奥高野 陣ヶ峰を登山 大峰山・大峯奥駈道を望む 和歌山・奈良

2012年(平成24年)12月上旬の話。
この日はIさんやAさんと和歌山県は高野山まで足を延ばしました。
高野山奥の院を起点として、和歌山県伊都郡高野町と奈良県吉野郡野迫川村の県境に所在する陣ヶ峰を登山するのが目的です。
なぜ高野三山や他の有名峰ではなく、あえて陣ヶ峰を選んだかといえば、それは将来的に明らかとなるでしょう(→大阪の超高層ビル「あべのハルカス」がどこから見えるかの調査でした)。
自家用車で天狗木峠までアプローチすれば登山口から20分程度で登頂できる山ですが、奥の院から県道53号を歩いて寄ると、さすがにそれなりの時間……、天狗木峠まで約4.6km、約1時間ほど要します。

「和歌山県地理情報システム」 の「和歌山県道路情報」にも載っていないようですが、和歌山県道・奈良県道53号高野天川線のうち、国道371号との交差点(桜峠トンネル)から天狗木峠の間、日中は工事のため一般車両通行止となっていました。
そのため、この日は高野山側から自家用車によるアプローチは無理だったはず、です。
工事期間は2012年12月28日までとなっていましたが、私たちが登ったのは12月7日の話で、現状どうであるかは分かりません。
私たちは歩行者ですので、警備員さんにも確認のうえ、そのまま通していただき、雲海の名所としても知られる天狗木峠へ向かいます。

昔の山行記録に目を通すと、奥の院から桜峠、天狗木峠を経て、荒神岳へ至る道のりは古くからよく歩かれていたようで、かつては天狗木茶屋なる峠の茶屋もあったらしい。
天狗木茶屋は峠の宿も兼ねており、1895年(明治28年)の『南遊日記』では、著者の竹田右文が宿泊した日、一晩の宿泊客が120人以上と見えます。
紀和国境の要所ということもあり、当時は交通量が多かったことが窺えますね。
竹田右文は浜松町(現在の静岡県浜松市)の助役として名前が見え、この当時も浜松在住ですが、どうやら元は奈良の人らしい。

その天狗木峠から陣ヶ峰へ取り付きます。

奥高野 陣ヶ峰の三角点 和歌山県伊都郡高野町、奈良県吉野郡野迫川村 2012年12月
陣ヶ峰の山頂。三角点1106.2m。和歌山県伊都郡高野町と奈良県吉野郡野迫川村の県境。

陣ヶ峰は一等三角点峰で、その点名は「陣ヶ嶺」。
三角点の設置地点は笹藪に覆われており、現状、見晴らしは期待できませんが、少し場所を変えれば、高野山方面が開けている地点や、あるいは紀伊山地西部方面が開けている地点、それに大峰山脈方面が開けている地点など、ちょっとした展望を楽しむことができます。
陣ヶ峰の雪はごく薄く、おおむね無雪に等しいものでしたが、陣ヶ峰から望む大峰の高峰は明確に雪を被っていました。

奥高野 陣ヶ峰から大峰山脈の稜線を望む 八経ヶ岳や釈迦ヶ岳といった山々 2012年12月
奥高野の陣ヶ峰から大峰山脈の山々を望む。弥山や釈迦ヶ岳など。
撮影地点から近畿地方最高峰の八経ヶ岳(奈良県吉野郡天川村、上北山村)まで約25km。

撮影地点から東南東向き、麗しの大峰山に西日が反射します。
すでに日も沈みかけており、かつ、この日は霞んだ印象を受ける空で、写真では見映えがよくありませんが、さすが大峯奥駈道の稜線、肉眼で見る分には迫力がありました。
たとえば八経ヶ岳や弥山といった高峰は、私にとって馴染みがある京都市の大文字山などからでも遠望できますが、京都市の山からは仏生嶽や釈迦ヶ岳といった山々が見えません。

時間の都合もあり、ほとんど写真は撮影していませんが、上の写真の構図の右手、南向きの近くには荒神岳が尖った双耳峰のように聳えていました。
また別の地点は南西向きが開けており、そちらからは龍神岳や護摩壇山、それに城ヶ森山のレーダ雨量観測所といった、紀伊山地西部を代表する高峰が見えていました。
どちらかといえば遠くは見えにくいように感じましたが、高野山方面の展望地からは大阪湾に浮かぶ淡路島らしき島影もうっすら浮かんでおり、そう悪い条件でもなかったのでしょう。
ここを立脚点とすれば、計算上、遠くに大阪の「あるもの」まで見通せる、はずですので、いつの日か、空気が澄んだ日に再訪したいものです。

陣ヶ峰(地理院 標準地図)

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「陣ヶ峰(ジンガミネ)(じんがみね)」
標高1106.2m(一等三角点「陣ヶ嶺」)
和歌山県伊都郡高野町、奈良県吉野郡野迫川村

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!