京都 金毘羅山 夜景や風景 京都タワーを遠望 大原の里10名山

すでに半年前となりましたが、2014年(平成26年)5月下旬の話。
この時期としては遠くまで見えやすい日に京都市左京区大原と静原を分ける金毘羅山を登山しました。
山頂付近の展望地からは、遠く「あべのハルカス」や金剛山、和泉山脈まで望むことができ、4月に訪れた際の心残りが解消されます。

京都の金毘羅山から天王山の向こうに大阪の「あべのハルカス」を遠望 2014年5月

大原の金毘羅山から「あべのハルカス」を遠望 神代文字碑

2014.11.21

金毘羅山から見える遠景の話は前回の記事に。今回はその続きです。
なお、この山は金羅山と表記されやすいですが、現状、国土地理院の成果(地形図)や、山麓にあたる江文神社さんの由緒書きでは「金羅山」の表記であり、当サイトではそれに従います。

せっかく好展望の山、好条件の日。
広く見渡せる夕景や夜景も撮影してから山を下ることにしましょう。

京都市左京区 金毘羅山の展望・眺望

神代文字碑(石柱)からの夕景

金毘羅山の展望地から京都の夕景を望む 京都市左京区大原・静原 2014年5月
金毘羅山から京都の夕景を望む。京都市左京区。
神代文字碑の展望地(東峰と西峰の間の展望地)から撮影しています。

前回の記事では金毘羅大権現さんの展望地(東峰の展望地)から撮影した写真と、神代文字碑の展望地(東峰と西峰の間の展望地)から撮影した写真が混在していましたが、今回の記事で掲載している夕景や夜景の写真は、すべて神代文字碑の展望地から撮影したものです。
いずれも南向きが開けており、見晴らしが良い好展望地です。

上の写真をよく眺めてみると、小塩山の右下、西山団地のあたりが明るく光っていることが分かります。
山の東側にあたる地域は日が隠れるのが早いため、明かりが点くのも早くなるでしょう。
日中は見えやすかった「あべのハルカス」ですが、この時間帯はやや見えにくく、前回の記事に掲載している写真と照らし合わせないと、その場所は分からないでしょう。
京都タワーは左端でぎりぎり見切れていますが、この構図から少し左を向けば、生駒山と併せて望むことができます。

生駒山、京都タワーを遠望

金毘羅山から和泉山脈東部、生駒山、京都タワーを望む 2014年5月
金毘羅山から和泉山脈東部、生駒山、京都タワーを望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
岩湧山85.8km897.1m大阪府河内長野市
南葛城山
(嵯峨谷ノ峰)
88.0km922m大阪府河内長野市
和歌山県橋本市
和泉山脈最高峰
神野山89.6km869m大阪府河内長野市
(和歌山県伊都郡かつらぎ町)
畑山89.6km818m和歌山県伊都郡かつらぎ町
大阪府河内長野市
生駒山50.2km642.0m奈良県生駒市
大阪府東大阪市
生駒山地最高峰
飯盛山
(河内飯盛山)
45.7km314m大阪府大東市
(大阪府四條畷市)
交野山37.9km341m大阪府交野市河内富士

和泉山脈東部の山々(河内長野市南縁部の山々)については、奥に南葛城山を含む和泉山脈の東西の主稜線が、その手前に岩湧山を含むダイトレ(ダイヤモンドトレール)の東西の稜線が重なるように見えていますが、(京都市から遠望する場合、)よほど好条件の日でもないかぎり、両者が分離するような見え方にはならないでしょう。

上の写真には生駒山地の「交野(コウノ)山」、和泉山脈の「神野(コウノ)山」が写っています。
加えて、同じく和泉山脈の「神於(コウノ)山」、北摂山系の「鴻応(コウノ)山」、あるいは笠置山地の「神野(コウノ)山」などを1枚の構図に収めることが可能な地点はどこか、といったことを調べてみるのも一興です。
答えの一例として→ [1]
山岳展望の面白さをどこに見出すかは個々の主観によるところが大きいですが、私は常日頃からこういったくだらないことばかり考えています。

京都、大阪の夜景

金毘羅山から京都、大阪の夜景、「あべのハルカス」を望む 2014年5月
金毘羅山から京都、大阪の夜景、あべのハルカスを望む。

主な建築物距離(地上高)所在地備考
あべのハルカス58.9km(300m)大阪府大阪市阿倍野区日本一高いビル
京都タワー15.7km(131m)京都府京都市下京区

「大阪の夜景を望む」と大きく出ましたが、北摂や北河内方面、ならびに、あべのハルカスなど、大阪市のごく一部の街明かりが見えているにすぎません。
屋内照明の影響もあり、暗くなると、また、あべのハルカスの場所が分かりやすくなりましたね。

京都の夜景と比叡山

金毘羅山の岩場の上から京都の夜景、比叡山を望む 2014年5月
金毘羅山の岩場の上から京都の夜景、比叡山を望む。
岩の上に陣取っている、目立つ邪魔な影の左後方に見えている双耳峰が比叡山です。
写真でもお分かりいただけるように、市街地までの距離が遠く、わざわざ夜景のみを目的として訪れる山ではありません。

時計を見てみると19時25分頃、もちろん、すでに山中は真っ暗ですが、5月下旬という時節柄、京都の街が暗闇に覆われるまでには時間がかかります。
もう少しゆっくり過ごしたいところではありますが、このあたりで諦めて下山することにしました。
近年、金毘羅山の周辺でもツキノワグマが目撃されており、静原では捕獲例もあります。
残念ながら、トワイライトハイキングやナイトハイキングに向く山域ではなく。

大原の秋葉原地蔵さん

大原の秋葉原地蔵さん越しに金毘羅山を望む 京都市左京区 2014年5月
大原の秋葉原地蔵さん越しに金毘羅山を望む。
この日、金毘羅山を登る前にお参りし、その際に撮影した写真です。

戸寺のバス停留所(大原戸寺町)の付近、京都一周トレイルコース脇に見える「秋葉原地蔵尊」。
ちょうど、金毘羅山(金毘羅大権現)を背負う場所でお祀りされています。
観光地としての大原からは外れているとはいえ、バス停の近く、かつ、トレイルコースとしてハイカーさんらが多く通行する地点でありながら、こちらのお地蔵さんの知名度はきわめて低いようです。
大原の地でも愛宕山に対する組織的な講、「愛宕講」(あたんこ、あたんこう)が見られますが、秋葉山も修験道と関わりが深い火伏せの神様として知られています。

写真で「山」の字の下あたりの目立つピークが金毘羅山の東峰(最高峰)、三壺大神さんがお祀りされている頂です。
金毘羅山の山頂域は住所の上では静原(静市静原町)にあたりますが、大原から見ると険しくも美しい山容を誇っており、大原の山と見なすに値するでしょう。
金毘羅山は寂光院さんや江文神社さんの裏山でもあり、近年では「大原の里10名山」に選定されています。
山頂の三壺大神では火壺(火の神)も祀っており、山麓の江文神社さんでは軻遇突智神(カグツチ)と見なしていらっしゃるようです。
(現在の愛宕神社さんの公式サイトでは祭神を載せていらっしゃいませんが、)軻遇突智神は秋葉神社さんや愛宕神社さんの祭神でもあります。

追記。
いわゆる「愛宕講」を「アタゴコウ」ではなく「あたんこ」や「あたんこう」と呼ぶことは存じていましたが、そもそも、古くは「天狗」を「アタンコ」と読んでいたそうです。
別件で目を通していた大正時代の本に、「愛宕(アタコ)」と「天狗(アタンコ)」は音韻を同じくすると書いてあり、個人的にはちょっとした衝撃を受けました。
民俗学者の柳田國男による、関東では狐を「トウカ」「オトウカ」と呼ぶが、これは「稲荷(トウカ)」の音韻だとする指摘に近いものを感じます。

愛宕山(愛宕神社)と言えば、もちろん、大天狗の太郎坊さんですが、金毘羅山にも大天狗(魔王)と化したとも伝わる崇徳天皇を祀る琴平新宮社さんがあり、山頂には「魔王大神」と刻まれた石碑が建立されています。
あるいは、すでに失われましたが、延暦寺さんとの関わりが深かったと考えられる江文寺、これはどこに限りませんが、険しい山の上で修業する仏者や行者は天狗と重ねて見られることもありました。
大原の地で(比叡山などの山々と比較すると)遠い地にある愛宕山に対する信仰が根付いていたのは、天狗とも関係があるのかもしれません。
江文寺が廃絶した後も金毘羅山は行場としての性質を残しており、江戸時代には山上に行場が設けられたと考えられます。

京都の金毘羅山から天王山の向こうに大阪の「あべのハルカス」を遠望 2014年5月

大原の金毘羅山から「あべのハルカス」を遠望 神代文字碑

2014.11.21

魔王大神の話などは前回の記事に。
追記終わり。

関連記事 2014年5月 金毘羅山の風景・遠景

すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。

金毘羅山 三角点峰(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「金毘羅山」周辺の地図を表示
「金毘羅山(コンピラヤマ)(こんぴらやま)」
別称として「江文山(エブミヤマ)(えぶみやま)」
西峰(三角点峰) 標高572.5m(572.7mから改定)(三等三角点「根王」)
東峰(最高峰) 標高約580m
京都府京都市左京区

地形図(地理院地図)に表示される山名は「金毘羅山」であって、「金比羅山」ではありません。

脚注

  1. たとえば、35mm判換算で焦点距離35mm相当のレンズを使用すれば、比叡山(四明岳)の展望地から交野山、神野山(和泉山脈)、神於山、鴻応山を1枚の写真に収めることができます。本記事で取り上げている、金毘羅山の展望地からは鴻応山を見通せません。[]

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!