大文字山 京都から大阪湾や大阪港、淡路島の諭鶴羽山を遠望

花火の話はどうしたと言われそうですが、このところ、「大文字山から淡路島が見える?」の特集記事 に対するアクセスが増えていることもあり、そちらの補足がてら、私が過去に撮影した写真を掲載しておきます。
写真を見直していたら、気になる点も見受けられたため、ちょうどよい機会です。

今回の記事に掲載している写真は、すべて2010年(平成22年)12月に京都市左京区に所在する大文字山の山頂(三角点)から撮影したものであり、大阪都心部のビル街など、主に建築物の現状を正しく伝えていないことを申し添えておきます。

京都府京都市 大文字山からの展望、眺望 2010年

梅田スカイビル、コスモタワー、友ヶ島 方面

大文字山の山頂(三角点)から大阪湾、大阪港、友ヶ島を望む 2010年12月
大文字山の山頂(三角点)から大阪湾、大阪港、友ヶ島を望む。

主な山、建築物距離標高
(地上高)
山頂所在地備考
梅田スカイビル45.6km(173m)大阪府大阪市北区
大阪府咲洲庁舎55.8km(256m)大阪府大阪市住之江区コスモタワー
天保山大観覧車53.3km(112.5m)大阪府大阪市港区
地ノ島
(友ヶ島)
107.0km93.3m和歌山県和歌山市点名「地島」

日が差した大阪湾を大文字山から撮影した写真を、今まで、当ウェブサイトで掲載していないことに気付きました。
上の写真が「大文字山から大阪湾の海面(海上)を確認できる」証左となるでしょう。
現在では、梅田スカイビルの左(南港スカイタワーの手前)の「隙間」がグランフロント大阪のビル群により埋められており、同じような構図で写真を撮影しても、もはや同じような結果とはなりません。
天保山大橋、天保山大観覧車、コスモタワーなど、大阪ベイエリアについては、今と見え方に大差ないようです。

右端で沖ノ島が見切れているのは、飛行機のシルエットに合わせてフレームを動かしたためです。

和泉山脈西端、大阪ドーム 方面

大文字山から大阪湾、和泉山脈西端部、大阪ドームを望む 2010年12月
大文字山の山頂(三角点)から大阪湾、和泉山脈西端部、大阪ドームを望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
学文字山99.5km212m大阪府泉南郡岬町
甲山103.9km212.1m大阪府泉南郡岬町送信所は和歌山市との府県境
高森山
(北山)
103.5km284.5m和歌山県和歌山市
大阪府泉南郡岬町

大阪ドーム(京セラドーム大阪)は指摘されないとまず場所が分からないでしょう。
高層ビルについては、とくによく目立つ関電ビルディングのみ、その名称を表示しています。
上の写真では建設中ですが、現在では関電ビルディングの左に中之島フェスティバルタワーが竣工しており、同様に、もはや同じ写真は撮影できません。
左手前には淀川の合流点付近(木津川、宇治川、桂川の三川合流点付近)が見えており、その向こうには鳥飼大橋が写っています。
大阪港周辺にはさまざまな建築物が写っていますので、展望に興味がある方は調べてみてください。
阪神高速4号湾岸線、アーチ状の千歳橋を見付けることができるでしょうか。

ところで、上の写真を改めてよく見てみると、甲山の山頂付近が明るく光っていることに気付きます。
これが、今回の記事の冒頭で述べた「気になる点」ですが、どうやら、山頂の南東、和歌山市側に建つ「和歌山テレビ送信所・中継局」が西日に照らされているようです。
なんだか灯台のように見えますね。

左端の目立つピークは高野山(いわゆるコウヤサンではなく、孝子のタカノヤマ)のあたりですが、大文字山からピークそのものが見えないため、山名は表示していません。

淡路島南部の諭鶴羽山地を遠望

大文字山の山頂(三角点)から淡路島南部の諭鶴羽山地を望む 2010年12月
大文字山の山頂(三角点)から淡路島南部に所在する諭鶴羽山地の山々を望む。

今までに何度か大文字山から淡路島(の南部に所在する諭鶴羽山地)を撮影していますが、この日はとくに条件よく、恐ろしくくっきりと浮かび上がるように見えていました。

過去の記事で、私は「大文字山の山頂(三角点)から淡路島最高峰である諭鶴羽山が見える」としており、そのことじたいは正しいのですが、誤解を招かないようにするため、より正確に記しておきます。
こういった、とくに条件よく望むことができる日、かつ、うまく日が差した日でないと分かりませんが、大文字山から見て、諭鶴羽山は、その北東6.6kmに所在する約530m小ピーク の陰(後方)となるため、ごくわずかに山頂付近を望むのみとなります。
大文字山から諭鶴羽山の山容が全て見えるわけではありません。

大文字山から淡路島最高峰が見える?

大文字山の山頂(三角点)から諭鶴羽山と手前に重なる小ピークを望む 2010年12月
大文字山の山頂(三角点)から諭鶴羽山と手前に重なる約530m小ピークを望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
三角点585.7m峰123.9km585.7m兵庫県南あわじ市点名「中向背」
約530m小ピーク119.7km531m兵庫県洲本市標高の値は
10mDEMによる
諭鶴羽山126.3km608.0m兵庫県南あわじ市淡路島最高峰

やや大きめにリサイズ、トリミングしてみましたが、これでもまだ分かりにくいですね。
諭鶴羽山の山頂は、このように、ごくわずかに見えるのみにすぎず、現実問題として、手前の約530m小ピークとの区別は困難です。
ですので、山座同定の際は無理に諭鶴羽山に固執せず、とくによく目立つ、(地形図に山名の表示がある山としては)淡路島で2番目に高い山でもある柏原山を探すのがよいでしょう。
上の写真では山頂の左(南)に諭鶴羽山の無線中継所(など)がはっきり写っていますが、山影がぼんやりうっすら見える程度の日では撮影は難しいでしょう。

左に見えている三角点585.7m峰(点名「中向背」) は、地理院さんの地形図では山頂の東側に電波塔を示す記号が記されていますが、上の写真にもそれらしき建築物が写っていますね。
また、この三角点峰は、計算上、「あべのハルカス」が見える山でもあり、機会があれば訪れてみたいものです。
ただし、「見える」とは申し上げても、ビルの最上部がわずかに見える可能性があるだけです。
諭鶴羽山の展望地から「あべのハルカス」が見えないことは自身で(現地を訪れて)確認済です。

これは余談ですが、ある山の手前に小ピークが重なっている可能性がないかどうか、本記事における、「大文字山の山頂(三角点)から諭鶴羽山が見えるか」など、とくに重要な例においては、二度三度の照査を行うように心掛けていますが、全ての山において細かな作業を行っているわけではありません。
そのため、興味があることについては、私が申し上げることを鵜呑みにするのではなく、ご自身でもお調べになるのがよいでしょう。
展望や遠望について、「カシミール3D」を使用して、安易に「見通し判定」や「カシバード」を頼っていらっしゃる方の中に、意外な見落としをなさっている例が見受けられます。

2010年12月

関連記事

比叡山(四明岳)から大阪湾や大阪港、淡路島を撮影した写真を掲載している記事は以下に。

比叡山から淡路島、諭鶴羽山地、大阪湾を遠望 夕焼け 京都市左京区

比叡山から六甲山、大阪湾、淡路島、友ヶ島を遠望 沈む夕日

2012.12.15

大文字山より比叡山のほうが標高が高いので、大阪港周辺の海面(海上)が分かりやすいです。

大文字山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「大文字山」周辺の地図を表示
「大文字山(ダイモンジヤマ)(だいもんじやま)」
標高465.3m(465.4mから改定)(三等三角点「鹿ケ谷」)
京都府京都市左京区(山体は山科区に跨る)

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4 件のコメント

  • 大阪湾やコスモタワーがくっきり撮影できていてすばらしい!
    この前に大文字山山頂に登ったら登山者で大賑わいで、
    その中のおじさんが東山の阿含宗を「上醍醐」
    コスモタワーを「ハルカス」
    と周りの人に解説していて「おいおい」とつっこみたくなりました。

    • こんばんは。
      今年の冬、大文字山を登った日、山頂にいらした方々がハルカスさんやコスモタワーを指差し、「あれは何だろう」とおっしゃっていたので、私が「左がハルカスで、右がコスモタワーですよ」と申し上げたら、「ここから見える訳がない」と一笑に付されてしまいました。
      人間には先入観が存在し、他者の意見をも広く受け入れる柔軟な考えを持つのはなかなか難しいため、そのことじたいはどうとも思わなかったのですが、誤った話が先行して広まることは好ましいとは言えません。
      それにしても、花山を醍醐というのはちょっと地理的に無理がありますね(笑

  • Maroさん、ごぶさたしております。季節が変わってきたのか、曇りの日でも、街中の少し小高い場所をウォーキングしながら遠くを見渡すと、神戸方面や淡路島の山並み(の線)が、はっきり見えるようになってきました。遠くから大阪のビル群を眺めるのは、楽しいことだけど、それが原因で、大阪湾が見えなくなる、もし大阪のビル群がなければ、もっともっと美しく大阪湾が望めることを考えると、非常に皮肉な話だなと記事を拝見させていただきながら感じました。(話は変わりますが) 自然エネルギーをもっと普及させる必要があるというのは、その通りだと思いますが、(太陽光パネルはそれほどは気にならないですが) 最近は、風力発電の巨大な風車を見るのが嫌で嫌で仕方がないです。個人的に景観破壊を著しく感じて、いつもガッカリします。逆にそれとは矛盾するのですが、京都市の看板条例、四条通りは看板があった方が良かったです。他の場所はどうかわかりませんが、四条通りがのっぺらぼうになってしまって、看板も景観、文化の一部だと思うのですが… そんなもん、個人や民間が個々で決めればいいことじゃないの?! そんなこと政治が決めることなの?!ということが多いです。乱文、自分勝手なたわごと、すみません。

    • こんにちは。
      昨日の京都市は日中の最高気温が29℃まで上昇したとはいえ、未明には15.5℃まで下がり、明け方の外は肌寒いどころか、明確に「寒い」と感じるほど。
      うっすらとはいえ、京都市側から和泉山脈の稜線が見える日も増え、秋の訪れを実感しています。

      明治時代の治水事業により、多くの里山で植林が進みました。
      禿げ山ばかりだった里山に色が付きましたが、景観はそれ以前とそれ以後で大きく変わったものと考えられます。
      広域的な景観は時代時代に応じて変化していくものであり、ある一面だけを見て判断することは難しいのかもしれません。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    Maro@きょうのまなざし

    京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!