今から約1年半前、2015年(平成27年)6月末の話。
この日は久々に京都府宇治市の仏徳山を登り、大吉山展望台からの眺望を楽しみました。
ちょうど夕日が京都西山の稜線に沈む時間帯で、眩しい光が宇治川の水面を照らします。
雨上がり、雲は多いながらも美しいサンセットを拝むことができ、この条件であれば「目的」を果たせるのではないかと考えます。
六甲山や明石海峡方面に目を向けてみると、梅雨時の空とは思えないほど空気が澄んでおり、遠くの山々まで浮かび上がるように見えていました。
この日、私が宇治を訪れた理由のひとつとして、大吉山展望台から明石海峡大橋の主塔や大阪の超高層ビル「あべのハルカス」が見えるかどうかを実地で調査し、改めて検証することにありました。
まず、「大吉山展望台から明石海峡大橋の主塔や淡路島が見える」かどうかの話は前回の記事で。
夕日の写真も前回の記事に掲載しています。今回はその続きです。
大吉山展望台の景色
宇治橋と宇治川橋梁を望む

大吉山展望台の夕景。眼下には宇治川に架かる宇治橋。『響け!ユーフォニアム』放映終了直後。
分かりにくいですが、JR奈良線の宇治川橋梁を電車が通過しています。
左遠方に写っているのが神戸の六甲山で、いわゆる六甲山最高峰(六甲最高峰)の山頂域は雲の中に隠れています。
ですが、6月に宇治市側から六甲山系の山影が色濃く鮮やかに見える日は稀で、遠望の観点においては好条件でした。
2015年4月から6月まで宇治市の周辺を舞台としたテレビアニメーション『響け!ユーフォニアム』が放映されており、この日はその終了直後でした。
この作品の8話(第8回)で登場人物が大吉山展望台をナイトハイクするシーンがあり、この山の知名度向上に一役買ったと言えるでしょう。
私も同作品の美しい背景描写や作品内容に感化され、久々に仏徳山を訪れた次第です。
テレビアニメ2期(セカンドシーズン)にあたる『響け!ユーフォニアム2』 の放映が2016年(平成28年)10月から始まっており、今週放映される11話(第11回)でも登場人物が大吉山を登山する、予定です。
ご当地たる京都の地上波では、今晩、水曜日の深夜にABC朝日放送さんで、明晩、木曜日の深夜にKBS京都さんで放映されます。
また、大吉山展望台が聖地として注目を浴びるかもしれませんね。
実のところ、2期でも大吉山を登るエピソードがあることは事前に知っていたので、それに合わせて、積み記事のまま放置していた昨年6月の話を引っ張り出してきたのでした。
いわば、私なりの2期放映記念企画です。
前回の記事に掲載している「大吉山展望台から淡路島北部を撮影した写真」の構図から左に視点を移します。
淡路島中部以南の島影は見えませんが、大阪の高層ビル群が見えます。
『響け!ユーフォニアム』の話も含め、前回の記事にも目を通していただくほうが、今回の記事の内容は分かりやすいでしょう。
大阪の高層ビル群を遠望

宇治の大吉山展望台から大阪の高層ビル群を遠望する。梅田スカイビルやコスモタワーなど。
主な建築物 | 距離 | (地上高) | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
梅田スカイビル | 36.1km | (173m) | 大阪府大阪市北区 | |
中之島フェスティバルタワー | 36.4km | (199m) | 大阪府大阪市北区 | |
大阪府咲洲庁舎 | 46.1km | (256m) | 大阪府大阪市住之江区 | コスモタワー |
The Kitahama | 36.0km | (209.4m) | 大阪府大阪市中央区 | 北浜タワー |
大吉山展望台から見て、おおむね南西向きの遠景です。
梅田や中之島など、大阪でも都心部と言えるエリアの高層ビル群でも、とくに高いビルの上部のみを見通せます。
それに、どこからでも見えやすいコスモタワーの姿を確認できますね。
コスモタワーは見えますが、大阪湾の海面や大阪港・南港の施設は見えません。
現在、同じ構図で写真を撮影しても、中之島フェスティバルタワーと関電ビルディングの間に中之島フェスティバルタワー・ウエストが写るため、同じ結果とはなりません。
そういったことをご存じの方が上の写真をご覧になれば、おそらくは2015年以前に撮影した写真だと察しがつくでしょう。
ちょうど1年後、今年6月に撮影した写真には中之島フェスティバルタワー・ウエストが写っています。
さておき、視点をOAPタワーや「The Kitahama」の左に。
あべのハルカスは仏徳山から見える?

宇治の仏徳山(大吉山展望台)から大阪の「あべのハルカス」やOBPビル群は見える?
京橋の周辺、OBPビル群でも、OBPキャッスルタワーの上部のみ明確に分かりますが、他のTWIN21などはほぼ見えません。
また、大阪城も見えません。
あくまでも計算上では、矢印で指し示している丘陵の向こうに「あべのハルカス」の上部を見通せるはずですが、どうも上の写真ではよく分かりません。
西日の差しかげんによるのかもしれないと考え、他の高層ビルの外壁面の照らされ方などを注視しながら、ハルカスさん(があると推定される)方面の写真を何枚か撮影しておきました。
正直に申し上げて、現地ではハルカスさんが見えるのか、見えないのか、よく分からずじまいでしたが、帰宅後、撮影した写真のリサイズを控えめにしてトリミングしてみると、かろうじて高層建築物の影が……。

大吉山展望台から「あべのハルカス」らしき建築物の影を撮影する。
見えているとすれば、あべのハルカスまでの直線距離は38.7km。
木立に遮られていますが、かすかにビルの最上部を見通せるようです。
見かけ上の高さ、場所、方角はハルカスさんと正確に一致しており、また、地図上に線を引いて確認しても、他に間を遮りそうな高層建築物も見当たらないことから、おそらくは「大吉山展望台から『あべのハルカス』が見える」と考えられます。
ただ、上の写真だけで断定するのは難しいかもしれません。
視線を遮る丘陵地帯、これは京都府京田辺市と八幡市、それに大阪府枚方市の府境あたりで、いくつかのゴルフ場があります。
現地で確認してみないと分かりませんが、航空写真と照らし合わせるかぎり、送電線や送電鉄塔の後方、写真の左端付近に写っているネット状の施設もゴルフ練習場の設備のようです。
あくまでも仮にですが、この丘陵が無ければビルも明確に見えるでしょう。
ハルカスさん(らしき影)から視点を左に動かしていくと、南南西には生駒山が見えます。
奈良の生駒山を遠望

宇治の大吉山展望台から奈良の生駒山を遠望する。各局の生駒送信所の電波塔も分かりやすく。
撮影地点から生駒山(奈良県生駒市、大阪府東大阪市)まで26.8km。
夏場の日中に京都側から南向きの生駒山を望むと、妙に揺らいだ印象を受けるのが常ですが、この日は送信所の設備や無線中継所の設備、それに山上の遊園地施設まで明瞭に見えていました。
眼下に広がる宇治の街並みや、山城の風景もシャープな見え方で、総じて条件が良かったのでしょう。
夜景を撮影してから下山しようかとも考えましたが、6月の里山はヤブカも出やすく、雨上がりだということを考慮して早めに下山しました。
遠くの橋梁や建築物が見えるか調査し、美しい宇治の夕景を堪能し、遥か彼方の淡路島を撮影できただけでも十分です。
大吉山展望台の夜景の写真は上の記事に。
大吉山展望台の夕景の写真は上の記事に。
仏徳山(大吉山展望台)や、隣接する朝日山の由来や歴史は上の記事に詳しく。
あべのハルカスを宇治市から見通せるか、といったご質問をいただきましたが、一例として、京都市伏見区との市境にあたる日野岳(日野山)からの撮影例を上の記事で公開しています。
場所を選びますが、見える、見えないで申し上げれば計算上は見えます。
関連記事 大吉山サンセットハイク
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 宇治の大吉山展望台から明石海峡大橋や淡路島は見える?
- 宇治の大吉山から大阪の高層ビル群やハルカスは見える?
仏徳山(大吉山展望台)(地理院 標準地図)
「仏徳山(ブットクサン)(ぶっとくさん)」別称として「大吉山(ダイキチヤマ)(だいきちやま)」
標高131.6m(三等三角点「旭山」)
京都府宇治市
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