いわゆる「東山三十六峰」の一座にあたる瓜生山(うりゅうやま、うりゅうざん)から、遠く大阪にそびえ立つ超高層ビル「あべのハルカス」を見通せることにお気付きの方は意外に少ないようです。
長らく様子を見てきましたが、インターネット上では瓜生山からハルカスさんの明確な撮影例が出そうにないため、当方で紹介しておきます。
瓜生山は比叡山の南西に位置し、付近の山域を総称して古くは「白川山」とも呼ばれていました。
「京都東山」でも北部寄りの山域にあたり、山頂は京都市左京区に所在します。
かつては白色の花崗岩石材である「白川石」の産地として知られていましたが、比叡山や大文字山の採掘地同様、現在は切り出していません。
一乗寺側の山麓には狸谷山不動院さん、誌仙堂さん、金福寺さんといった名勝が知られ、北白川側の山麓には京都造形芸術大学さんや日本バプテスト病院さんが所在します。
瓜生山の展望地から和泉山脈西部、あべのハルカス、京都タワー、平安神宮さんの大鳥居を望む。
山名 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
三峯山 | 88.2km | 576.2m | 和歌山県紀の川市 大阪府泉佐野市 | |
四石山 | 93.0km | 384.4m | 大阪府泉南市 大阪府阪南市 和歌山県岩出市 | |
雲山峰 | 96.8km | 489.9m | 和歌山県和歌山市 | 紀泉アルプス最高峰 |
大福山 | 98.1km | 427m | 和歌山県和歌山市 大阪府泉南郡岬町 | |
あべのハルカス | 50.8km | (300m) | 大阪府大阪市阿倍野区 | 日本一高いビル |
The Kitahama | 47.2km | (209.4m) | 大阪府大阪市中央区 | 北浜タワー |
鳩ヶ峰 | 20.0km | 142.4m | 京都府八幡市 | |
京都タワー | 6.8km | (131m) | 京都府京都市下京区 |
瓜生山でも、私が「石の上の展望地」などと呼んでいる開けた場所から京都南部、大阪方面まで見渡すことができます。
巨大な白川石の上にあたりますが、この岩場は「清沢口石切場」跡の岩壁と比較して知名度が高いとはいえません。
また、瓜生山を登っていても、この展望地が切り立った白川石の上にあるとは気付かず、何の気なしに見晴らしが良い場所だと思いながら通り過ぎる方も少なくないでしょう。
本記事において、初稿時に「京都造形芸術大学」としていた箇所については、改称前のまま残しておきます。
あしからずご了承ください。
山麓にあたる北白川から、この展望地へ至るコースは多々あります。
- バプテスト病院さんの東側から京都一周トレイルコース(北白川史跡と自然の道)~大山祇神社さん~トレイルコースから外れて尾根道へ~展望地
- バプテスト病院さんの西側から北白川幼稚園さん(お山の幼稚園)~「東山三十六峰」北白川山~「東山三十六峰」茶山~展望地
- 京都造形芸術大学さん~北白川ゴルフクラブさんの上~「東山三十六峰」茶山~展望地
などなど。
これらは北白川からのアプローチに限定していますが、一乗寺からのコースや、瓜生山の山頂から展望地へ下るコースもあります。
瓜生山の山頂から下る場合、京都一周トレイル道標「東山59-1」から岐れます。
先週、2015年(平成27年)2月の話。最初のコースを利用して瓜生山を登りました。
京都一周トレイルの道標にしたがい、日本バプテスト病院さんの脇から瓜生山(~比叡山)に入山します。
北白川大山祇神社さん(地龍大明神さん)。瓜生山の登山口にあたります。
大山祇神社さんで沢沿い(谷沿い)のトレイルコースから外れ、西側に見える尾根へ取り付き、あとは道なりに北へ登っていくだけです。
途中で造形大さんからのコースを合わせ、さらに少し登れば、眼前(北)を遮るように急登の斜面が現れます。
ここで斜面を登れば石の上の展望地に着きますが、せっかくですので、少し寄り道することにします。
しっかしりした踏み跡がついた山道が東に見えますので、その道をわずかに入り、すぐに北を向けば、真っ白な岩壁が目に入ります。
ここで山道をそのまま東に向かえばトレイルコースに復帰します。
瓜生山の山頂と茶山の山頂の中間地点にあたるため、厳密には瓜生山ではなく「茶山の奥」と申し上げるのが適切かもしれませんが、こちらでは広く瓜生山としておきます。
茶山の山頂や、その西の山裾に所在する京都造形芸術大学さんの住所は左京区北白川瓜生山町にあたり、造形大さんでは裏山を指して茶山とは呼ばず、瓜生山と呼んでいらっしゃるようです。
「茶山」の呼称は、京都の豪商として知られる茶屋四郎次郎の別荘(山荘)が山麓に所在したとされることに由来するものですが、その跡地ともいえるあたりに京都造形芸術大学さんが建っています。
江戸時代初期、詩仙堂で知られる石川丈山が「情延山」と刻した額を茶屋四郎次郎の別荘に贈ったとされ、長く「情延山」と呼ばれていました。
「茶山」と呼ばれるようになったのは後世の話です。
瓜生山(茶山)の切り立った岩壁、崖。真っ白な白川石の露頭。近景。
ざっと20m程度の高さを誇る白川石の岩壁。
当地も石切場の跡として紹介されることもあるようですが、これが切り出されたことによる露頭かどうかは判断が難しいところです。
何年か前、北白川にお住まいの方から、当地に詳しい石材屋さんを紹介していただき、お話を伺う予定でしたが、その後、私が病に倒れたため、うやむやとなってしまい申し訳なく。
私の周りの方々と異なり、私自身は岩登りの趣味はなく、直接、この壁をよじ登るのは困難ですから、先ほどの急斜面まで引き返し、そちらから登ります。
雨上がりは滑りやすい急登の崖道ですが、とくに険しい区間には補助ロープも備わっています。
回り込むように登れば石の上の展望地です。
瓜生山の展望地から夕景を眺望。京都、大阪を一望する。京都市左京区。
山名 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
生駒山 | 41.5km | 642.0m | 奈良県生駒市 大阪府東大阪市 | 生駒山地最高峰 |
天王山 | 18.9km | 270m | 京都府乙訓郡大山崎町 |
眼下には京都でも東部から南部、すぐ左に大文字山、遠くに大阪方面、金剛山、生駒山、和泉山脈、右に天王山を一望できる好展望地です。
京都でも北部は見えにくく、京都西山の主だった山々は木々の合い間に見えるのみです。
先にも述べましたが、この展望地のことはご存じでも、ここが巨大な白川石の上だとお気付きではない方も少なくないようです。
ですが、先の写真に見えるように、いわば断崖絶壁の上ですので、不用意に身を乗り出さないほうがよいでしょう。
目安となるかのように朽ち木が倒れていますので、それより前に出ないのが無難です。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
近年になり、京都造形芸術大学さんの裏山、地形図ではこの小ピーク を指して茶山の山頂と見なすようになりましたが、これは東山三十六峰ハイカーがそう呼んでいるだけの話であって、以前より、造形大さんの南側に所在する禅法寺さんの裏手にあたる北白川墓地の上にも「茶山山頂」碑があります。
このようなことが起きる原因として、おそらく、ハイカーの間では、茶山(情延山)の歴史があまり知られていないからだと考えられます。
展望地から見える遠景の詳細と合わせ、いわゆる「東山三十六峰」の瓜生山や茶山、あるいは北白川山の歴史や由来について、次回の記事で紹介・解説しています。
関連記事 2015年2月 瓜生山 展望ハイキング
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 茶山(情延山)や瓜生山ハイキング あべのハルカスを遠望
- 瓜生山(勝軍山)、茶山、北白川山の由来と歴史 東山三十六峰
瓜生山(地理院 標準地図)
「瓜生山(ウリュウヤマ、ウリュウザン)(うりゅうやま、うりゅうざん)」標高301m
京都府京都市左京区
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