深山(みやま) 北摂最高峰 南丹 能勢 篠山 3府県境付近 無雪

昨日、2014年(平成26年)12月15日の話。
雪の様子を見に、Aさんと大阪能勢の北端、京都南丹の南西端、兵庫篠山の南東端にあたる山域を訪れました。

能勢の天王から深山を登山 北摂最高峰

他の用事もあり、京都府南丹市でも、かつての船井郡八木町や園部町にあたる地域を巡った後、府道54号園部能勢線や府道731号天王亀岡線を利用し、瑠璃渓(るり渓)、通天湖を経て、京都府亀岡市の西端を通過、大阪府豊能郡能勢町の北端にあたる天王へ向かいます。
北摂山系の他の山々と比較して、例年、雪が積もりやすい深山(みやま)であっても、現時点では雪が無いであろうことは下から見て取れましたが、せっかくですので、北摂山系の最高峰を登ってから京都市に戻ることにしました。

…などと申し上げたものの、お天気も曇りがち、遠くも見えにくい日で、写真も数枚しか撮影しておらず、わざわざ特筆すべきことも少なく。
記録として残す必要性は感じない山行でしたが、北摂方面の現在の積雪状況に興味がある方もいらっしゃるでしょうから、参考程度に個別の記事としておきます。

道中も山頂も無雪でしたが、霜柱が解けたか、山道はぬかるんでおり、足元が泥まみれに。
私たちは天王地区の最南東端から摂丹国境の尾根伝いに登りましたが、地面の状態によっては舗装された管理道を利用して登るのが無難でしょう。

深山の山頂 深山宮(深山神社)

「深山宮」 深山の山頂 京都府南丹市、大阪府豊能郡能勢町 2014年12月
「深山宮」がお祀りされる深山の山頂。京都府南丹市、大阪府豊能郡能勢町。
大阪の北摂地域に標高800mを超える山はなく、標高790.6mの深山が最高峰。深山の読みは「みやま」。

深山の三等三角点「天王」の点名は能勢町側の地名に由来します。
かつて、深山の西麓の地域は摂津国能勢郡に属し、天野村を称していました。
1922年(大正11年)の『大阪府全志 巻之三』によると、剣尾山を開き、月峰寺(槻峯寺)を創建した日羅上人が、天野村の産土神として大梵天王を勧請したとされ、はじめは現在の天王トンネルの山上にあたる古宮の地でお祀りしていましたが、永禄2年(1559年)に現在の宮山の地に遷座され、村名も寛永9年(1632年)に天王村と改称されました(大梵天王を勧請した時点で改称したとも?)。
これは日本の他地域でも見られますが、大梵天王(ブラフマー)は高御産巣日神(高皇産霊尊)(タカミムスビ)と習合していました。
神仏分離により、明治時代には高皇産霊神社を称しましたが、現在は天王神社とも称していらっしゃいます。
(念のために申し上げておきますが、上記は天王集落の内に鎮座する天王神社さんの話であって、深山の山上の話ではありません)

「深山(みやま)」は山麓の天王神社さんが所在する宮山と読みが通じるように思いますが、山名の由来は今ひとつよく分かりません。
当地に限定しなければ、深山は弥山(みせん)に通じ、弥山の呼称はブラフマーゆかりの須弥山(しゅみせん)に由来するケースが見受けられます。
山頂の深山宮は神社本庁に属さない単立の神社さんで、そちらでも高皇産霊尊の磐座を祀っていらっしゃり、いわゆる本殿はありませんが、岩の前には「高皇産霊神社」と標示されています。
これは話が長くなるのでほどほどにしておきますが、どこに限らず、高御産巣日神や天之御中主神といった造化三神がお祀りされていた地を訪れて、信仰の対象となさる方々がいらっしゃいます。

深山の山頂付近(山頂の南)にはレーダ雨量観測所が建っています。
このレーダ雨量計は、遠く離れた大文字山の山頂から半国山の右後方に見通せます。

雪積もる如意ヶ岳 大津航空無線標識所 京都市左京区 2013年12月

積雪する如意ヶ岳から伊吹山や鈴鹿の霊仙山、御池岳を遠望

2013.12.30

大文字山の山頂から深山のレーダ雨量計を撮影した写真は上の記事に。
せいぜい約40km、遠望の観点では大した距離でもないので、双眼鏡があれば確認は容易です。

昨日は観測施設に多くの方々がいらっしゃり、山頂周辺も立ち入れないかと早合点しましたが、一声かけて通していただきました。
当初は定期的な保守点検かと思いきや、日程表も掲示されており、なにかしらの工事を行っていらっしゃるようです。
私たちが日没頃に下山した後も作業を続けていらっしゃいました。

深山はこの周辺山域では最も高い山であることに加え、観測所や神社さん、ゴルフ場などの関係もあり、山頂周辺は植林されず、高原的な広い展望を誇る美しい山です(その後、2019年頃には大阪側に乗馬クラブも開業)。
愛宕山の山頂付近が雲に隠れて見えなかったものの、愛宕山と半国山の間、遠くには大文字山の山頂域を望むことができ、半国山の右手には京都西山の山々が見えていました。
レーダ雨量観測所の右手、遠くには大阪方面がうっすら見えており、45.7km離れた超高層ビル「あべのハルカス」の姿や、やや離れて、煙たなびく南港スカイタワー(南港発電所)も確認できましたが、大した条件ではなく、昨日は撮影を見送りました。
見えることは確定していますので、いずれ、好条件の日に訪れ、ハルカスさんやコスモタワー、ならびに、その遠方に見えるはずの紀伊山地の山々を撮影したいものです。

六甲山の右手には特徴的な羽束山と大船山の姿が、さらに雄岡山や雌岡山の後方では瀬戸内海の海面が夕日で赤く照らされていましたが、これは本当に僅かな時間のみ。
六甲山とは反対を向き、若丹国境や芦生方面に至っては真っ白な空で何も見えません。
14日には大雪警報も発令されましたが、連日、嶺南では悪天候が続いているようです。
登ってきた当初は見えていた、三嶽(御嶽)をはじめとする多紀アルプスの山々も、Aさんから紅茶をいただいている間に山頂域が雲の中に隠れて見えなくなりました。
昨日は展望、遠望についてはどうも間が悪く、参考程度に数枚撮影したのみです。

舩谷山を望む 大阪・京都・兵庫の三府県境

深山から「大阪、京都、兵庫の3府県境」舩谷山と北尾根を望む 2014年12月
深山から大阪府・京都府・兵庫県の府県境にあたる舩谷山と北尾根を望む。
参考程度に山名を示していますが、多紀連山の主峰たる三嶽(御嶽)の山頂は雲の中に隠れています。
満燈山(タキ谷)の遠方に見えるゴルフコースはベル・グリーンカントリークラブ。

お知らせ
2019年(令和元年)5月1日付で兵庫県篠山市が丹波篠山市に改称されました。
本記事の本文中、初稿時に「篠山市」としていた箇所について、この市名変更に伴い、「丹波篠山市」と改めています。
「丹波篠山市」を読めない方が増えて市が対応に苦慮なさってる云々といった報道も目にしましたが、丹波篠山市の読みは「たんばささやまし」です。

深山は広義の北摂山系における最高峰ですが、山の東は南丹市、西は能勢町にあたり、令制国で言えば摂津国と丹波国の国境(摂丹国境)にあたる山となります。
北に丹波篠山の山々へと連なっており、北摂の山と丹波の山は切れ目がありません。
深山の山頂から北西0.69kmの地点に所在する「舩谷山」、この約730mの小ピークが大阪府と京都府、兵庫県の3府県境にあたります。
舩谷山は「三県山」(三府県山)とは言えますが、京都府南丹市と兵庫県丹波篠山市は同じ丹波国に属しており、令制国3国の国境にあたる山に多く見られる山名、いわゆる「三国岳」ではありません(三国の交点とする記事等は誤りです)。
写真の右端に写っている満燈山(タキ谷)も、舩谷山と同様、標高点すら持たない小ピーク(深山の北尾根の標高点526mと標高点489mの間に所在する560m~小ピーク)ですが、舩谷山から天引峠まで連なる深山の北尾根(京都府と兵庫県の府県境尾根)では目立っており、大文字山からでも見通せます。
便数が限られていますが、京阪京都交通バスの園篠線(JR園部駅西口~福住)を利用すれば、兵庫県立ささやまの森公園や八幡谷ダム湖を訪れたり、公園側から舩谷山や深山を登れます。
近年、このコースは谷筋の深山古道を中心として整備が進んでいますが、現状、地理院地図では破線路すら表示されません。

昨日は風も弱く、とくに寒いとは感じない山頂でしたが、紅茶をいただき、のんびり過ごしている間に気温も下がり、身体も冷えてきました。
夕日をはっきり望むこともできそうになく、そろそろ下山することにします。
瑠璃渓(るり渓温泉)でイルミネーションイベント(京都イルミエール2014)が催されていることは存じていましたが、さほど興味も湧かず、立ち寄ることもなく京都市に戻りました。
帰途、ロームさんの前を通り、外からイルミネーションを眺めただけでも満足です。
ありがとうございました。

深山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「深山」周辺の地図を表示

「深山(ミヤマ)(みやま)」
標高790.6m(三等三角点「天王」)
京都府南丹市、大阪府豊能郡能勢町(山域は兵庫県丹波篠山市に跨る)

※かつての篠山市は2019年5月1日付で丹波篠山市に市名変更(改称)されました

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!