に紫雲山、分かりにくいですが左端に京都タワーを収めています。
昨日、つまり、1月1日の午後の雪降る光景しかご存じない方には信じられないかもしれませんが、元日の午前中はたしかに晴れており、冬の澄んだ青空と、新年を飾るにふさわしい、それは美しい風景を眺めることができたのです。

さてさて。

元日の午後、激しく吹雪く京都北山を歩く 2015年1月1日
2015年1月1日、元日の午後、激しく吹雪く京都北山を歩く。
青空の写真からわずか3時間後に撮影した写真です。

偵察がてら、お昼頃からAさんと京都北山でも花脊寄りの山域へ。
お天気が崩れることは把握しているため、あくまでも軽めのスノートレッキングです。
朝は釈迦谷山、午前は大文字山、昼から北山と、新年早々、3座も歩いたことになります。
もっとも、いずれも名前を持つ頂は踏んでいないところが私らしいとも言えるでしょう。

山を歩き始めた当初は軽く雪が舞う程度。
コース上の積雪量は約20cm~といったところでしょうか。
装備は万全で、とくに危険を感じる山では無く、私としては楽観視していました。
レーダの予測を見るかぎり、本格的に雪が降り始めるまで、まだ少しは時間に余裕がありそうです。
ところが、あっという間に風雪が激しくなり、積もる雪が浚風で巻き上がり、地吹雪と吹雪が私たちの視界を奪います。
せいぜい1時間未満の山歩きでしたが、行きの踏み跡が戻りには失われているという、よくありがちな光景を目にすることに。

山から街への帰路がなかなか大変で、Aさんにはお世話になりました。
記憶が正しければ、花脊峠の気温表示は13時30分頃にマイナス6℃の値を示していました。
これほど吹雪いているのは高い山の上だけだろうと見ていましたが、鞍馬まで下っても雪は止まず、行きの道のりでは雪が無かったお家の屋根や裏山にも深く積もっています。
わずかな時間でこれほど積もるとは……、と驚きながら、さらに上賀茂まで戻ってくると、賀茂川(鴨川)の河川敷も白いゲレンデへと雪化粧。
豪雪地帯さながらの銀世界が広がります。

夕方、17時32分には京都市に大雪警報も発令されました。
京都の交通網が麻痺しているであろうことが容易に推測できます。
雪降る音に耳をそばだてながら、前回の記事を記し、長かった元日を終えることにします。
翌朝の京都は真っ白な雪景色となっているでしょう。

積雪する法然院の境内 山門とサザンカ(山茶花) 2015年1月2日の朝

雪の善気山、大文字山を法然院からスノーハイク 東山三十六峰

2015.01.07

翌日、2015年1月2日、大雪が積もった京都や大文字山の話は上の記事に。

如意ヶ岳の近江大橋展望地 阿星山、金勝アルプスを遠望 京都市左京区 2016年1月

京都市の如意ヶ岳から津市の五嶺山や伊賀市の霊山が見える

2016.09.29

現状、大文字山の山頂から初日の出を望もうとすると、どうしても木立ち越しで見えにくいと感じますが、大文字山を越えた先の如意ヶ岳からであれば、綺麗な初日の出を拝めます。
上の記事の地点が「如意ヶ岳から初日の出を観賞するスポット」として、とくによく知られており、琵琶湖を跨いで湖南の山々の向こうから昇る朝日を望めます。
ただ、この場所も知れ渡ってしまったので、もう私自身が元旦に訪れることはないでしょう。
暁の如意ヶ岳を駆け抜け、東雲の空を見晴らせる地を目指したのも、やがて、若かりし日の思い出となります。

関連記事 2015年1月1日 ご来光ハイキング

大文字山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「大文字山」周辺の地図を表示
「大文字山(ダイモンジヤマ)(だいもんじやま)」
標高465.3m(465.4mから改定)(三等三角点「鹿ケ谷」)
京都府京都市左京区(山体は山科区に跨る)

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!