2016年(平成28年)4月6日の話。
お昼頃に少し時間が空いたため、参拝がてら、上品蓮台寺さんと、その東側に所在する船岡山や建勲神社さんの桜を眺めてきました。
前回の記事では上品蓮台寺さんの境内に咲く今の時期のお花の写真を掲載しましたが、今回は建勲神社さんの桜と展望を。
記事の後半で雨宝院さんの桜の開花状況も紹介しています。
建勲神社の桜と展望 4月6日
建勲神社さんから桜越しに大文字山の「大」の字跡を遠望する。
大文字山と桜を合わせて撮影するスポットとして、賀茂川(鴨川)の桜並木がよく知られていますが、建勲神社さんの眺めもなかなかのものです。
見えている桜はソメイヨシノ(染井吉野)ですが、6日の時点で盛りは過ぎていました。
7日に降った大雨で多くのお花を散らしたでしょう。
神社の方が近くで見ていらっしゃる中で撮影したため、少し緊張しました(笑
船岡山の山上に鎮座する建勲神社さんは多くの桜が咲く名所ですが、今の時期であってもさほど混雑しておらず、のんびりと観賞できます。
京都の桜。満開のヤエベニシダレ(八重紅枝垂)。建勲神社さん。
先の記事でも申し上げたように、今春は雨宝院さんや上品蓮台寺さんの八重紅枝垂のお花の付きがよくありません。
両所から遠くない建勲神社さんの八重紅枝垂は勢いがあり、とくに見応えがあります。
織田信長公とその子である信忠公を祭神とします。
「建勲神社」は正しくは「たけいさおじんじゃ(かむやしろ)」と読みますが、一般的には「けんくんじんじゃ」と呼ばれており、神社さんでもそのように紹介していらっしゃいます。
信長の忠誠偉勤を御追賞になられた明治天皇の勅命により創建された神社であることは存じていましたが、歴史を調べてみると、いわゆる「本能寺の変」の後、「山崎の戦い」で明智光秀を討った豊臣秀吉が、船岡山の北に所在する大徳寺で大法要を修し、船岡山に天正寺を創建して信長の英霊を慰めようとしたが、竣工するに至らなかった、といった話が見え、建勲神社を創建するにあたり、船岡山の地が選ばれたのはそのあたりに起因するようです。
ただし、史料上、天正寺なる幻の寺が、信長や織田家の菩提寺となる予定であった、などとは明示されていません。
あくまでも慰霊のための創建構想だったと考えられます。
幕末の王政復古運動において、当時の観点では、信長は尊王の士と扱われており、孝明天皇や明治天皇は信長の京都における振る舞いを高く評価していたようです。
明治天皇により京都でお祀りされるようになった過去の人物として、織田信長以外に崇徳院(崇徳天皇、崇徳上皇)がいます。
これは他の記事でも申し上げていますが、武家政治を廃し、君主政権への移行を図る勢力にとって、保元の乱で敗れ、讃岐国(現在の香川県)に配流された崇徳院の存在は大きいものでした。
孝明天皇は崇徳院の神霊を讃岐の地から京都に遷そうと考え、後に、明治天皇により西陣(堀川今出川)の地に白峯神宮さんが創建されました。
京都の桜。建勲神社さんからソメイヨシノ越しに「都富士」比叡山を眺望する。
拝殿の前からは大文字山しか見えませんが、東参道の階段から桜越しに「都富士」比叡山の姿も眺望できます。
晴れてはいましたが、6日は空の色が薄く、どうにも写真映えしません。
この季節はすっきりした青空になりにくいため、日が差しただけでも有難いと思いましょう。
なんだか霞んだ印象を受ける空でしたが、意外なことに船岡山山頂の三角点広場からは金剛山が見えており、うっすらと大峰山脈まで見えていました。
そちらは写真に写るほどではなかったため、ラジオ塔のあたりから桜越しに左大文字山と愛宕山を撮影した写真を。
愛宕山は「大」の字の左奥に見えているコブです。
船岡山は「応仁の乱」に際して大内政弘ら西軍の主力が陣を張った場所としても知られています。
いわゆる「西陣」は住所として公的に使用される広域地名ではなく、いわば俗称で、どこからどこまでが範囲だと厳密に定められているわけではありません。
西軍の総大将である山名宗全(持豊)の邸宅(=西軍の本陣)があった堀川今出川の北西側を中心として、その東西南北に広く跨るエリアです。
山名宗全邸宅跡の近くには、京都市立西陣中央小学校さんが所在します。
船岡山から下山後、その東に所在する水火天満宮さんへ。
建勲通を東に約1km、堀川通に出るまで徒歩で10分程度の道のり。
鞍馬口通を利用する場合でも同様です。
水火天満宮の枝垂桜 4月6日
八重咲きではなく、一重咲き(単弁)の紅枝垂れです。
今年は他所の単弁の枝垂桜と比べると展開が遅れていたため、少し心配していましたが、無事に花盛りを迎えました。
隣接する天神公園側から眺めた水火天満宮さんのシダレザクラ(枝垂桜)。
以下は今日、2016年4月8日のお昼頃に雨宝院さんで撮影した写真です。
雨宝院の桜の開花状況 4月8日~
昨年(2015年)は「花まつり」の4月8日に満開となりましたが、今年は盛りには少し早く。
気温の推移から見て、この週末には八分咲き以上で満開となるでしょう。
後方に見えているピンク色は八重紅枝垂です。
お昼の時点ではショウゲツ(松月)やギョイコウ(御衣黄)は未開花でしたが、蕾は順調に膨らんでおり、間もなく開花するでしょう。
境内のオウバイ(黄梅)は見納めです。
追記。
2016年4月10日の早朝の時点で観音桜、歓喜桜はおおむね見頃。
ショウゲツとギョイコウは開花直後。ギョイコウは高い枝のお花が咲いていますが、分かりにくいです。
ボタンやシャクナゲも開花しています。
夜中に吹き荒れた風の影響が大きいようで、4月11日の早朝に見てみたら観音桜や歓喜桜は随分と散っていました。
まだ蕾も残しており、花期としては真っ盛りですが、強い風が吹くたびに花吹雪。
シロヤマブキやキリシマツツジも開花しています。
4月12日の早朝の時点で観音桜、歓喜桜は全体的に満開。
境内には花びらが散っていますが、これは前日に吹き荒れた「春の嵐」によるもので、花期を過ぎたわけではありません。
今日は青空が広がる穏やかなお天気で、観賞のベストタイミングと言えるでしょう。
10~12日の話は上の記事に。
関連記事 2016年4月 京都の八重紅枝垂
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建勲神社(OpenStreetMap日本)
「建勲神社」
京都府京都市北区紫野北舟岡町 付近
「水火天満宮」
京都府京都市上京区扇町 付近
「雨宝院(西陣聖天宮)」
京都府京都市上京区聖天町 付近
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