大文字山と落雷(比叡三郎) 京都 船岡山 建勲神社から撮影

京都はもちろん、日本列島全体で暑い日々が続いています。
京都市では2015年7月31日から今日(8月4日)に至るまで連日の猛暑日を記録しており、とくに暑い年だった1994年7~8月の記録(猛暑日が11日連続し、そのうち、最高気温39℃以上の日が4日連続)や、2013年8月の記録(猛暑日が16日連続し、そのうち、最高気温38℃以上の日が5日連続)には及ばないものの、それに迫る勢いです。
お天気も不安定になりがち、昨日(2015年8月3日)は京都市でも主に中央部から東部寄りの地域で、きわめて短時間でしたが局地的な大雨が降りました。

昨日の夕方、16時40分頃、大文字山の南に次々と雷が落ちるのが京都御苑のあたりから見えており、大文字山や逢坂山、音羽山といった山々や、その山麓では激しい夕立が降っている様子。
この時点では御苑のあたりは雨の影響が少なく、急げば間に合いそうだと船岡山へ。
上空の雨雲は西の空でも広がりつつあり、盆地の中央部でも、いつ、まとまった雨が降り始めるか分かりません。

船岡山の参拝道を駆け登り、17時15分頃には建勲神社さんの拝殿の前に到着します。
階段ですれ違った参拝者さんが「遠くで雷が凄いね」とおっしゃり、私も「怖いですね」と返します。
建勲神社さんは大文字山の「大文字」の字跡(火床)を真正面に見通すことができる好展望地。
船岡山公園は「京都五山送り火」の観賞スポットとしても知られており、「左大文字」や「舟形」を眼前に望むこともできます。

山の上は小雨がぱらついていましたが、この程度であれば支障ありません。
三脚を設置し、建勲神社さんでお祀りされる織田信長、信忠父子をお参り。
改めて大文字山のほうを向き直すと、ちょうど、大文字山の左手(北)あたりに雷が落ちるのが見えました。
雨雲そのものは南下しているように見えますが、なぜか、雷は大文字山から北、つまり、比叡山へと落ちる地点を移しているようです。
どこか街中でも事件が起きているのでしょうか、山の下からは消防車か救急車のサイレンも聞こえてきます。
今しがた雷が落ちた方角と、大文字山を併せてフレームに収め、カメラの動画撮影ボタンを押したところ……、

船岡山 建勲神社の貴賓館越しに大文字山と落雷(比叡三郎)を望む 2015年8月
船岡山に鎮座する建勲神社さんの貴賓館越しに大文字山と落雷(比叡三郎)を望む。
上の写真は動画撮影からの切り出しです。

撮影時刻は17時18分、ちょうど雷が!
手前に見える瀟洒な建築物は建勲神社さんの貴賓館、右遠方に見えるのが大文字山です。
雨で煙っているため、大文字山の「大」の字跡(火床)が分かりにくいですね。

船岡山 建勲神社から桜越しに大文字山を遠望 2016年4月

建勲神社と船岡山公園の桜 大文字山と比叡山を望む 京都

2016.04.08

平時における建勲神社さんから大文字山などの見え方については上の記事に詳しく。

45秒程度の短い動画ですが……。

建勲神社さんから落雷の瞬間を動画で撮影する。
船岡の上は強い風が吹き荒れていることがお分かりでしょうか。
8秒あたりで稲妻が光り、23秒あたりから雷鳴が轟きます。
ただし、スマートフォンの内蔵スピーカーだと雷鳴の低音は分かりにくいかもしれません。

撮影地点からは比叡山が見えませんが、雷が落ちたのは大文字山と比叡山の間です。
焦点距離70mmのレンズで撮影しており、左端の遠方は比叡山の南端部、つまり、瓜生山のあたりでしょうか。
動画から判断するかぎり、稲光と雷鳴のタイムラグが約15~16秒。
大雑把に計算(P=0.34S, 340(m/s)*15)すると、約5km~先に雷が落ちたと推測できます。
建勲神社さんから瓜生山の山頂までの直線距離が約5.4km。
当たらずとも遠からずといったところでしょうか。

昨日の撮影は、この1回のみ。
偶然以外の何物でもありませんが、その1回のシャッターチャンスで落雷する瞬間をとらえることができました。
なんとなく嫌な予感がしたこともあり、撮影を終えるなり、すぐに機材を片付けましたが、これが正解。
その直後、17時21分頃には船岡山の上も激しい風と雨に見舞われます。
傘は持っていましたが、まったく役に立たない横殴りの暴風と雨。
為す術もなく全身がずぶ濡れに。
なんとか下山し、事務所に逃げ帰りましたが、30分も経たないうちに雨は止み、先ほどの嵐はなんだったのかという有り様。
まさにゲリラ的な集中豪雨と呼ぶにふさわしく。

比叡山地で発達し、主に京都盆地の東部寄りの地域に夕立をもたらす夏の入道雲を「比叡三郎」、あるいは「近江小太郎」と称します。
昨日の雷雲は、まさにその「比叡三郎」で、醍醐山地から鷲峰山系に沿って南下していきました。
京都に夕立をもたらす入道雲としては、丹波高地で発生し、愛宕山や京都西山で発達しながら東進や南下する「丹波太郎」が有名で、とくに発生する頻度も高い印象を受けますが、笠置山地で発達し、山城盆地にも雨を降らせる「奈良二郎」(奈良次郎)、あるいは「山城二郎」(山城次郎)もあります。

愛宕山の展望 三角点峰から眼下に夏の京都を一望 2015年7月

愛宕山から大阪のハルカスや六甲山を遠望 丹波太郎 2020年~2023年の千日詣

2015.07.23

「丹波太郎」については上の記事で取り上げています。

その後、晴明神社さんに参拝し、雨上がり、かつ、平日であれば人の出も少ないのではないかと考え、「京の七夕」の堀川会場を覗きましたが、週末よりはましとはいえ、相変わらずの盛況。
近年は人混みの中で写真を撮影しようという意欲が湧かないため、そのまますぐに退散しました。
後から考えてみれば、夕立と風で少しは涼しくなったため、むしろ外出しようという気になった方が増えたのかもしれませんね。

「京の七夕」は8月10日まで。
https://kyonotanabata.kyoto.travel/

追記しておきますと、この日(8月3日)の落雷の影響でガーデンミュージアム比叡さんの電気設備が故障したり、大雨の影響で瓜生山の南西部が大きく崩落しました。
遠くから眺めていても激しく降っている印象を受ける空でしたので、さもありなんと言ったところでしょうか。
昔と比べると局地的な大雨の危険度が増していると感じます。

2015年8月

建勲神社(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「建勲神社」周辺の地図を表示
「船岡山(フナオカヤマ)(ふなおかやま)」
標高111.6m(111.7mから改定)(三等三角点「船岡山」)
京都府京都市北区

「建勲神社(タケイサオジンジャ、ケンクンジンジャ)(たけいさおじんじゃ、けんくんじんじゃ)」
京都府京都市北区紫野北舟岡町 付近

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ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!