上賀茂 大田の小径から「大文字」の送り火と京田辺の花火を望む

2015年8月16日、「五山送り火」(京都五山の送り火)の夜の話。
お天気も今ひとつ、今年は親しい方と近場から送り火を眺めようと賀茂川へ向かったものの、気になることがあり、点火が始まる少し前に私ひとりだけ上賀茂へ。

京都の里山は大文字山(如意ヶ嶽)の「大」の字跡(火床)に対する展望が開けていることが多く、これは地元の方々が送り火を観賞するために見晴らしを良くしていらっしゃるものだとばかり考えていました。
ですが、街中の多くの地点から容易に送り火を観賞できるにもかかわらず、わざわざヤブカ(ヒトスジシマカ)の脅威に晒されてまで、暗闇に覆われた山の中から見るものでしょうか。
たとえば、上賀茂の大田神社さんの裏山にあたる「大田の小径(おおたのこみち)」からは大文字山の「大」の字跡を見通せますが、わざわざ山を登らずとも、上賀茂から松ケ崎方面へ向かえば「妙法」を、西賀茂方面へ向かえば「舟形」を間近に見上げることができます。
少し場所を工夫すれば平地から「大文字」を眺めることもできるでしょう。
わざわざ山の上から「大文字」のみを見ようとする理由が見当たりません。
今まで、「地元の方々が送り火を観賞する」と考えていたのは私の勝手な決め付けではないかと思い、実際に確認してみることに。

大文字(如意ヶ嶽)の送り火を遠望

直前の思いつきで行動したため、時間はぎりぎり。
大田神社さんから一気に山を駆け登り、「大田の小径」の山頂付近、「大文字」が見える地点にたどり着いたのは19時55分頃。
なんとか点火には間に合ったようです。
山中は小雨が降っていますが、この程度であれば問題ないでしょう。
案の定、「大田の小径」では誰とも出会うことはなく、今晩は孤独な観賞会となりそうです。
余談ですが、「大田の小径」は「大田の小道」や「大田の小路」ではありません!

「大文字」の点火の直前から燃え盛るまでを動画で撮影しようと企んでいましたが、19時59分にはフライング気味に点火が始まります。
あっという間に真っ赤な「大」の字が大文字山の中腹に描かれてしまい、すっかり撮影のタイミングを逃してしまいました。
仕組みが変わったこともあり、近年は急速に燃え広がります。

五山送り火「大文字」(大文字山、如意ヶ嶽)と京都の夜景 2015年8月
五山送り火「大文字」(大文字山、如意ヶ嶽)と京都の夜景。
2015年8月16日20時2分撮影。

いちおう動画でも。音声無し。60秒。

五山送り火「大文字」(大文字山、如意ヶ嶽)と京都の夜景を上賀茂から眺める。

上の動画は20時ちょうどに撮影しましたが、すでにこの燃え広がり方です。
腕時計、スマートフォンの時計、カメラの内部時計で確認しましたが、今年は19時59分に点火されました。

京田辺の花火大会を遠望

「大文字」の点火を確認後、岩場の展望地へ場所を移します。

京田辺花火大会(京田辺夕涼みの集い)の打ち上げ花火を遠望 2015年8月
展望地からは京都府京田辺市の木津川畔で上がる花火も見えていました。
この打ち上げ花火は「京田辺夕涼みの集い」に伴うものです。
撮影地点から花火の打ち上げ地点まで25.4km。

上賀茂「大田の小径」から京田辺花火大会、伏見桃山城のライトアップを遠望 2015年8月
左端には伏見桃山城のライトアップも写っています。
「五山送り火」の夜は京都タワーが消灯されるため、伏見桃山城のほうが目立ちます。
撮影地点から伏見桃山城の天守閣(模擬天守)まで13.6km。

京田辺の花火、伏見桃山城のライトアップ、京都の夜景を上賀茂から遠望 2015年8月
よく見ると、静止画であれば「青い色」の打ち上げ花火も写っています。
「赤い色」の花火は遠くからでも撮影できますが、「青い色」の花火は遠くからでは見えにくく。

花火の撮影地点(岩場の展望地)と「大文字」の撮影地点(中山の山頂)は異なります。
現状では「大田の小径」から「大文字」と京田辺の花火を同じ構図に収めて撮影するのは難しそうです。

上賀茂神社境外摂社 大田神社を参拝 「大田の小径」登山口 2015年3月

上賀茂 大田の小径ハイキング 黄色の京都タワーを展望

2015.03.29

「大田の小径」からの展望については過去の記事で取り上げています。

京田辺の花火も動画で。音声無し。32秒。

「五山送り火」の夜、京田辺花火大会と伏見桃山城のライトアップを上賀茂から遠望。

遠く奈良方面は悪天候のようで、空気の澄み方も良くもなく悪くもなく程度にすぎず。
次々と打ち上がる花火そのものは肉眼でも明瞭に見えていましたが、上賀茂に陣取る私の目には橙色や赤色、白色の花火しか届きません。
空気が澄んだ好条件の夜であれば、遠くから撮影した動画でも青色や緑色の打ち上げ花火が写ります。
個人的な経験では、直線で40~50kmを超える距離で打ち上げられた青い花火を動画で撮影できる機会は稀で、気温・湿度ともに高い夏の夜ともなればなおさらです。

突発的な軽いナイトハイクでしたが、ちょっとした疑問も解決できました。
地元の方の迷惑となる可能性もありますので、今後、当地から送り火を眺めることはないでしょう。
雨が気になるため、花火を観賞した後、20時25分頃には下山。
急げば「舟形」の残滓を撮影できそうでしたが、そこまでするほどのこともなく、先ほど別れた方と落ち合います。
「大文字が見えた」「法が見えた」とおっしゃるので、「私は山の上から京田辺の花火を見た」と申し上げましたが、興味を持たない方には今ひとつ意味が分からないようで、「何を言ってるの」と笑われてしまいました。

大田の小径(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「大田の小径」周辺の地図を表示
「大田の小径(オオタノコミチ)(おおたのこみち)」
山頂と見なせる地点 標高161m
京都府京都市北区

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!