先日、残暑厳しい晩夏の季節としては空気が澄んでいた日の話。
散歩がてら、夕暮れ時に京都東山の豊国廟(ほうこくびょう)を参拝しました。
豊国神社さんの東にあたる東山七条から女坂を上り、「東山三十六峰」阿弥陀ヶ峰(あみだがみね)の西麓にあたる太閤坦に到着します。
すでに時遅かったことに加え、暑いさなかに山上の廟墓まで登る気は起きず、山下に設けられた拝殿でお参りするに留めておきました。
豊臣秀吉ゆかりの太閤坦の話や、沈む夕日を拝んだ話は前回の記事に。今回はその続きです。
「太閤坦」の読みは「たいこうだいら」で、かつての豊国神社跡地の平坦な広場を指しています。
台風が本州に接近していた影響でしょうか。
太閤坦の展望地からは遠くまで条件よく見えており、西日に照らされた大阪の高層ビル群も明瞭な見え方でした。
建設中の中之島フェスティバルタワー・ウエストも、ついにビル上部のクレーンが撤去されたようで、いまや本館と並んで双子のようです。
さらによく目を凝らして眺めてみると、大阪湾に聳えるコスモタワーの周辺が点滅していることに気付きます。
京都東山の豊国廟太閤坦から大阪の高層ビル群、コスモタワーを遠望する。
ついに中之島フェスティバルタワー・ウエストも……。
主な建築物 | 距離 | (地上高) | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
大阪府咲洲庁舎 | 51.3km | (256m) | 大阪府大阪市住之江区 | コスモタワー |
梅田スカイビル | 41.1km | (173m) | 大阪府大阪市北区 | |
中之島フェスティバルタワー | 41.8km | (199m) | 大阪府大阪市北区 |
写真では分かりませんが、コスモタワーの左、これはドコモ大阪南港ビルの電波塔が点滅しているようです。
このビルは大文字山の山頂(三角点)から見通せますが、標高が低い太閤坦から望むとビルそのものが分かりにくく、鉄塔だけ地表から生えているかのようです。
また、コスモタワーの右では大阪港に架かる天保山大橋の主塔も点滅していましたが、手前にあたる紅白の送電鉄塔に遮られるため、やや場所が分かりにくいです。
大文字山や伏見の稲荷山荒神峰から天保山大橋が見えることは知っていましたが、標高100mに満たない太閤坦から見えるのは驚きです。
伏見に城を築き、東山の阿弥陀ヶ峰に葬られることを願った秀吉さんは、おそらく両所から大阪を見通せることに気付いていたのでしょう。
荒神峰から天保山大橋などを撮影した写真、動画は上の記事に。
コスモタワーに限らず、グランフロント大阪など梅田周辺のビル群、あるいは関電ビルディングなど中之島周辺のビル街もシャープな見え方でした。
梅田スカイビルの左にはハービスOSAKAや西梅田の高層マンションなど、あるいは他にも多くの高層ビルが写っていますので、興味がある方は調べてみてください。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
小塩山 | 13.7km | 642m | 京都府京都市西京区 |
ポンポン山 (加茂勢山) | 15.5km | 678.8m | 京都府京都市西京区 大阪府高槻市 |
向谷山 (大沢山) | 15.3km | 478.2m | 大阪府三島郡島本町 |
天王山 | 13.5km | 270m | 京都府乙訓郡大山崎町 |
見掛け上の日没時、京都西山(老ノ坂山地)の稜線も色濃く鮮やかな見え方でした。
前回の記事に写真を掲載した京都タワーより少し左(南西)を向いて撮影しています。
京都女子大学さんの上、太閤坦のバス駐車場のあたりが開けており、おおむね南西から南にかけてを見晴らせます。
視点を左に。
豊国廟太閤坦の遠景。京都南部、男山、大阪方面を遠望する。
撮影地点から鳩ヶ峰(京都府八幡市)まで14.3km。
ベンチやテーブルが置かれたあたりからは小塩山から生駒山までを見渡すのが限界で、京都タワーや金剛山は見えませんが、少しばかり場所を変えれば見通せます。
ただし、後ろをプリンセスラインバスなどが頻繁に行き来するので、落ち着いて景色を眺めるには適していません。
付近には東山山頂公園や清水寺さんの舞台、あるいは稲荷山といった有名な景勝の地があり、わざわざ当地を選ぶこともないでしょう。
ですが、豊国廟の参拝ついでに軽く休憩するには良い展望スポットです。
京都東山の豊国廟太閤坦から和泉葛城山など和泉山脈を遠望する。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
大石ヶ峰 (大石ノ峰) | 76.9km | 860m | 大阪府岸和田市 大阪府和泉市 和歌山県伊都郡かつらぎ町 |
葛城山 (和泉葛城山) | 77.8km | 858m | 和歌山県紀の川市 大阪府岸和田市 大阪府貝塚市 |
三峯山 | 82.4km | 576.2m | 和歌山県紀の川市 大阪府泉佐野市 |
今年の元日に新日吉神宮さんや豊国廟を参拝した際も太閤坦から大阪方面を遠望しましたが、私が好む和泉山脈の稜線は霞んで見えず、そのことが心残りとなっていました。
これで和歌山県の山まで望んだと言えるでしょう。
2016年1月1日に阿弥陀ヶ峰を登拝した話は上の記事に。
なお、八幡の鳩ヶ峰(男山)に遮られるため、雲山峰など紀泉アルプスの山々は太閤坦から見えません。
金剛山より東も見えないので、現状では上の写真に写るあたりが太閤坦から明確に見える最遠望の地だと考えられます。
「現状では」「明確に」と条件を付けたのは理由があり、建築物の状況しだいでは和泉山脈の西端部も近い和泉飯盛山(泉南飯盛山)の山頂域が見える可能性があります。
視点を左に。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
生駒山 | 35.6km | 642.0m | 奈良県生駒市 大阪府東大阪市 | 生駒山地最高峰 |
交野山 | 23.3km | 341m | 大阪府交野市 | 河内富士 |
1月に太閤坦から生駒山を撮影した写真では、どこかぼやけた印象を受けましたが、今回は山上の施設も明瞭な見え方です。
生駒山上遊園地の花火(ファイアーリュージョン)も今夏は明晩(8月26日)で最終ですね。
今晩(25日)は悪天候の中でも開催されたようで、京都側の山から見えていました。
視点を左に。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
湧出岳 | 64.1km | 1111.9m | 奈良県御所市 | |
金剛山 (葛木岳) | 63.9km | 1125m | 奈良県御所市 | 金剛山地最高峰 |
高ヶ峰 | 23.1km | 305.6m | 大阪府枚方市 京都府京田辺市 |
1月の記事で「空気が澄んだ好条件の日であれば、(太閤坦から)金剛山は見える可能性が高いでしょう」と書いておきましたが、それを証明する写真も撮影できました。
稲荷山などに遮られるため、金剛山より南東に所在する大峰山脈西部の山々は太閤坦から見えません。
これで「太閤坦から見える山」は、ほぼ全て撮影したと言えるでしょう。
遠くに見える山の形は大きく変化しませんが、人工的な街並み、都市景観は時代とともに変わります。
大阪に超高層ビルが密集して林立するようになったのも近年の話で、過去に京都側から大阪方面を撮影した写真を見てみると、梅田の周辺も中之島の周辺も「隙間」が見られます。
これは太閤坦そのものも同様で、かつての姿を留めている部分もあれば、失われた光景もあります。
太閤坦から大阪の超高層ビルあべのハルカスが見えるかの検証は上の記事で。
関連記事 2016年8月 太閤坦サンセットウォーキング
- 太閤坦の由来 夕日と京都タワーを望む 東山七条~女坂~豊国廟
- 豊国廟 太閤坦の風景 大阪の高層ビル群や金剛山を遠望 京都
阿弥陀ヶ峰 豊国廟(地理院 標準地図)
「阿弥陀ヶ峰(アミダガミネ)(あみだがみね)」標高196m
京都府京都市東山区
「豊国廟(ホウコクビョウ)(ほうこくびょう)」
京都府京都市東山区
最近のコメント