私が何かを書くと、それがフラグとなって何かしらの面白イベントが発生するのが常ですが、今回も期待を裏切らない、お約束とも言える展開が待っていました。
前回の記事(上の記事)で、「京都市内の山から和歌山県最高峰の龍神岳を遠望する機会は少ない」だの「京都北山の高峰からなかなか撮影できない」だの書きましたが、昨日、つまり2016年(平成28年)3月12日、他の山を歩いたついでに天狗杉(花背山)を登山したら、春先としては条件よく大峰山脈や紀伊山地西部の高峰が見えていました。
とくに、龍神岳を含む護摩壇山地や伯母子岳を含む伯母子山地の見え方は明瞭そのもので、「世界緑内障週間」に伴う京都タワーのグリーンのライトアップと合わせて撮影できました。
3月12日の直前あたりになると、妙に気温が下がり、春とは思えないほど遠くまで見えやすくなるのは毎年の恒例行事とも言えます。
この現象を誰かさんは以前から「お水取りの冷え込み」などとおっしゃっていて、なるほどと思うしだいです。
京都北山 天狗杉(花背山)の展望・眺望
京都から和歌山県最高峰を遠望・撮影
和歌山最高峰の龍神岳や護摩壇山、奈良大阪の金剛山や生駒山、緑色の京都タワーを京都北山の天狗杉(花背山)から遠望する。
主な山、建築物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
中峰 (中峯) | 122.3km | 1277.5m | 奈良県吉野郡野迫川村 奈良県吉野郡十津川村 | |
護摩壇山 | 123.4km | 1372m | 和歌山県田辺市 奈良県吉野郡十津川村 | |
龍神岳 (丸山) | 123.1km | 1382m | 奈良県吉野郡十津川村 和歌山県田辺市 | 和歌山県最高峰 紀伊山地西部最高峰 |
耳取山 | 123.1km | 1363m | 奈良県吉野郡十津川村 和歌山県田辺市 | |
千の時 | 122.8km | 1344.1m | 奈良県吉野郡十津川村 | 点名「千ノ時」 |
荒神岳 (古荒神岳) | 111.9km | 1260.1m | 奈良県吉野郡野迫川村 | 点名「古荒神」 |
伯母子岳 | 120.2km | 1344m | 奈良県吉野郡十津川村 奈良県吉野郡野迫川村 | |
湧出岳 | 82.5km | 1111.9m | 奈良県御所市 | |
金剛山 (葛木岳) | 82.2km | 1125m | 奈良県御所市 | 金剛山地最高峰 |
白雲岳 | 81.9km | 985m | 奈良県御所市 | |
生駒山 | 53.7km | 642.0m | 奈良県生駒市 (大阪府東大阪市) | 生駒山地最高峰 |
千鉾山 | 43.2km | 311.3m | 京都府京田辺市 奈良県生駒市 | |
交野山 | 41.1km | 341m | 大阪府交野市 | 河内富士 |
京都タワー | 18.7km | (131m) | 京都府京都市下京区 |
天狗杉(花背山)は旧花脊峠と花脊峠の間に所在する三角点837.0m峰で、左京区花脊と鞍馬を分ける山、あるいは花脊の山間部と京都盆地の間に聳える山です。
つい10年ほど前までは酷い藪山で、雲取山を登ったついでに旧花脊峠から藪を漕いで登頂したものですが、鹿による食害や開花により笹が失せただけではなく、バス会社さんのトレッキングコースに組み込まれた影響もあり、現在では容易に登頂できる山となりました。
山頂から僅かに南東に下ったあたりが開けた好展望地となっており、やや距離が離れますが、京都東山と京都西山の間に広がる京都盆地を一望できます。
空気が澄んだ好条件の日であれば、遠くには紀伊山地の高峰、それに大阪の超高層ビル「あべのハルカス」も見通せます。
当該山域ではツキノワグマが何度も目撃されているため、他の方にはお勧めできませんが、私は疲れた時はここで昼寝していることもあります(ただし、盛夏の時期は虫だらけです)。
過去に一度だけ、キツネさん(ホンドギツネ)も間近で観察できました(京都では河川敷周辺に多く生息していたキツネの個体数が激減しています)。
そのため、とくに近年は頻繁に訪れている山と言えますが、その見晴らしの良さを記事として紹介する機会がなく、ここまで引っ張ってしまいました。
今回も時間の都合で金剛山や生駒山、その後方に見える龍神岳の写真のみ掲載しておきます。
スペースの都合で荒神岳は古荒神岳(三角点1260.1m峰)のみ示していますが、その左に立里荒神(標高点1242m峰)も写っています。
湧出岳の手前に大和葛城山が、その右手前に二上山が連なっていますが、金剛山と重なるため、写真では分かりません。
東寺さんの五重塔は「東寺 五重塔」と指し示している下ですが、やや分かりにくいでしょうか。
字の左に見えるビルはNTTコミュニケーションズ京都南ビルです。
昨日は日没頃から京都タワーの塔体がグリーンにライトアップされており、上の写真を撮影した18時には「写真では」緑色の照明を確認できました。
肉眼では点灯しているとは分からなかったです。
あと30~40分も山の上で待てば、京都の美しい夜景と緑色の京都タワーを撮影できることは分かっていましたが、昨日の日没時は強い風が吹き荒れており、気温も氷点下まで下がっていたことから、諦めて早々に退散しました。
京都北山の高峰の上から龍神岳や護摩壇山と京都タワーの夕景を1枚の構図に収めて撮影できたことに十分すぎるほど満足しています。
なお、天狗杉より北側(花脊側)は、今月下旬(2016年3月下旬)に正式に国定公園に指定される「京都丹波高原国定公園」の範囲に含まれます。
ただし、展望地はわずかに南側(鞍馬側)にあたります。
かつて、花脊側は山城国愛宕郡別所村に、鞍馬側は山城国愛宕郡鞍馬村に属していたため、天狗杉は全域が旧山城国にあたる山と言えます。
「京都丹波高原国定公園」という呼称から、旧丹波国の山だと誤解する方が増えそうなのが気掛かりです。
リンク先の記事で「天狗杉」の山名の由来などについて述べていますので、興味がある方は合わせてどうぞ。
山からの帰りに船岡山に立ち寄り、船岡山から京都タワーや夜景を撮影しました。
京都市北区 船岡山の展望・夜景
緑色の京都タワー
「世界緑内障週間」に合わせてグリーンにライトアップされた京都タワーと伏見桃山城を船岡山から遠望する。
かなり暗めに抑えた設定で撮影しましたが、やはり空気が澄んだ夜は明るく鮮やかに写ります。
3月10日と12日にグリーンにライトアップすると告知されていましたが、10日の夜の照明は私の目には青色(ブルー)にしか映らなかったです。
昨晩、12日の夜は明らかに緑色(グリーン)だと感じました。
京都の夜景
船岡山から京都の夜景と生駒山、緑色(グリーン)の京都タワーを望む。
主な山、建築物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
生駒山 | 40.4km | 642.0m | 奈良県生駒市 (大阪府東大阪市) | 生駒山地最高峰 |
天王山 | 16.3km | 270m | 京都府乙訓郡大山崎町 | |
京都タワー | 5.9km | (131m) | 京都府京都市下京区 |
夜間に40km先の生駒山の山影が分かるのは珍しいでしょうか。
今晩(3月13日)は、3月2日の夜と同様、塔体照明の点検のため、さまざまなカラーの照明が点灯するそうです。
前回と同様、点検と称したLEDカラーバリエーションの試験点灯ではないかと見ています。
予定では19時からとなっていますが、どうもお天気があやしく。
すでに3月1日からLED照明に切り替わっていると考えられますが、明日、2016年3月14日は「京都タワーLEDライトアップ点灯式」が開催されます。
いよいよですね。
点灯式の話は上の記事に。
余談
「龍神岳」の呼称について
龍神ノ近傍ハ。山岳重疊シテ。甚タ。嶮岨ヲ極ム。故ニ。其地ヲ山地。其山ヲ。龍神山ト総稱セリ。
『紀伊日高郡地誌略』
1882年(明治15年)の『紀伊日高郡地誌略』には上のように見え、「龍神近傍の山地を龍神山と総称する」ことが伝わります。
龍神山は個別の山名ではなく総称であり、旧来、「丸山」と呼ばれていた山を新たに「龍神岳」と命名したのは早まったのではないか、調査不足ではないかと思わざるを得ません。
もちろん、上記とは別に、田辺市には奇絶峡の西にも龍神山があることは存じています。
そちらの龍神山も過去に4回ほど訪れていますが、とくにJR紀勢本線の紀伊田辺駅でも雪が降った日(きわめて珍しい)に他の方々と登ったのは忘れられません。
天狗杉(花背山)(地理院 標準地図)
「天狗杉(テングスギ)(てんぐすぎ)」別称として「花背山(ハナセヤマ)(はなせやま)」
標高837.0m(三等三角点「三輪谷」)
京都府京都市左京区
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