「五山送り火」(京都五山の送り火)から2日後、2015年(平成27年)8月18日の話。
この日は少しは遠くまで見えそうな気配があったため、夕方から大文字山へ。
16日の夜や17日は悪天候だったため、18日に炭をいただきにいらっしゃる方が多いかと思いきや、私が火床を訪れていた時間帯はそうでもなく。
大文字山の山頂(三角点)から生駒山は色濃く鮮やかに見えていたものの、それより遠くとなると今ひとつ。
金剛山や大阪の高層ビル群も曖昧な見え方にすぎず、期待したほどではありません。
ですが、残暑きびしい中、望遠レンズを担いで山を登った甲斐はありました。
大文字山のホツツジ
ぶらぶら大文字山の山中を歩いていたら、遠くの斜面の上に咲く白いお花の姿が目に入ります。
リョウブかと思い近寄ってみたら、ホツツジのお花でした。
長年、大文字山を登り続けていますが、この山でホツツジを見たのは初めてです。
分布範囲はきわめて狭いようで、いかにもツツジの仲間が好みそうな荒れた崖地に少しだけ根を張っていました。
私の手が届きそうで届かない高所に咲いており、足場もよくないため、お花に近付けそうにありません。
もし、望遠レンズが無ければ、ひどくぼけた写真しか撮影できなかったでしょう。
この時期の里山はお花が少ないこともあり、白いお花は遠くからでもよく目立っていました。
如意ヶ岳から「くさつ夢風車」と霊仙山を望む
如意ヶ岳(大文字山)の展望地から霊仙山、烏丸半島の「くさつ夢風車」を遠望する。
撮影地点から霊仙山(滋賀県犬上郡多賀町)まで57.8km。
高い気温の影響か、湖北方面ももやっており、かろうじて鈴鹿山脈北端の霊仙山は見えていましたが、伊吹山の山頂は肉眼では曖昧な見え方でした。
同様に、木々の合間に琵琶湖大橋は見えていましたが、遠くの金糞岳が見えるほどではありません。
烏丸半島の風力発電(稼働停止中)を京都市内から望める場所は限られており、実は貴重な構図です。
2018年(平成30年)12月、追記。
報道によると、2019年(平成31年)1月15日より「くさつ夢風車」の撤去工事が始まるとのこと。
如意ヶ岳から風車越しに霊仙山を眺望できるのも、あと僅かの話です。
伊吹山と夢風車の構図で撮影した写真は上の記事などに。
石川の白山と夢風車の構図で撮影した写真は上の記事に。
長野の御嶽山と夢風車の構図で撮影した写真は上の記事に。
今までお疲れさまでした。
追記終わり。
大文字山の山頂から約40km先の生駒山は明瞭に見えるが、それより遠くや大阪の街並みとなると、極端に見えにくくなる。
これを個人的に「遠望40kmの壁」と呼んでいますが、やや条件が良い夏の日にありがちな景色です(夏の近畿圏は平地の湿度が高い)。
大阪方面は早々に見切りを付け、40km未満に所在する山々や平地を眺めながら夕涼み。
大文字山から「豊能富士」鴻応山と能勢妙見山を遠望
大文字山から老ノ坂の向こうに「豊能富士」鴻応山と能勢妙見山を望む。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
妙見山 (能勢妙見山) | 33.0km | 660.1m | 大阪府豊能郡豊能町 大阪府豊能郡能勢町 兵庫県川西市 | |
鴻応山 | 29.1km | 678.7m | 京都府亀岡市 大阪府豊能郡豊能町 | 豊能富士 |
長尾 (高岳) | 30.7km | 555.7m | 京都府亀岡市 | 点名「峯」 |
点名「奥ノ院」 | 31.4km | 540.7m | 大阪府豊能郡能勢町 | 妙見奥ノ院 |
京都から亀岡へ抜ける唐櫃越や老ノ坂の向こうに豊能や能勢の山々が見えています。
手前に見えているのは西京極から上桂のあたりで、桂川に架かる上野橋のみ示しておきましたが、左には西大橋も写っています。
時おり、大文字山(の山頂)から妙見山(の山頂域)が見えることを話の種としていますが、これにこだわるのは「大文字山から見える兵庫県の山がきわめて少ない」ことも一因です。
比叡山と異なり、大文字山からは六甲山や氷ノ山が見えないため、妙見山を除けば、大文字山から見える兵庫県の山は、淡路島の諭鶴羽山地、三田市・猪名川町の昼ヶ岳の周辺、篠山市の飛曽山の周辺、満燈山(タキ谷)の周辺に限られます。
あくまでも大文字山の山頂(三角点)から能勢妙見山の山頂付近を見通せるだけであり、火床からは見えません。
戦時遺構が残ることで知られる四等三角点540.7m峰(点名「奥ノ院」)、妙見奥ノ院の山は明確に大阪府に所在しますが、京都府との府境も近いです。
長尾(高岳)は亀岡ゴルフクラブさんの南に所在する三等三角点555.7m峰(点名「峯」)で、現地の山名標では「長尾」の表記となっていますが、山名を「高岳」とする資料もあるようです。
これは亀岡市西別院町神地長尾と神地高岳の境付近に所在することに由来すると考えられますが、山頂の所在地は神地高岳であり、どちらかと言えば「高岳」の呼称が適切でしょうか。
地理院地図に山名が表示されない山について、私は基本的に現地現称主義にしたがう方針ですので、こちらでは「長尾」を優先的に採用しておきます。
(※後に「長尾山」や「峯」の山名標も設置され、ますます複雑に)
(※このあたりは丹波国とはいえ高槻藩領だったので、短期間ながら、便宜上、高槻県や大阪府に属した時期がある、今も府境が近い)
今回の記事に写真を掲載した、ホツツジであったり、くさつ夢風車であったり、豊能富士や能勢妙見山であったり、目立たず見落としそうなものばかりで、いずれも大文字山で見る・見えることは全く知られていません。
こちらでこうして記録として残しておけば、少しずつでも気付く方、興味を持つ方が増えるでしょう……、おそらく。
大文字山(地理院 標準地図)
「大文字山(ダイモンジヤマ)(だいもんじやま)」標高465.3m(465.4mから改定)(三等三角点「鹿ケ谷」)
京都府京都市左京区(山体は山科区に跨る)
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