2015年(平成27年)10月3日、京都から奈良の大峰山脈まで明瞭に見えていた日の話。
ふと思い立ち、大阪府茨木市と箕面市に跨る国際文化公園都市、通称「彩都」を久々に訪れ、彩都西部地区でも箕面側にあたる「彩都なないろ公園」の展望広場を上りました。
予想どおり、生駒山と金剛山の合い間、遥か彼方には大峰山脈の山姿が鮮やかに浮かび上がるように見えており、北摂の山上に開かれた展望台からの眺望を楽しみます。
ちらほらと他の方も広場まで上っていらっしゃるものの、夕暮れ時の軽い散歩に過ぎないようで、足を止めてまで遠くを眺めようとする方はいらっしゃいません。
もったいない限りだと思いましたが、近隣にお住まいの方であれば見慣れた光景なのかもしれないと考えます。
彩都なないろ公園からオープンを間近に控えたエキスポシティを眺めた話は前回の記事に。
実のところ、彩都なないろ公園にまつわる話は前回の記事だけで十分なのですが、当日、展望広場でお会いした地元の方と「大峰山脈」「高野山」の位置関係についてお話ししたことを思い出し、そのことを記録がてらに。
北摂・箕面市「彩都なないろ公園」の展望台から大峰山脈の高峰を一望する。
やや見切れ気味ですが、写真右端の手前には万博記念公園の大型複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」や市立吹田サッカースタジアム(→パナソニックスタジアム吹田)が写っています。
エキスポシティのグランドオープンは2015年11月19日ですので、もちろん、10月の撮影時には開業していません。
彩都なないろ公園からエキスポシティの見え方については、前回の記事で取り上げていますので、興味がある方はそちらを。
大阪平野でも、どちらかといえば北部から東部寄りの地域、遠くには東大阪や八尾、間には守口や大阪市東部、手前には茨木や吹田のあたりが見えています。
大原山(なるかわ園地「ぼくらの広場」)の左には生駒山が、二上山の右には金剛山が連なります。
ちょうど、生駒山と金剛山の間に大峰山脈の連なりが見えています。
紀伊山地の最高峰である八経ヶ岳や弥山、釈迦ヶ岳の写真は前回の記事に掲載していますので、今回は山上ヶ岳や稲村ヶ岳を。
いわゆる「大峰山」と聞いて思い浮かぶのは、お寺さん(大峯山寺)が建つ山上ヶ岳でしょうか、それとも最高峰の八経ヶ岳でしょうか。
私は中核部と呼べる山域では「女人大峯」稲村ヶ岳(~バリゴヤノ頭)に対する思い入れが強く、水晶谷から大日キレット、あるいはミオス尾から稲村ヶ岳、いずれも険しく美しい景色だと思います。
「彩都なないろ公園」の展望台から大峯の山上ヶ岳、稲村ヶ岳を遠望する。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
大所山 (百合ヶ岳) | 73.5km | 1346.0m | 奈良県吉野郡川上村 |
阿弥陀ヶ森 | 80.2km | 1680m | 奈良県吉野郡天川村 奈良県吉野郡川上村 |
竜ヶ岳 | 79.4km | 1725m | 奈良県吉野郡天川村 |
大普賢岳 | 81.4km | 1780.1m | 奈良県吉野郡天川村 奈良県吉野郡川上村 奈良県吉野郡上北山村 |
山上ヶ岳 | 78.0km | 1719.4m | 奈良県吉野郡天川村 |
稲村ヶ岳 | 78.6km | 1726.1m | 奈良県吉野郡天川村 |
バリゴヤノ頭 | 79.9km | 1580m | 奈良県吉野郡天川村 |
京都の大文字山からは稲村ヶ岳の横に伸びる「爪」のような大日山の姿も見えますが、彩都なないろ公園からは大日山の場所が分かりにくいです。
大峰山脈の大日山はともかく、写真の右手前、守口市大日の3連タワーマンション(サンマークスだいにち)は明瞭に見えています。
上の写真を撮影した時間帯は大峰山脈が浮かび上がるように見えていましたが、日没が近付くにつれ、色薄れて曖昧な見え方となってしまいました。
日が沈んだ後、地元にお住まいと思わしき年配の方が展望広場に上っていらっしゃいました。
今までの方々とは異なり、この方は夕景や展望を期待していらっしゃるように見えたので、「今日は遠くまで見えやすいですね。先ほどまで向こうに大峰山も綺麗に見えていましたよ」と申し上げたら、驚いたように、「たまに見える山は大峰山だったのか。今まで高野山だと思っていた」とおっしゃいます。
高野山は金剛山と和泉山脈の間に見えている山で、生駒山と金剛山の間に見えているのは大峰山脈。
ある程度、山についてご存じだったため、「あの高い山が金剛山で、その右に和泉山脈が見えていますよね。その間の凹んでいるのが紀見峠のあたりで、紀見峠の奥に見えている遠くの山が高野山ですよ」と申し上げると、すぐに納得なさいました。
厳密には紀見峠の奥に見えているのは高野山(だけ)ではなく、奥高野や伯母子山地の山々ですが、こういう場合は分かりやすく高野山と申し上げるようにしています。
この方は彩都にお住まいのようで、大峯の標高が高い山は彩都の住宅からでも見える、冬場は見えやすいが、それ以外の時期に見えるのは珍しいとのこと。
「先ほどまでは、それこそ浮かび上がるように大峰山脈の稜線が見えていましたよ」と申し上げたら、それを見逃したことを残念がっていらっしゃいましたが、地元の方であれば望む機会も多いでしょう。
私は京都から訪れたことを告げ、「私は盆地住まいなので、大峰山や高野山が見えるなんて羨ましいです」と申し上げたら笑っていらっしゃいましたが、(良い場所であるということは前提として、)やはり、山の近くは災害のリスクもあるし、買い物も不便だとおっしゃっていました。
この方からは彩都の開発状況や北摂の現況、彩都トンネルの開通時期などについてもお伺いしました。
長時間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
この日、撮影した高野山方面の写真も。
金剛山かPLさんの塔を探し、その右手の奥に見える山々です。
ただし、金剛山や和泉山脈まで見えるような日であっても、それより遠くの高野山が見えるとは限りません。
私が3月と4月に訪れた日は和泉山脈は見えていましたが、高野山方面はひどくうっすらした見え方でした。
大峰山脈が明瞭に見える日であれば伯母子岳まで見える可能性が高いでしょう。
「彩都なないろ公園」から高野山、奥高野、伯母子山地を遠望する。夕日を浴びるOBPビル群。
主な山、建築物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
立里荒神 | 79.0km | 1242m | 奈良県吉野郡野迫川村 | |
荒神岳 (古荒神岳) | 79.5km | 1260.1m | 奈良県吉野郡野迫川村 | 点名「古荒神」 |
陣ヶ峰 | 73.6km | 1106.2m | 和歌山県伊都郡高野町 奈良県吉野郡野迫川村 | |
伯母子岳 | 87.7km | 1344m | 奈良県吉野郡十津川村 奈良県吉野郡野迫川村 | |
夏虫山 | 86.3km | 1348.8m | 奈良県吉野郡野迫川村 | |
水ヶ峰 | 78.6km | 1184m | 奈良県吉野郡野迫川村 (和歌山県伊都郡高野町) | |
楊柳山 | 69.7km | 1008.6m | 和歌山県伊都郡高野町 和歌山県伊都郡九度山町 | 高野三山 |
根古峰 | 53.9km | 749.4m | 大阪府河内長野市 (和歌山県橋本市) | |
旗尾岳 | 51.1km | 548m | 大阪府河内長野市 | 天見富士 |
大平和祈念塔 | 40.2km | (180m) | 大阪府富田林市 | PLタワー |
写真では見切れていますが、根古峰の右(西)には岩湧山が連なります。
ハイカーの方であれば、「天見富士」旗尾岳と、根古峰(~岩湧山)の間の鞍部が、ちょうど、金剛山地と和泉山脈の境目とも言える紀見峠の周辺で、その向こうが高野山だとお分かりいただけると思います。
山を登らない方でも、南海電鉄高野線の天見駅~紀見峠駅の先が高野山まで続くことをご存じかもしれません。
いわゆる「高野三山」のうち、彩都なないろ公園からピークが明確に分かるのは楊柳山のみです。
摩尼山は楊柳山の左に見えていますが、夏虫山の手前に重なるため、肉眼での判別は困難です。
計算上、転軸山は見えるかどうかも微妙なところで、和泉山脈に遮られるため、女人高野の弁天岳は見えません。
ですので、「高野山が見える」というよりも、「奥高野の山々が見える」「伯母子岳が見える」と申し上げるほうが適切ですが、山を登らない方に対しては「高野山が見える」と申し上げるほうが話が通じやすいでしょう。
これは、彩都なないろ公園からの展望に限った話ではなく、近畿地方(関西)の他の山々から遠望する場合でも同様です。
北から高野山を望む場合、高野山が見える立脚点であっても、おおむね、その奥の山々と重なってしまいます。
写真の右手前にはOBPビル群が写っており、TWIN21やキャッスルタワー、クリスタルタワーの姿が目立ちます。
大阪城は右端ぎりぎりで見切れていますが、彩都なないろ公園から天守閣の一部が見えることは過去の記事で示しています。
最後に大峰山つながりで……。
彩都中部地区(彩都あかね)の大型クレーン群(プロロジスパーク茨木)を望む。造成、開発光景。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
大峰山 | 31.6km | 506.3m | 京都府綴喜郡宇治田原町 | 最高点は約510m |
荒木山 | 31.4km | 472m | 京都府綴喜郡宇治田原町 | |
笹ヶ岳 | 52.5km | 738.5m | 滋賀県甲賀市 |
おおむね真東を向き、京都南部や遠くの滋賀信楽方面を撮影しています。
大峰山は大峰山でも、宇治田原の大峰山が写っています。
いわゆる奈良の大峰山とは標高や知名度の点では比較になりませんが、宝塚の大峰山と同様、この大峰山も恐ろしく遠くからでも目立つ山として知られています(あくまでも計算上では、ですが、四国の多くの山から見通せます)。
林立する大型クレーン群。ある種、異様とも言える光景に目を奪われます。
4月にも彩都なないろ公園を訪れ、この大峰山を撮影していますが、その日は工事車両(や花咲く桜)が見えていたものの、このような大型クレーンは搬入されておらず。
これは彩都でも全域が茨木市にあたる中部地区(→彩都あかね)に建設中の物流施設で、写真では左に大型物流拠点「万代彩都物流センター(仮称)」が、右にマルチテナント型施設「プロロジスパーク茨木」が建設されるようです。
右端のクレーンの後方にはクレーンと重なるように信楽最高峰の笹ヶ岳の山頂部が見えています。
手前に見えている稜線ではなく、その後方に僅かに頂きのみが見えています。
分かりにくいでしょうから、山名は示していません。
上の写真の構図の右手には南山城の鷲峰山系・笠置山地の山々が遠望でき、さらに右手には生駒山地北部から生駒山への連なりが望めます。
対して、左手には京都市南部が所在しますが、高槻・茨木の阿武山や京都西山に遮られるため、京都市街は見えません。
もし、阿武山が存在しなければ、彩都なないろ公園から鈴鹿の雨乞岳や御在所岳をピンポイントで見通せるはずですが、これは机上の空論に過ぎません。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
追記。
2016年(平成28年)4月に彩都あかね(彩都中部地区)を訪れ、建設中の物流センターや大型クレーンを動画などで撮影しました。
その日の話は上の記事に。
追記終わり。
さらに追記しておきますと、建設工事の影響もあり、彩都なないろ公園から「京都の」大峰山方面は見えにくくなってしまいました。
「奈良の」大峰山は撮影当時と変わることなく、公園の展望広場から明瞭に見通せます。
関連記事 2015年10月 彩都なないろ公園とエキスポシティ
すべて同日の記録です。併せてご覧ください。
- 彩都なないろ公園 エキスポシティと八経ヶ岳、金剛山を遠望
- 彩都なないろ公園 大峰山脈、高野山、彩都中部クレーンを遠望
- 彩都なないろ公園の景色 生駒山や高見山を遠望 展望広場
- 彩都の夕景 天保山大観覧車と淡路島、友ヶ島を遠望 箕面市
- 彩都なないろ公園 大阪の高層ビル群、ハルカスを遠望 北摂
彩都なないろ公園 展望広場(OpenStreetMap日本)
「彩都なないろ公園 展望台」標高約210m
大阪府箕面市
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