そろそろ1年が経ちますが、2014年(平成26年)3月の話です。
この日は嵐山渡月橋から桂川(大堰川、保津川)の左岸を遡り、亀山公園(嵐山公園 亀山地区)へ。
今年の1月、深く雪積もった日も同じコースを歩いていますが、亀山の奥から小倉山を登ります。
「小倉山再生プロジェクト」により、山では木々の間伐が進んでおり、中腹の展望地まで登るまでもなく、ハイキングコース上も見晴らしが良くなっていました。
上の記事で、「昨年、2014年(平成26年)3月、偶然にも植樹活動の後に小倉山を登った」が、「ある事件が起き、記録として残すのを先延ばしとしたまま」と述べました。
やる気が無いことでお馴染みの私、これはこのままお蔵入りか……、と思われた方も多いでしょうが、この日、私が撮影した写真には「小倉山の展望地から見える全ての山が写っていた」ことが確定したため、改めて取り上げておきます。
見晴らしが良くなった小倉山ハイキングコース上からの眺め。
左奥に比叡山、眼下に京都の街並み。
さらに1年前、つまり、2013年(平成25年)の3月にも小倉山を登っていますが、その日も空気が澄んでおり、春としては遠くまで見えやすいと感じる日でした。
この日も1年前と同等、いえ、それ以上に澄んだ爽やかな青空が広がる好条件で、眼下の街並みも遠くの稜線もクリアかつシャープな見え方です。
3月といえば黄砂や花粉の影響を受けやすく、霞んだ薄い空の日が多いのに、なんだか不思議なものです。
これほど好条件の日であれば、より遠くまで見える山を登っておけばよかった……、と、これまた1年前と同じ感想を抱きますが、小倉山から遠くまで撮影する良い機会だと肯定的に捉えます。
道中、振り返ってみると、嵐山の山間、保津川の峡谷が右手に見えています。
この峡谷部は中腹の展望地まで登ってしまうと見えません。
分かりにくいですが、左端には渡月橋、遠くには鷲峰山系の連なりが写っています。
上の2枚はハイキングコース上から撮影しています。
以下は東~南東向きが開けた中腹の展望地から。
小倉山の展望地から鷲峰山と桂川を渡る新幹線を望む。京都市右京区。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
空鉢峰 (空鉢ノ峰) (鷲峰山) | 30.6km | 682m | 京都府相楽郡和束町 | |
釈迦岳 (釈迦ヶ岳) (鷲峰山三角点峰) | 30.8km | 681.0m | 京都府綴喜郡宇治田原町 京都府相楽郡和束町 | 点名「鷲峰山」 |
JR西日本さんの桂川橋梁のうち、奥の橋梁を東海道新幹線が、手前を東海道本線(JR京都線)が通過しています。
すでに日陰に入っているため、雪の日と異なり、伏見桃山城の場所は分かりにくいです。
京都盆地では伏見桃山城の右手前にNTTコミュニケーションズ京都南ビルの赤白の塔が目立っており、右端付近には京セラさんの本社ビルが写っています。
空鉢峰の手前に重なるように見えているのは宇治田原町の大峰山です。
鷲峰山から視点を右に移します。
京都の小倉山から遠くに三重・奈良県境の三峰山を望む。
よくよく目を凝らして確認してみると、手前にKBS京都ラジオ電波塔(くみやま夢タワー137)も写ってますね……。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
三峰山 | 80.5km | 1235.2m | 三重県松阪市 三重県津市 奈良県宇陀郡御杖村 |
高槻山 | 70.9km | 946m | 三重県津市 |
奥岸谷山 | 30.4km | 521.8m | 京都府相楽郡和束町 |
高見山地に属する三峰山の周辺は、小倉山の中腹に所在する展望地から遮られるものなく明確に見える最遠の山域です。
比叡山や愛宕山からは三峰山まで遠望でき、過去に何度も撮影していますが、大文字山からは見えません。
標高200mそこそこに過ぎない小倉山の展望地から三峰山が見えるのは貴重と言えるでしょう。
左端の遠方にうっすら見えているのは、西浦峠の北東に連なる高槻山ですが、和束町の奥岸谷山に遮られるため、曽爾高原の倶留尊山は見えません。
この奥岸谷山(おくがんたにやま)は標高の低い鷲峰山といった山容で、遠くから見ても意外に目立ちます。
犬打峠の西に位置しており、新名神高速道路の開発しだいで付近も整備されるかもしれません。
計画図を見るかぎり、新名神の大津JCT(仮称)~城陽JCT区間は宇治田原町と城陽市付近を通過しますので、この山域のどこかの山が必ず削られます。
さらに視点を右に移します。
小倉山の展望地から遠くに室生山地(室生火山群)の国見山、住塚山を望む。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
国見山 | 68.3km | 1016m | 奈良県宇陀郡曽爾村 奈良県宇陀市 |
住塚山 | 68.5km | 1009.2m | 奈良県宇陀郡曽爾村 奈良県宇陀市 |
大焼山 | 27.8km | 429.2m | 京都府綴喜郡井手町 |
三上山 | 31.5km | 473.1m | 京都府木津川市 |
計算上、住塚山の右遠方には台高山脈の迷岳の周辺が見え、上の写真でも木立の合間に覗いていますが、間に所在する松尾山の木立に遮られるため、明瞭に望むのは難しいです。
現状、南東向きの遠望については高見山地の三峰山の周辺、それに室生山地の一部を望むのが限界です。
小倉山の展望地から大文字山と京都、遠くに鈴鹿山脈の仙ヶ岳を望む。
山名 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
大文字山 | 13.4km | 465.3m | 京都府京都市左京区 | |
如意ヶ岳 | 14.7km | 472m | 京都府京都市左京区 | |
仙ヶ岳 | 67.1km | 961m | 三重県亀山市 三重県鈴鹿市 滋賀県甲賀市 | |
逢坂山 | 16.8km | 324.7m | 滋賀県大津市 | |
阿星山 | 36.6km | 693.0m | 滋賀県湖南市 滋賀県栗東市 | |
竜王山 | 33.3km | 604.6m | 滋賀県栗東市 | 金勝アルプス |
小倉山から京都盆地と大文字山、逢坂山、阿星山を望む恒例の構図ですが、よく見ると、逢坂山の向こうにうっすら山影が写っています。
これは鈴鹿山脈南部の仙ヶ岳で、空気が澄んだ日でないと見えません。
比叡山地(京都東山)の連なりに遮られるため、雨乞岳(大文字山の後方)や御池岳(比叡山の後方)など、鈴鹿山脈でも仙ヶ岳より北にあたる山々を望むことはできません。
もちろん、伊吹山や、より遠くの山を望むこともできません。
「小倉山の展望地から見える遠くの山」は、東向きが仙ヶ岳、南東向きは三峰山の周辺、ただし、南東向きについては条件しだいで迷岳の周辺まで。
京都盆地の北西縁にあたる低山から見える山としてはなかなかのものでしょう。
今回の話だけでも完結する内容ですが、気が向いたら続きも書きます。
続きは上の記事に。
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小倉山(地理院 標準地図)
「小倉山(オグラヤマ)(おぐらやま)」
標高296m
京都府京都市右京区
便宜上、当ウェブサイトでは桂川左岸(右京区以北)を「京都北山」、右岸(西京区以南)を「京都西山」と定義しているため、愛宕山や小倉山は「京都北山」に区分しています。
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