金剛山地 大和葛城山から淡路富士、あべのハルカスを遠望

少し前となりますが、2013年(平成25年)4月の話。
この日は金剛山地に属する大和葛城山(やまとかつらぎさん)を登山しました。
夕方からの上山、トワイライトハイクとなったこともあり、時間も足りず、カタクリの観察は早々に諦め、夕日を眺めるため山頂へと急ぎます。

大和葛城山から夕暮れ時の明石海峡を望む 金剛山地 2013年4月
大和葛城山(大阪府南河内郡千早赤阪村、奈良県御所市)から明石海峡を望む。
撮影地点から明石海峡大橋の淡路島側主塔(南主塔)(兵庫県淡路市)まで63.6km。

黄砂の時期に大阪湾や明石海峡を望むのは難しいかと思いきや、かろうじてとはいえ明石海峡大橋まで見えていました。
いかにも春の夕暮れ時らしい赤い空を背にしており、写真では、やや場所が分かりにくいかも。

大和葛城山から高見山地、台高山脈、大峰山脈を望む 2013年4月
大和葛城山から高見山地、台高山脈、大峰山脈を望む。
撮影地点から高見山(奈良県吉野郡東吉野村、三重県松阪市)まで約37.5km。
近畿地方最高峰の八経ヶ岳(奈良県吉野郡天川村、上北山村)まで約37.5km。

高見山、白鬚岳、稲村ヶ岳あたりが尖峰として遠くからでも目立ちます。
大和葛城山から日出ヶ岳(大台ヶ原山)が見えるという説明がなされる場合がありますが、実のところ、大所山(百合ヶ岳)の南尾根に遮られるため、標準的な環境下では日出ヶ岳は見えません。
とくに目立つ白鬚岳を見て日出ヶ岳と混同、誤解するケースもあるようです。

余談ですが、この大所山(百合ヶ岳)という山は、展望の観点から見るとなかなか興味深い山です。
大和葛城山と大台ヶ原の間を大所山の南尾根が遮り、「あべのハルカス」と大台ヶ原の間を大所山の北尾根が遮ります。

大和葛城山から山上ヶ岳など大峰山脈の山々を望む 2013年4月
大和葛城山から山上ヶ岳など大峰山脈の山々を望む。
撮影地点から稲村ヶ岳(奈良県吉野郡天川村)まで約33km。
釈迦ヶ岳(奈良県吉野郡十津川村、下北山村)まで約43km。

京都市の山からだと遠く感じる大峰の山々も、金剛山地や高野山からだと近く感じますね。
羨ましいかぎりです。

大和葛城山から大和三山と三輪山、奈良盆地を望む 2013年4月
大和葛城山から大和三山と三輪山、奈良盆地を望む。
撮影地点から住塚山(奈良県宇陀市、宇陀郡曽爾村)まで約37.5km。

広い視界を誇る山頂周辺からは、大阪平野のみならず、奈良盆地(大和平野)も展望できます。
奈良の街並みは見えていますが、遠くの青山高原や鈴鹿山脈最南部、湖南方面はうっすらした見え方です。
とくに示していませんが、左端に若草山、貝ヶ平山の手前に三輪山など。
曽爾高原の倶留尊山や、「伊賀富士」尼ヶ岳も山頂部だけ見えていますが、きわめて分かりにくいため、こちらも山名は示していません。

地理院地図(地形図)では大阪府と和歌山県の府県境にも「葛城山」の名前が見え、そちらの山と区別するため、一般的に「大和葛城山」と呼ばれますが、地形図の上では当山も葛城山です。
江戸時代、大和葛城山は大和国側(奈良県側)では「戒那山」、河内国側(大阪府側)では「篠峰」と呼ばれていました。
元来、「葛城山」は金剛山地から和泉山脈に至るまでの総称でしたが、「追々に部分的な名称が出来ると共に自然に縮まった」のです。
「追々~縮まった」は、1924年(大正13年)発行の『近畿の登山』(近畿登山研究会・編)からの引用ですが、実は、和泉山脈最高峰の山を「南葛城山」と呼ぶようになったのも、この本が仮称としたからです。
南葛城山も、総称としては、もちろん広義の葛城山と見なされていましたが、個の山としては登山者の間では無名峰で、便宜上、「醤油谷の頭」と扱われていたそうです。
大きく葛城山と呼ばれていた山々が、個別の山として認識されていくにしたがい、やがて、「葛城山」と呼ばれる範囲が「自然に縮まっていき」、和泉の葛城山(紀伊との境)と、大和の葛城山(河内との境)だけが地形図上に「葛城山」として残ったのでしょう。

大和葛城山から「あべのハルカス」を遠望 金剛山地 2013年4月
大和葛城山から「あべのハルカス」を遠望する。
撮影地点から「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)まで26.1km。
「丹波富士」白髪岳(兵庫県篠山市)まで82.4km。

白髪岳のすぐ左の遠方、ぼんやり写っている高い山影は丹波最高峰の粟鹿山ですが、さすがにこの日の条件では肉眼での確認は困難です。
撮影地点からの距離は114.6km、こちらの方角にあるという参考程度に。
いずれ、好条件の日にも訪れ、他の山も含め、明確に分かる写真を撮影してみたいものです。

大和葛城山から淡路富士、りんくうゲートタワービル、りんくうの星を遠望 2013年4月
大和葛城山から淡路富士、大阪湾、りんくうゲートタワービル、りんくうの星を遠望する。
撮影地点から「りんくうゲートタワービル」(大阪府泉佐野市)まで35.5km。
「淡路富士」先山(兵庫県洲本市)まで78.3km。

関西国際空港の対岸にあたる「りんくうゲートタウン」の超高層ビルが目立ちます。
りんくうゲートタワービルの横には、分かりにくいですが、大観覧車「りんくうの星」も写っています。
黄砂の影響を受けていることもあり、空気が澄んだ日の見え方にはかないませんが、この時期に淡路島が見えただけもよしとしましょう。

…ぼんやりと遠くの山々を眺めているうちに、日没が近づいてきました。

整理の都合で記事を2回に分けます。

大和葛城山から明石海峡大橋の向こうに沈む夕日を望む 補足 備前市、赤穂市

大和葛城山から明石海峡大橋に沈む夕日と夜景を望む 金剛山地

2013.05.03

続きは上の記事に。

関連記事 2013年4月 トワイライトハイク 大和葛城山から展望と遠景を

大和葛城山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「大和葛城山」周辺の地図を表示
「葛城山(カツラギサン)(かつらぎさん)」 別称として「大和葛城山」
標高958.9m(→958.8m)(二等三角点「篠峰山」)
大阪府南河内郡千早赤阪村、奈良県御所市(山体は河南町、葛城市に跨る)

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!