嵯峨嵐山 小倉山から「京都東山 天空のライトアップ」を遠望

この大型連休(2015年9月19日~23日)、いわゆるシルバーウィークの期間中、京都東山の夜空をサーチライトで照らすイベント「未来への光~東山 天空のライトアップ~」が催されています。

「未来への光 ~ 東山 天空のライトアップ ~」東山「観光・交通・環境」協力会議 創設10周年記念事業の実施について
http://www.city.kyoto.lg.jp/higasiyama/page/0000186429.html (リンク切れ)

清水寺さん、建仁寺さん、高台寺さん、六波羅蜜寺さん、それに東山区役所さんから夜空に向けて5色の光が照射されるとのこと。
私にとっては興味深い試みです。
白、緑、紫、オレンジ(橙)、黄の5色の光線、事前に得た情報が少なく、どの場所から何色が放たれるのかはよく分かりません。

9月20日は日中から空気も澄んでおり、この日は時間的な余裕もあったことから、5色の光を遠くの山の上から撮影するチャンスだと考えました。
ポンポン山など京都西山(老ノ坂山地)にあたる山域から見れば、計算上、京都タワーと5色の光が重なるため、釈迦岳の展望地から遠望しようと西山方面へ向かいましたが、思わぬアクシデントに見舞われます。
道中、軽く小走りで急いでいたら、なんでもないアスファルトの路面で前のめりに転んでしまい、手のひらや膝を負傷しました。
山中であればともかく、平地で重心を崩して転ぶなど、正常な状態であれば考えられない失態。
自覚症状こそないものの、どうも体調が万全とは言い難いようです。
ここは無理をせず、気軽に登れる小倉山から眺めようと方針転換し、他の山にも立ち寄った後、嵯峨嵐山へと向かいました。

伏見稲荷大社 荒神峰から「あべのハルカス」、「りんくうゲートタワービル」を遠望 2015年9月

伏見 稲荷山荒神峰 大阪のハルカスや和歌山の雲山峰を遠望

2015.09.25

「他の山に立ち寄った」話は上の記事に。

亀山公園(嵐山公園 亀山地区)の山麓にあたる保津川(大堰川)では、かがり火を灯した鵜飼い船や、それを見物する屋形船(遊覧船)が水上を行き来していました。
それらを見守っていたら、あたりはすっかり真っ暗になってしまいましたが、亀山から小倉山中腹の展望地へと登ります。

嵯峨嵐山 小倉山から京都の夜景、東山のライトアップ、清水寺などの光を望む 2015年9月
小倉山の展望地から京都の夜景、東山のライトアップ、清水寺さんの観音慈光などを望む。

主な山、建築物距離標高
(地上高)
山頂所在地
大文字山13.4km465.3m京都府京都市左京区
音羽山17.8km593.1m京都府京都市山科区
(滋賀県大津市)
京都タワー9.4km(131m)京都府京都市下京区

私の肉眼では清水寺さんから放たれる強い光、いわゆる「観音慈光」(慈悲の光)の青白いライトしか確認できません。
大文字山の稜線は明瞭に見えており、うっすらですが、大文字山と音羽山の間、写真には遠く湖南の阿星山の山影まで写っています。
夜の街明かりもシャープな見え方で、好条件であることは疑いようがありません。
そのため、清水寺さん以外の4色の光はまだ照射されておらず、これから放たれるものだと思い込み、展望地で休憩しながら様子を見ていました。
ところが、いつまで待っても夜空の色や動きに変化がありません。
さすがにこれはおかしいと思い、よくよく目を凝らしながら、改めて東山を眺めてみると、もう一筋、上空に向けて黄色か赤色の光線が伸びていることに気付きます。
残りの光は明るさが足りないだけで、もしかすると、すでに照射されているのでは……。

京都市 小倉山から「未来への光~東山 天空のライトアップ~」の5色の光を遠望 2015年9月
小倉山から「未来への光~東山 天空のライトアップ~」の5色の光を遠望する。

やや強引に撮影し、その場で確認してみると、やはり5色すべて写っています。
清水寺さんと比較すると、他所の光線は儚げですが、都市部における光害などの問題もあり、あまりに強い光は照射できないのでしょうか。
参考程度に照明設置推定地点の付近と対応色を示しておきましたが、建仁寺さんから放たれる光はかろうじて写っている程度に過ぎません。
空気が澄んだ秋の夜でも見えにくく、これでは遠くから肉眼で見付けるのは困難でしょう。
特別な機材を使用しないかぎり、よほど夜間の視力に自信がある方でも、10km~離れた小倉山からでは2~3色の光を確認するのが限界だと思います。

夜空に伸びる光はともかく、夜間特別拝観など、各種イベントが催されている関係か、東山界隈は普段の夜より明るく感じました。
霊山観音さん、法観寺さん(八坂の塔)、清水寺さんの三重塔や仁王門なども分かりますね。

清水寺、高台寺、東山区役所などから夜空に向けて照射される5色の光を小倉山から撮影
清水寺さん、建仁寺さん、高台寺さん、六波羅蜜寺さん、東山区役所さんから夜空に向けて照射される5色の光を小倉山から撮影。

地名の表示無しの写真も掲載しておきます。
近い距離から眺めればカラフルだと感じるでしょうが、遠い距離から無理に撮影するほどではありませんね。

追記。
後で知りましたが、ニュースによると、このライトは「およそ4km先まで届く」と報道されていたとのこと。
小倉山の展望地から建仁寺さんまで10.2km。
条件の良い夜であれば、大型の灯台が放つ光は公表される光達距離(国際基準値)より遥かに遠くまで届きますが、用途や質が異なるため、単純な比較はできません。

さらに追記。
清水寺さんから5km~離れたマンションの高層階にお住まいの方によると、肉眼では清水寺さんのライト以外はよく分からなかったそうです。
天体観望と同様、周辺が明るい場所から見るか、暗い場所から見るかでも異なるでしょう。

小倉山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「小倉山」周辺の地図を表示
「小倉山(オグラヤマ)(おぐらやま)」
標高296m
京都府京都市右京区

便宜上、当ウェブサイトでは桂川左岸(右京区以北)を「京都北山」、右岸(西京区以南)を「京都西山」と定義しているため、愛宕山や小倉山は「京都北山」に区分しています。

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!