2013年(平成25年)2月、京都盆地外縁の浅い山域にも薄く雪が積もった日の話。
この日はAさんと京都市北区西賀茂氷室の周辺をハイキング。
大宮の釈迦谷口を起点として、秋葉山~城山~氷室~船山と周遊しました。
私にとっては馴染みがある、昔、よく歩いていたコースですが、久々に訪れてみると、MTBで山中を走りまわる方々を見掛けたり、谷が何ヶ所か崩落していたり、景色も異なるものとなっていました。
釈迦谷口から釈迦谷を詰め、秋葉神社さんを見送り、京見峠方面へ向かう一般的なハイキングコースを登ります。
秋葉神社さんの「裏」からも秋葉山に取り付けますが、この日は京見峠へ向かうコースから岐れて秋葉山を登頂しました。
目次
船山(舟形の山)周辺峰ハイキング
秋葉山
秋葉山の山頂付近。標高376m。京都市北区大宮釈迦谷。
よく知られる「京見峠」の南東0.6kmに位置する秋葉山は、京都市北区大宮に所在する標高点376m峰。
ただし、地形図に見える標高点376mと、現地で山頂と見なせる地点の所在地は少しずれています。
この山は山麓(登山口)にあたる秋葉神社さんの「奥の院」とも言える場所にあたります。
秋葉神社さんは神社を称していらっしゃいますが、元々は修験の道場で、神社の本殿裏と裏山にあたる秋葉山の山頂には大きな岩が見えます。
以前より、山頂の付近に「西賀茂 秋葉山」の山名標が取り付けられていますが、こちらは北区西賀茂ではなく、住所の上では北区大宮にあたる山域です。
地権者さんも了承の上で「西賀茂」としているのであればともかく、ハイカーが勝手に「西賀茂」としているのであれば問題がありますが、このあたりは地名の変遷が複雑なこともあり、なかなか説明も難しく。
明治時代の愛宕郡大宮村には東紫竹大門地区(かつての大宮郷)と、西賀茂地区が混在していました。
秋葉山からは道なりに登っていけば、京見峠の上、城山の下で府道西陣杉坂線に出ます。
長坂峠(氷室別れ)で前坂へ下る府道と岐れ、氷室方面へ向かう道中で城山に取り付きます。
堂ノ庭城跡(長坂城跡)
雪積もる城山の山頂。堂ノ庭城跡(長坂城跡)。標高479.8m(→479.5m)。
京都市北区西賀茂宮ノ谷、西賀茂城山、大宮釈迦谷。
通説としては足利義輝が籠城した堂ノ庭城跡とされますが、住所の上では鷹峯堂ノ庭から大きく外れており、山頂は西賀茂と大宮の境にあたります。
京都市によると、堂ノ庭城跡(長坂城跡)について、「足利義輝が一時篭城する。標高479mの山の山頂部に本丸と思われる高さ約1.5mの土壇が残り,この本丸を囲むように3~4重の帯曲輪が残る。」としています。
ところが、1911年(明治44年)の『京都府愛宕郡村志』における「大宮村志」には「傳云う明智光秀の築き城なりと」と見え、地元の言い伝えではあるものの、築城者を明智光秀としており、城主についても一定しません。
光秀は義輝の弟の足利義昭や、あるいは織田信長に仕えており、もし、光秀が築城したのであれば、義輝の時代には存在しなかった可能性があります。
義輝が籠城したとすると、天文22年(1553年)8月に発生した「霊山城の戦い」(東山霊山城の戦い)で足利方が三好長慶に大敗した後、船岡山を出た義輝が長坂越から杉坂落ちした時期でしょうか?
後に伊勢貞孝が挙兵した際、長坂に籠城したとも。
私にとって、沢山の山頂はクロアゲハの三角点、城山の山頂はトビさんの三角点ですが、この日はお天気も今ひとつで、城山では鳥さんの姿を見掛けることはなく。
続いて、城山から東の西賀茂氷室へ向かい、冬の氷室を散策します。
このあたりは京都一周トレイル北山コースと重なっており、氷室からは小峠を経て山幸橋へ下れますが、この日は氷室神社さんを参拝するに留め、氷室から京見峠と船山の分岐まで引き返し、釈迦谷口方面へと下山しました。
ハイキングコースの五辻から船山へと登り返します。
船山
いわゆる「京都五山送り火」では「舟形」の山として知られる船山の山頂付近。標高317m。
京都市北区西賀茂船山、西賀茂妙見堂、西賀茂岩門。
山頂(標高点)から20mほど離れた地点に多くの山名標が取り付けられています。
ざっと見た感じ、頂と見なせる地点に正しく設置される山名標は1つのみでしょうか。
船山の山頂から少し下ります。
ご存じの方も多いとは思いますが、現状、展望が期待できる「舟形」の火床には立ち入ることができません。
ハイキングの際、火床の外側の通行は可能です。
最上段の外側、ぎりぎりの位置に立ち、遠くを撮影することにします。
舟形の展望
比叡山を望む
船山(京都市北区西賀茂)から比叡山は四明岳を望む。
撮影地点から四明岳(京都市左京区)まで約9km。
ケーブルやロープウェイの駅舎も見えていますね。
真西に近い方角から眺めているため、四明岳の向こう、大比叡の頂は見えません。
鷲峰山を遠望
船山から鷲峰山、清水山などの山々を望む。
撮影地点から空鉢峰(鷲峰山)(京都府相楽郡和束町)まで約31km。
残念ながら、もやもやして遠くが見えにくい日でしたが、醍醐山の右奥に鷲峰山だけは見えていました。
京都大学さんの花山天文台も写ってますね。
改修工事中の京都タワーと伏見桃山城を遠望
船山から改修工事中の京都タワー(キノコタワー)、伏見桃山城を遠望する。
撮影地点から高峰山(奈良県天理市)まで約52km。
伏見桃山城(京都市伏見区)まで約15km、京都タワー(京都市下京区)まで約9km。
覆い(ネット)が被さり、キノコのように見える京都タワーを撮影。
京都は西賀茂の「氷室」の近くの山の上から、天理は福住の「氷室」の近くの山を望むということで、参考程度に高峰山のみ山名を表示しておきましたが、肉眼では奈良県方面の山々はほとんど見えておらず。
また、このあたり(上の3枚の写真の撮影地点の付近)は、いわゆる鷹峯三山(鷹峯=鷹ヶ峰=兀山、鷲峯=鷲ヶ峰、天峯=天ヶ峰=桃山)を横並びに撮影できるスポットでもあります(ありました)が、今となっては写真に収めることが難しくなってしまいました。
立ち入らずとも撮影できる場所があるような気もしますので、いずれまた、このあたりを訪れて検討してみるかもしれません。
後年、釈迦谷山を経由して京見峠を登った話は上の記事で。
かつて、京見峠を足上山とも称した可能性については上の記事で。
関連記事 2013年 京都タワーの改修工事
城山(地理院 標準地図)
「秋葉山(アキバヤマ)(あきばやま)」標高376m
「城山(シロヤマ)(しろやま)」
標高479.8m(→479.5m)(三等三角点「城山」)
「船山(フナヤマ)(ふなやま)」
標高317m
京都府京都市北区
最近のコメント