2015年(平成27年)1月1日、何が変わるというわけではありませんが、新しい年を迎えました。
年明け早々、京都市では元日の午後から大雪となり、17時32分には大雪警報まで発令され、あたり一面、すっかり雪景色に。
しかしながら、午前中のうちはお天気もよく、冬の澄んだ青空や、好条件となった初日の出を眺めた方もいらっしゃるでしょう。
私はというと、初日の出は他の方と一緒に遠くの山の上から望もうと計画していたものの、直前になってもお天気がはっきりせず、正月から無理をするほどのこともないと判断し、遠出は諦めることに。
近所の神社さんに初詣など、年を越してもなんやかやとあり、4時頃には軽く寝落ちして、気付けばすでに夜明けの直前。
どうしたものか思案しましたが、鷹峯や大宮の上にあたる釈迦谷山や薬師山の周辺からであれば、大文字山の向こうから昇るご来光を拝めそうだと考えていたことを思い出し、急ぎ、鷹峯へ向かいます。
鷹峯の交差点(「鷹峯源光庵前」バス停留所の西)に到着したのが7時前。
私が住む場所ではそのような気配はなかったものの、さすがに山が近いだけあって、あたりは粉雪が舞っています。
望む地点の標高にもよりますが、7時15~20分頃には大文字山の向こうから朝日が昇る と予測。
高さを上げれば上げるほど、より高度感がある構図となりますが、その分、見掛け上の日の出の時刻が早くなります。
未明の空はすでに明るさを見せており、あとは時間との勝負。
鷹峯から京都府道31号西陣杉坂線へと入り、昨年……、そう、すでに昨年の話となりましたが、2014年(平成26年)に完成したバイパスを駆け登ります。
(※念のために申し上げておきますが、この府道は交通量が多いので、車を路駐するのは止めておくほうが無難でしょう)
西陣杉坂線でも、鷹峯から京見峠、前坂の区間は険しい坂続きで、とくに釈迦谷山の南側は文字通りのヘアピンカーブを有する、いわゆる狭隘道路として知られていましたが、新しく供用されたバイパスのおかげで通行が容易となりました。
【広報資料】主要地方道西陣杉坂線(釈迦谷工区)バイパス供用開始について
http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/page/0000161585.html(リンク切れ)
この新道はgoogleマップには反映されていますが、2015年1月1日現在、地理院地図では反映されていません(その後、更新され、地理院地図にも反映されました)。
今となってはそれを知る方もきわめて少なくなりましたが、釈迦谷山の周辺は「元愛宕」。
古来、山城国愛宕郡の鷹峯のあたりでお祀りされていた神様を、後に山城国葛野郡の山(現在の愛宕山)に遷したのが山上の愛宕神社さんとする伝承があります。
明治政府による各地の神社の由緒や歴史の調査に対し、当時の愛宕神社さん自身もそのように返答していますが、白雲寺の縁起と混同され、現代においては伝える方が減っているのが残念です。
私は愛宕信仰について熱心に研究、調査していた時期があり、その頃は釈迦谷山や船山の周辺を歩き回っていましたが、新しいバイパスで景色が別物のように。
これは意図したものではないでしょうが、新しいバイパスの周辺から釈迦谷山にかけて、ちょっとした見晴らしが期待できる地点が点々と見受けられるようになりました。
この「ちょっとした見晴らしが期待できる地点」から初日の出が見えることをご存じであろう、いわば物好きとも言える方々が待機していらっしゃるのが目に入ります。
まさか、私と同じことを考える方が他にもいらっしゃるとは思いもせず、驚いてします。
同じ場所に固まるのではなく、山中の見えそうな地点に分かれて少人数ずつ……、皆さん、粛然と夜明けを待っていらっしゃるのでしょう。
ざっと見て回った感じでは、合わせて10人もいらっしゃらなかったとは思いますが、もしかすると、さらにいらしたかもしれません。
地元にお住まいらしき方はもちろん、それにロード乗りの方でしょうか、鷹峯から京見峠、杉阪や氷室と走っていらっしゃるうちに、ここから大文字山や日の出が見えることに気付かれたのでしょう。
「ちょっとした見晴らしが期待できる地点」とは申し上げても、大きく開けた展望地ではなく、木々の合い間に大文字山の頂が見える地点が点在するにすぎません。
ですが、そういった地点に、それぞれ場所が重ならないように待機していらっしゃるのが面白く。
さておき、私はハイカー、他の方々とは異なり、少し山をよじ登り、大文字山のみならず、比叡山や、眼下に大宮や上賀茂、松ケ崎、岩倉あたりを望む地点にたどり着きます。
大文字山の向こうには、すでに朝日の姿が現れており、撮影の準備を急ぎますが、三脚を設置するような場所でもなく、手持ちで撮影することに。
大文字山の向こうから昇る初日の出を釈迦谷山(京都市北区)で望む。
撮影地点から大文字山(京都市左京区)まで8.9km。
予想どおり、大文字山の頂にご来光が重なります。
太陽の下が大文字山ですが、大文字山であることを示す「大」の字跡が見えないため、この写真だけでは分かりにくいですね。
右端に見えるピークは音羽山です。
元旦の釈迦谷山から比叡山、大文字山と初日の出を望む。
撮影地点から四明岳(京都市左京区)まで9.3km。
左端で比叡山が目立ちます。
この構図であれば、普段から山を眺めている方や、地理に詳しい方であれば、朝日が昇る頂が大文字山であるとお分かりいただけるでしょう。
山頂そのものは見えないようですが、大文字山の左には如意ヶ岳(如意ヶ嶽)の姿も。
「京都市内から望む場合、大文字山が左、如意ヶ岳は右」という固定観念を持つ私からすると、なかなか受け入れがたいものがあります。
左手前、眼下に見える京都の街並みは、大雑把に申し上げて上賀茂や松ケ崎のあたりです。
比叡山の手前には、ごくわずかに岩倉盆地も写っていますが、見える範囲が狭く、これでは分かりにくいですね。
一見すると好展望地から撮影しているかのように思われるかもしれませんが、そのようなことはなく、わざわざ無理に訪れるような場所でもありません。
釈迦谷山の周辺には見晴らしが期待できる地点が他にもありますが、ご来光が姿を現す位置が大文字山の頂から微妙にずれてしまいます。
鷹峯の御土居(御土居堀)遺構など、鷹峯の周辺から東山方面が開けた地点も同様です。
どこから「大文字山の頂の向こうから昇る初日の出」が見えるかについて追記しておきます。
釈迦谷山(のやや南)~賀茂川に架かる北大路橋~大文字山を結んだ直線上のみが、「大文字山の頂の向こうから昇る初日の出」を拝める地点となります。
この直線の延長線上であっても、釈迦谷山の後方にあたる山、たとえば朝日峯のあたりから望むと、大文字山より遠方に所在し、大文字山より高い布引山地北端部の山(三重県亀山市・伊賀市の境あたりの山)の向こうから朝日が姿を現すため、「大文字山の頂の向こうから昇る」構図とはなりません。
追記終わり。
比叡山でも四明岳や、おそらく大比叡の山頂域は雲の中に隠れているようです。
比叡山ドライブウェイでも、夢見が丘(夢見ヶ丘)からは美しいご来光を拝むことができたでしょうが、山頂にあたる四明岳(四明ヶ嶽)の駐車場で待機なさった方々や、叡山ケーブル利用者に限り、特別に開放されたガーデンミュージアム比叡さんで待機なさった方々は無事に拝むことができたでしょうか。
如意ヶ岳(大文字山)の初日の出スポットとして知られる長等山・三井寺・藤尾分岐のガードレール脇からも眺めることができたでしょうね。
近年、あの展望地から初日の出が見えることが広く知られるようになり、おそらくは見物する方も増えているでしょうから、わざわざ訪れる気が失せています。
さておき、私自身も無事にご来光を拝むことができた、それも、「大文字山の頂の向こうから昇る初日の出」という、実に私らしい構図で拝むことができました。
まずもってほとんど寝ていないうえ、急いで登ってきたこともあり、疲れも感じますが、充足感が上回り、満足のうちに山を下ります。
この日は釈迦谷山を登頂していませんが、気になることがあり、翌年(2016年)、久々に訪れました。
その話は上の記事に。
「西陣杉坂線(釈迦谷工区)バイパス」 鷹峯、旧道、新道の岐れ。
険しいヘアピンカーブへの旧道も残っていましたが、車は通行しないように閉鎖されています。
写真で右が新バイパス、左が旧道、手前が鷹峯方面。
日の出の直前直後はやや雲が多い印象を受けましたが、日が高くなるにつれ、新年の幕開けにふさわしい美しい青空が広がり始めます。
これは釈迦谷山だけで終わらせるわけにはいかない、大文字山へ初登りに行こう!
…後から考えてみると、正月ならではのテンションの高さがなせるわざ。
この日の私は、朝早くから釈迦谷山を駆け、続いて大文字山を登り、帰宅して用事を済ませ、さらにAさんと雪山を歩き、凄まじい猛吹雪に巻き込まれることに。
そして今、この駄文を記しています。
長くなってきたこともあり、ここで記事を分けます。
お腹も空いてきましたし、さすがに眠気もひどく。
続きは上の記事に。
相変わらず更新は不定期となるでしょうが、本年もよろしくお願いいたします。
関連記事 2015年1月1日 ご来光ハイキング
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 大文字山から昇る初日の出を釈迦谷山の新バイパスから望む
- 大文字山の火床から新年2度目の初日の出を望む
釈迦谷山(地理院 標準地図)
「釈迦谷山(シャカダニヤマ)(しゃかだにやま)」標高点291m 三角点290.9m(291.1mから改定)(三等三角点「釈迦谷山」)
京都府京都市北区
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