笹間ヶ岳の夜景 瀬田川 船幸祭花火大会を遠望 月下のサギソウ

いわゆる「五山送り火」(京都五山の送り火)の翌日にあたる2013年(平成25年)8月17日の話。
この日は滋賀県大津市に所在する「近江国一宮」建部大社さんの船幸祭。
船幸祭に伴う花火大会、俗に「船幸祭花火大会」や「瀬田川花火大会」とも呼ばれていますが……、打ち上げ花火の撮影も兼ねて、どこぞの山 湖南アルプスの笹間ヶ岳を登りました。

この夜、私が登山した山について、記事の初稿公開時は山名を伏せていましたが、花の写真だけでも分かる方には分かる内容でした。
コメント欄で山名を出した都合、後年、山名を具体的に公表する内容に改めましたが、ナイトハイクに慣れていない方にとっては安全とはいえない山ですので、真似はなさらないほうがよいでしょう。
これは夜間の話ではありませんが、当該山域では定期的に遭難事件や滑落事故も起きています。

湖南アルプス笹間ヶ岳から建部大社の船幸祭に伴う打ち上げ花火を遠望 2013年8月
湖南アルプス笹間ヶ岳から建部大社さんの船幸祭に伴う打ち上げ花火を遠望する。
お世辞にも好条件とはいえない夜でしたが、打ち上げ花火、大津市の夜景、琵琶湖、大津プリンスホテルさん、近江大橋、JR東海道本線(琵琶湖線)の瀬田川橋梁、瀬田川大橋などが写っています。

出発前、気象庁さんによる「降水短時間予報」には目を通していましたが、予想では雨が降りそうもなく。
ところが、笹間ヶ岳に入山後、30分ほど登ったあたりで頬にぽつりと水滴が当たり、どうも嫌な予感がします。
もしやと思い、スマートフォンから「XバンドMPレーダ雨量情報」を確認してみると、この付近で急速に雨雲が発達している様子。
さすが、よく雨が降る山域です。

夕立、局地的大雨、ゲリラ豪雨……、さまざまな言葉が脳裏に浮かびます。
雨量情報を見るかぎり、夕立の本体はまだ後方にあるものの、その中心部は赤色圏(50~100mm/h)、紫色圏(100mm/h~)という最高級の激しさ。
しかも、進路を予想するに、私がいる山の上空を直撃、通過する可能性が高く。
幸いにも、先達の様子から、この夕立は雷を伴っていないと推測できました。
局地的に激しく降るにせよ、短時間で頭上を通過していくことも予想されます。
どうするか悩みましたが、この進行速度では今から下山しても間に合いそうもなく、雨に対する備えもできていることから、この場で対策を講じることにします。

もちろんレインウェアは持っていますので、私自身はそちらを着るとして、撮影機材を濡らすわけにはいかず、大型のごみ袋でバックパックを二重に覆います。
低い樹林帯の岩場に潜みながら夕立の本体を待ち受けることに。
約15分後、激しい雨音が聞こえ、文字どおりの集中豪雨が山を襲いましたが、私が避難していた場所は、頭上の藪や低木、岩場が防いでくれたため、私自身はもちろん、撮影機材もいっさい濡れることはなく。
最初の雨粒が頬を濡らしたときから約50分ほど時間を費やしましたが、無事に夕立も通過し、装備などを確認後、再出発です。

雨後、月下できらめくサギソウ(鷺草) 滋賀県 2013年8月
笹間ヶ岳。夕立の通過後、雨に濡れたサギソウ(鷺草)。滋賀県大津市。

すでに山中は暗くなっていましたが、目当ての1つであるサギソウも無事に撮影。
池のほとり、月明かりに照らされたそれは美しく輝いており、もう少しゆっくりと過ごしたいという気持ちが芽生えましたが、夕立で時間を費やしたため、急いで山頂の岩場へ向かわなければ花火の打ち上げ開始時刻に間に合いません。

なんとか開始予定時刻の20時前には笹間ヶ岳を登頂。
真っ暗で何も見えない山頂の八畳岩……、当然のように貸し切りです。
前日、五山送り火の夜ほどではないにせよ、この夜も霞んで遠くは見えにくく。
しかしながら、この程度の距離であれば打ち上げ花火が放つ光は届くでしょう。

以下のギャラリーは撮影時の時系列順に並んでいます。
今回の記事の冒頭で掲載している花火の写真は、下の並びだと4枚目と5枚目の間に撮影した写真です。
動画でも撮影しておきましたが、整理が進まないので放置しています。

瀬田川花火大会と琵琶湖汽船を湖南アルプスから遠望 滋賀県大津市
瀬田川花火大会と近江大橋を湖南アルプスから遠望 滋賀県大津市

瀬田川花火大会を湖南アルプスから遠望する。滋賀県大津市。
よく見ると、写真によっては(時間帯によっては)近江大橋の向こうに琵琶湖汽船も写っていますね。

びわ湖大津プリンスホテルと瀬田川花火大会を遠望 2013年8月
琵琶湖と瀬田川花火大会を笹間ヶ岳から遠望 2013年8月

瀬田川花火大会を笹間ヶ岳から遠望する。滋賀県大津市。
打ち上げ花火の左後方に、びわ湖大津プリンスホテルさんが写っています。

建部大社 船幸祭の花火大会を湖南アルプスから遠望 大津市 2013年8月
船幸祭花火大会と琵琶湖を湖南アルプスから遠望 大津市 2013年8月

建部大社さんの船幸祭花火大会を湖南アルプスから遠望する。大津市。
霞んでいるのが難点ですが、琵琶湖や近江大橋などが重なることもあり、打ち上げ花火の構図としては悪くないように思えます。

瀬田川花火大会を遠望 建部大社 船幸祭 滋賀県大津市 2013年8月
瀬田川の花火、琵琶湖の夜景を湖南アルプス笹間ヶ岳から遠望 滋賀県大津市

瀬田川の花火、琵琶湖の夜景を湖南アルプス笹間ヶ岳から遠望する。
おそらく、石山や瀬田の周辺では雨が降らなかったでしょうから、船幸祭の現地周辺にいらっしゃる方々は、私が登った湖南アルプスで激しい雨が降っていたとは思いもよらなかったでしょうね。

以上、2013年8月17日の話。

おまけ。

船幸祭(瀬田川花火大会) 瀬田唐橋と打ち上げ花火 2011年8月
船幸祭(瀬田川花火大会)。瀬田唐橋と打ち上げ花火。滋賀県大津市。

上の1枚のみ、2011年(平成23年)に撮影した船幸祭の写真です。
遠景になると「青色の花火」の色を拾えなくなる傾向が強いため、比較用に近くから撮影した写真を掲載しておきます。
やはり、打ち上げ花火は間近で見るほうが迫力がありますね。

追記。

笹間ヶ岳 八畳岩から大津や草津の夕景、琵琶湖、近江大橋、比叡山、蓬莱山を望む 2015年8月

笹間ヶ岳 八畳岩の夕景 琵琶湖や生駒山を眺望 湖南アルプス

2015.08.29

後年、笹間ヶ岳のサギソウを観賞し、八畳岩から夕景を眺めた日の話は上の記事に。

笹間ヶ岳(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「笹間ヶ岳」周辺の地図を表示
「笹間ヶ岳(ササマガタケ)(ささまがたけ)」
標高432.9m(三等三角点「権現山」)
滋賀県大津市

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4 件のコメント

  • 「どこぞの山」って、音羽山ですか。岩間山ですか。京都に住んでいた時、音羽山、岩間山、奥宮神社にそれぞれ1回ずつだけ行ったことがあります。琵琶湖にも数回だけ。健康のため、ウォーキングの延長で、大文字山を越えて、ゴルフ場を通り抜けて…京都市から大津市へ、琵琶湖が見えると、すごくうれしい気持ちになったのを思い出しました。私自身、初の琵琶湖だったので。昔の人は、京都への往来で、どういう思いで琵琶湖を見ていたのだろうって、少し考えました。

    • こんばんは。
      江戸時代に刊行された旅行記風の観光案内書である『京城勝覧』に、白川村(京都市左京区北白川)から今道越を利用して上坂本(大津市坂本)へと抜ける際の描写として、

      今道のたうげより眼下に湖水見へて佳景なり
      『京城勝覧』

      とあります。
      昔の人も「たうげ(峠)」を乗り越えた先に琵琶湖が見えたことにはなにかしら感慨深いものがあったのでしょうね。

      撮影地点は音羽山でも岩間山でもありませんが、音羽山からでもこの花火大会や、また別の有名な花火大会も望むことができます。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    Maro@きょうのまなざし

    京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!