2014年(平成26年)4月の話。
春の山野草を観察するため、この日は比叡山を登山しました。
そろそろ花期も終わりでしょうが、せっかくなのでバイカオウレンも。
今回は上の記事の続きで、同じ日に撮影した写真を掲載しています。
バイカオウレン(梅花黄蓮)のお花。キタヤマオウレン(北山黄蓮)との違いは?
追記。
写真に写るお花について、記事初稿の公開時は「バイカオウレン(梅花黄蓮)」としていましたが、2011年(平成23年)に新種として発表された「キタヤマオウレン(北山黄蓮)」の可能性があるとご指摘いただきました。
キタヤマオウレンはバイカオウレンの近縁種とされ、京都府以外では、岐阜県と福井県、滋賀県に分布するとされます。
2015年(平成27年)の京都府自然環境目録にも記載がなく、バイカオウレンとの分類が進んでいないようです。
バイカオウレンの葉は5枚に全裂、キタヤマオウレンの葉は三全裂だが五全裂も混在する。
キタヤマオウレンの小葉柄はほぼ無いに等しいが、バイカオウレンの小葉柄はきわめて短いとはいえ確認できる。
キタヤマオウレンの花弁(白い部分ではなく黄色い部分)は楕円形で、バイカオウレンの花弁は円形。
キタヤマオウレンの花はバイカオウレンの花よりやや大きい。
キタヤマオウレンは地下匐枝(地下走出枝)を持つ。
上の写真のお花や、次の次の写真に写る葉を見るかぎり、個人的にはバイカオウレンかなとも思いましたが、たしかにキタヤマオウレンの可能性もあるかもしれませんね。
今回の記事に掲載している写真だけでは分からないことが多すぎますので、機会があれば細かく観察、調査してみたいものです。
追記終わり。
入れ替わるように、ミヤマカタバミが数多く咲いていました。
ミヤマカタバミの別名は「エイザンカタバミ(叡山片喰)」、これはもちろん、比叡山に多いことに由来しています。
「エイザン」の名を冠する植物として、他にエイザンスミレが知られていますが、こちらは比叡山では個体数を極端に減らしています。
2013年(平成25年)のレッドリスト改定により、京都府では絶滅寸前種の指定を受けました。
京都府では絶滅種のエイザンユリ(ヤマユリ)については別の記事 で少しだけ。
混在するバイカオウレンとミヤマカタバミ。キタヤマオウレンかも?
右手前にバイカオウレンの葉、左奥にミヤマカタバミの葉が写っています。
バイカオウレンの別名は「ゴカヨウオウレン(五加葉黄蓮)」。
それが示すように、右手前に写る葉が深く5枚に全裂していますね。
対して、ミヤマカタバミは、いかにもカタバミらしい三つ葉です。
追記。
よく写真を見てみると、バイカオウレンとしている植物の葉のうち、右手前で目立つ葉はたしかに5枚に全裂していますが、それ以外の葉は三全裂も混在していますので、上でも追記したキタヤマオウレンの可能性があります。
ただし、短いとはいえ小葉柄も一定の長さがあるように見えます。
比叡山に分布するバイカオウレン(と見なされてきた植物)は全てキタヤマオウレンではないかとの指摘もありますので、今後の分布調査に期待。
追記終わり。
この付近のミヤマカタバミのお花は異様に大きく、別の植物かと思うほど。
比叡山では基本的な白色のお花を咲かせるミヤマカタバミが目立ちますが、若狭の青葉山 ではピンク色のお花をよく見かけます。
あれはいわゆるベニバナミヤマカタバミであるのか、そうでないのか。
右手前に写っている葉や、その横に写っている、縦にすっくり長い茎は、明らかにチャルメルソウ(哨吶草)のそれですね。
ミヤマカタバミを撮影しながら、何気なく横を見てみると……。
トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)のお花が咲いていました。
まとまって咲いている場所も多いため、そこまで珍しい植物とも思えませんが、京都府では準絶滅危惧種の指定を受けています。
トウゴクサバノオとよく似ている植物に、より大型のキバナサバノオがあります。
キバナサバノオは近畿地方の北部と岡山県のごく限られた範囲でのみ分布が確認されており、2013年のレッドリスト改定により、京都府では絶滅寸前種の指定を受けています。
以前はトウゴクサバノオとキバナサバノオが混同されていましたが、実際に見てみると大きさがまったく異なります。
他県のキバナサバノオ自生地はよく知られており、ハイカーであれば容易に観察できますが、京都府の自生地はやや分かりにくい場所に残ることもあり、現状ではあまり広まっていないようです。
写真整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
比叡山(比叡山地)
滋賀県大津市、京都府京都市左京区
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