雪降る観音峯山(観音峰)は周りが見えず 冬1月の大峰山脈

昨日、2013年(平成25年)1月15日はIさんと大峰山脈に属する観音峯山を登りました。
観音峯山は稲村ヶ岳の北西3.7kmに所在する標高1347.4m峰(→1347.7mに改定)で、手軽にスノーハイクを楽しむことができる冬山として人気があります。
国土地理院の成果(地形図)では「観音峯山」の表記ですが、中腹の展望台碑では「観音峯」(観音峯展望台)の表記、奈良交通バスの停留所では「観音峰」(観音峰登山口)の表記で一定しません。
本件に限らず、当サイトでは地理院地図の表記を基本的に優先しますので、観音峯山としておきます。

登山口と展望台の比高は400m~程度に過ぎず、この日はIさんのスノーシューデビューということで、適度な高さの観音峯山を選びました。
スノーシュー、私は”LIGHTNING ASCENT”、それも、甲のストラップが2本だった頃の古いモデルをいまだに愛用しています。
そろそろ買い換えてもよいのですが……。

近鉄吉野線の下市口駅にある奈良交通バス乗車券発売窓口で乗車券を購入すると、窓口の方が「大峰は昨日の大雪で大変なことになっているのでは」とおっしゃいます。
昨年や一昨年と比較すると、近畿地方のどちらの山域も今年は雪が少ない印象。
厳冬期の観音峯山には昨年1月にも他の方と訪れていますが、その日と比較してどうでしょうか。

奈良交通さんの洞川温泉行きバスはチェーン付。
バスの運転手さんもおっしゃるように、さすがに乗り心地はよくなく。
天川川合までの道のりは積雪していたものの、新たな降雪はなく楽観視していましたが、天川川合を過ぎたあたりから細かな雪が降り始めます。
バスはすでに貸切状態でしたが、私たちも観音峰登山口で下車したので、これより先、洞川温泉へ向かう他の乗客もいません。

私たちが登山口の休憩所に到着したころ、ちょうど、自家用車でいらした男性が。
駐車場にはこの方の車1台のみ。
なにやら大きな撮影機材をお持ちですが、私が見たところ、雪が降る山に入山されるような格好ではなく。
そのあたりを行ったりきたりなさっていたところを見ると、山を登るかどうか迷っていらしゃったのかもしれません。
けっきょく、意を決されたようで、撮影機材を手に持ち、そのまま山へと入っていかれました。

雪が降っていることが気にかかり、私たち2人はどうしたものかと思案します。
細かい雪ではあるものの、吹雪いたり、また、弱まったり。
詳しく申し上げるのは控えますが、道中、バスの運行にもトラブルがあり(大きな問題となりかねないものでした)、その影響で到着が大幅に遅れたため、すでに11時を過ぎています。
けっきょく、11時15分頃、先ほどの方の後を追うように我々も入山しました。
まずは、あの吊り橋を渡らなくてはいけません。

観音峰登山口に架かる吊り橋も積雪 大峰山脈 奈良県吉野郡天川村 2013年1月
観音峰登山口に架かる吊り橋も積雪していました。

私は極度の吊り橋恐怖症のため、昔から、この橋を渡ることを苦手としています。
この日も、何度か渡ろうとしては止めるを繰り返し、渡るのに手間取ります。

…この橋は迂回できます。もちろん、帰りは迂回路を選びました。

私たちが訪れる2日前に観音峯山を登山された方の山行記録を拝読するかぎり、厳冬期の大峰とは思えないほど雪が少なかったようですが、前日14日に振り続けた大雪の影響で深く積もったのでしょう。
個人的にも、道中に限っては昨年1月に登った日よりも雪が深い印象を受けましたが、深く沈むこともなく、それでいて滑ることもなく、さくさくした歩きやすい雪質で、とくに気になりません。
水場(観音の水)で撮影機材を手にした先ほどの男性に追いつき、追い越します。
この雪のせいでしょうか、今日は誰も入山していないようで、これより先は踏み跡が見当たりません。
世間では3連休でしたが、その際に付けられたであろうトレースも、前日からの大雪で完全に消されてしまったようです。

途中、第1展望台(弥山展望地)に寄り道します。
弥山や頂仙岳は煙って見えなかったものの、凍結する双門滝が目に入りました。
その美しい姿に撮影意欲が湧きますが、雪が降っていたことに加え、うまく撮影できそうもなく、ここでの撮影は見送ります。

雪が降る中、順調に進みますが、採掘場跡でコースをロストしてしまいます。
この先に観音平の休憩所があるはずですが、雪が深く、尾根を巻く道が見えません。
登れそうな尾根を探していると、別の男性が私たちに追いついていらっしゃいます。
ここは手分けすることにし、私たちは眼前の尾根に取り付き、男性は右手に見える南側の尾根に取り付きます。

30mほど登ったあたりで両者は合流しましたが、観音平に出ることはなく、そのまま展望台へ向けて直登することに。
このあたりでIさんはスノーシューを装着なさいます。
この日は展望には期待できそうもないことから、無理に展望台まで登る気が失せており、観音平の平坦地でスノーシュー遊びでもすればいいと考えていましたが、結果的に観音平に寄ることなく一気に展望台まで登りました。
私は観音平の休憩所でアイゼンからスノーシューに履き替えるつもりでいたため、けっきょく、交換するタイミングを逸してしまいます。

観音平の休憩所は、私たちがコースを見失ったあたりで眼前の尾根には取り付かず大きく右手に回り込むのが正しく、後でそのことに気付きましたが、この日は休憩所に寄ることはなく。
尾根を直登したことじたいは冬道としてとくに問題ありません。

雪降る観音峯展望台の碑 奈良県 大峰山脈 2013年1月
雪降る観音峯展望台。展望のない展望台。標高約1200m。

私が登りに手間取ったため、予定より大幅に遅れ、展望台には13時30分頃に到着。
道中はともかく、展望台周辺については昨年1月に訪れたときのほうが雪が深かったです。

先ほどの男性は、「こんなに雪が多い観音峰には来たことがない」とおっしゃり、「観音平を探してみる」と言い残し、私たちより先に下山なさいました。
私たちは……、というより、私が目の前にそびえる稲村ヶ岳の姿を一目でも望みたいということで、ガスが失せるのを待つことにします。
強い風により煙が流れる気配がないこともなく。

登ってきた当初は展望台の後方、標高点1285m方面すら見えない有様でしたが、少し待っている間に、そちらだけはなんとか見えるようになりました。
しかしながら、待てども待てども稲村ヶ岳や大日山は見えません。
時おり煙の向こうに稲村ヶ岳の中腹域が覗きますが、山頂域が見える気配はなく、13時55分頃に諦めて下山を開始します。

昨年1月に訪れたときは、稲村と大日の険しくも美しい稜線を眺めることができたものです。

観音峯展望台から雪積もる稲村ヶ岳、大日山を眼前に望む 雪の大峰山脈 2012年1月
観音峯展望台から雪積もる稲村ヶ岳、大日山を眼前に望む。

上の写真のみ2012年(平成24年)1月撮影。
撮影当時は別の場所で公開していた写真ですが、当記事に再掲しておきます。

私たちが展望台から下山しようとすると、入れ替わりに撮影機材を手にした男性が登っていらっしゃいました。
ストックすらお持ちではなかったこともあり、てっきり途中で引き返されたものと思っていたので、これには驚いてしまいます。
先に下山された男性から後で聞いた話では、この撮影機材を手にした男性、どうやら登る途中で道が分からなくなっていたそうで、それで遅れていらっしゃったのでしょう。

今日は展望台までで折り返すスノートレッキングとなり、三ツ塚はもちろん、観音峯山すら登頂していないため、まだまだ時間に余裕があります。
帰りのバスは16時過ぎですので、慌てて下山しても仕方がなく、途中で雪遊びなどしながら、(後から下山なさるであろう男性のためにも)深く雪を踏み分けて道を作り、ゆっくり下山します。
15時20分頃に登山口の休憩所に戻ってきました。

私たちが戻ってくると、登山口の休憩所にはまた別の男性がお独りで佇んでいらっしゃいました。
この日の入山者は、私たち2人、採掘場跡で追いついていらっしゃった男性、撮影機材を手にする男性の合わせて4人だけのはず。
この方とは山中でお会いした記憶はなく、不思議に思いましたが、お話を伺ってみると、展望台からの夕景を撮影にいらっしゃったとのこと。
私が「展望台はガスで何も見えなかった、目の前の稲村ヶ岳も見えなかった」と申し上げると、そのことに納得して帰ってしまわれました。

展望台でお別れした男性は、私たちより後に下山なさいました。
私たちと別れた後、自身でもおっしゃっていたように、雪中に隠れた観音平の休憩所を探していらっしゃったそうで、やはりコースを見失った地点で大きく右手に回り込むのが正しかったとのこと。
無雪期や、先行者の適切なトレースがあれば迷うような地点ではなく、とくに意識するような地点ではありませんが、深く雪が積もると分からなくなるものです。
この方は自家用車によるアプローチでしたが、夕方になって路面が凍結すると帰宅できなくなるとおっしゃり、そのまま急いで帰ってしまわれました。

私たちは帰りのバスがやってくるまで休憩所でのんびり過ごします。
撮影機材を担いだ男性が無事に下山なさるかどうかが気掛かりでしたが、けっきょく、私たちが休憩所を後にするまでには下りていらっしゃらず。
私たちが観音峯山に滞在していた間、山中ではおおむね雪が降っていましたが、帰りのバスに乗り、天川川合まで戻ってくると、行きと同じで雪なんて降っていません。
もちろん、天川川合の上の山、つまり、弥山や八経ヶ岳の山上では雪が降っていたことでしょう。
それにしても、虻トンネルのあちらとこちらで大違いの雪景色でした。

遠くはおろか、近くの山すら見えない日ではありましたが、当初の目的であった、Iさんのスノーシューデビューも無事に果たすことができ、貸し切りに近い観音峯山で雪山歩きを楽しむことができました。

次は、お天気の良い日にでも。

観音峯山(観音峰)(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「観音峯山」周辺の地図を表示
「観音峯山(カンノンミネヤマ)(かんのんみねやま)」
別称・俗称として「観音峯」や「観音峰」
標高1347.4m(→1347.7m)(三等三角点「観音峰」)
奈良県吉野郡天川村

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Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!