大文字山 コサメビタキとセンブリ、ツリフネソウ 京都市

思うところがあり、昨日、2015年2月4日は山科駅を起点として、いわゆるAコース(安祥寺山ハイキングコースAコース)を利用して大文字山を登りました。
この「安祥寺山ハイキングコース」は私が勝手に申し上げているものではなく、京都市や山科区が使用している呼称です。
もっとも、あまり広まっているとは言い難く、標識の名称を取り、「山科消防コース」と呼ぶ方が多いのはやむを得ないでしょう。

寄り道がてら、久々に山科消防「A-4」標(119番通報ポイント標識)から東の谷を詰めてみます。
いわゆる諸羽山や毘沙門連山(京滋尾根)へ至る堰堤沿いのコースですが、近年はあまり利用する人もおらず、ひどく荒れており、もう少し身軽な日でないと遡上は困難でしょうか。
早々に見切りを付け、Aコースに復帰し、「A-8」標の奥のバリエーションからAコースを外れます。
北の谷を詰め、大文字山の山頂の東側へと上がり、整備が進んだ如意ヶ岳(如意ヶ嶽)の林道の様子を見ながら、恒例のお参り、見回りへ。

如意寺子院 深禅院跡推定地 残雪と五輪塔 如意ヶ岳 2015年2月
残雪の深禅院跡推定地。縁あってお参りしています。

如意寺子院 深禅院跡推定地 2014年1月

大文字山 おねがい観音、如意寺跡、深禅院跡にお参り

2014.01.03
深禅院跡の推定地にて 如意ヶ岳 その1 2013年1月

子熊山から大文字山・深禅院跡(如意寺)へ 追記・檜尾古寺

2013.01.11

昨年や一昨年の話は上の記事に。

如意ヶ岳から大文字山、それに火床までの間は解けた雪でひどくぬかるんでおり、あっという間に足元が泥まみれに。
予定より大幅に遅れながらも大文字山を登頂。
よく目立つ「あべのハルカス」の姿や大阪の高層ビル群は見えていましたが、和泉山脈まで遠望できるほどではなく、金剛山がうっすら見える程度にすぎません。
理由があり、山頂から見える「ある樹」を眺めていたら、音羽山の左手に見える笹ヶ岳の姿が目に映り、久々に信楽方面にカメラを向けます。

大文字山から信楽方面、笹ヶ岳、コウモリヶ岳の周辺を望む 2015年2月
大文字山の山頂(京都市左京区)から信楽方面、笹ヶ岳、コウモリヶ岳の周辺を望む。
撮影地点から笹ヶ岳(滋賀県甲賀市)まで31.9km。

笹ヶ岳は信楽の最高峰。山域の南東部は三重県伊賀市に跨ります。
今は枝の合い間に覗く山となってしまいましたが、数年前までは大文字山の山頂(三角点)から木々に遮られることなく明瞭に見えていました。
よく似た名前の笹間ヶ岳、こちらは湖南アルプスを代表する名峰ですが、その笹間ヶ岳は大文字山の山頂からは見えません。
笹ヶ岳のすぐ手前に見えている稜線が湖南アルプスの一部で、この構図の左には主峰たる太神山をわずかに望むことができます。

笹ヶ岳の右に見える稜線は複雑に入り組んでおり、参考程度に「コウモリヶ岳の南の小ピーク」の位置のみ示しておきました。
コウモリヶ岳(三角点616.4m)の南0.08km、地形図ではこのあたり で、標高は約620m~。
本峰とも言うべきコウモリヶ岳の三角点峰より高い小ピークで、いわばコウモリヶ岳の最高点です。
それなら、そのすぐ左に見えているのがコウモリヶ岳の三角点峰では? と思われるかもしれませんが、コウモリヶ岳の北西の小ピークが重なっており、大文字山から三角点峰の山頂そのものは見えません。
上の説明で分かる人は少ないでしょうから、せいぜい、「大文字山から信楽の山が見える」ということのみ伝わればと思います。

当方でも書くべきか迷いましたが……。
大文字山でときどきお見掛けする方が山中で亡くなられました。
写真を眺めながら、昔を懐かしみます。

コサメビタキさん 大文字山 京都市 2008年10月
大文字山を訪れたコサメビタキ。京都府の絶滅危惧種。2008年10月撮影。

渡り鳥であるコサメビタキさんらが羽根を休める樹。
ある理由があり、この樹を見ると、その方のことが思い出されます。
その方は大文字山で多くの樹を払ってらっしゃって、この枯れ樹も切ろうとなさっていたのですが、旅する鳥さんの憩いの場になっていることをお伝えして……。

同時期に撮影した写真を見てみると、今となっては数を減らしてしまった草花の姿が……。
いずれも秋の大文字山では珍しくなかった植物です。

ツリフネソウ(釣船草)の花 大文字山 京都市 2008年10月
ツリフネソウ(釣船草)のお花。2008年10月撮影。

リンドウ(竜胆)の花 大文字山 京都市 2008年10月
リンドウ(竜胆)のお花。京都府の要注目種。2008年10月撮影。

ツリフネソウやリンドウ、いずれも大文字山では個体数を大きく減らしており、撮影地点からは姿を消してしまいました。
私が幼い頃、秋の大文字山はお花畑だったと身内が申しておりましたが、あいにく、その頃の記憶が残っていません。
今となっては考えられない光景です。
私が覚えていることと言えば、当時の大文字山にはお馬さんがいたことと、また別の身内が子どもの頃に作ったという「秘密基地」の存在くらいでしょうか。

センブリ(千振)の花 大文字山 京都市 2009年10月
センブリ(千振)のお花。京都府の要注目種。2009年10月撮影。

センブリのみ、現在でも撮影地点で観察できます。
残るものもあれば、失われるものもあります。
何事に限らずそのようなものでしょう。

大文字山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「大文字山」周辺の地図を表示
「如意ヶ岳(ニョイガタケ)(にょいがたけ)」
標高472m
京都府京都市左京区(山体は滋賀県大津市に跨る)

「大文字山(ダイモンジヤマ)(だいもんじやま)」
標高465.3m(465.4mから改定)(三等三角点「鹿ケ谷」)
京都府京都市左京区(山体は山科区に跨る)

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!