2014年(平成26年)4月。
サクラの開花状況と照らし合わせ、そろそろ見頃だろうと思い、カタクリ(片栗)のお花を観察するため、この時期恒例の山へ。
今年も可憐な、ほころびやすい紫色のお花が咲いていました。
崖下の急斜面にわずかに残る、ごく小規模な群落ですが、私にとってはかけがえのない、近場で観察できる大切な自生地です。
ただ、近年、その存在がインターネット上でも広く知られるようになってしまったため、あと何年、この環境を維持できるか分かりません。
私ができること……、つまり、踏圧を抑えるための啓蒙活動や見回りですが、そのようなことにも限りがあります。
一面に広がるカタクリのお花を誇るような、人為的に管理された大規模な群生地を見慣れている方や、同じ京都の山でも、たとえば、京都西山の有名な自生地をご存じの方にとっては、「なんだ、たった、この程度」と笑われてしまう規模でしょう。
ですが、私はそういった管理された群生地よりも、盗掘や斜面の崩落、環境の変化、あるいは動物による食害から耐え続けている、この自生地を好んでいます。
近年は株数も回復傾向にありますが、急斜面を下り、ややなだらかになってしまうと、葉すら見ることができなくなります。
ある種の動物が容易に出入りできる環境では生き残ることができないのでしょうか。
昔はいた(らしい)ギフチョウが、乱獲の影響で姿を消してしまったのは残念です。
「らしい」、とするのは、私自身はこの山ではギフチョウを見たことがないからですが、採集家の方の記録には山域名、地域名が見える、それに、この山には食草となるミヤコアオイも多く見られますので、確かに、かつては姿を見ることができたのでしょう。
(追記しておきますと、この山域では1990年代に激減したとのことで、それならば私が見ていないのも無理からぬ話です)
近年のいわゆる「大文字山の常連さん」でもご存じないようで、一般的には知られていないようですが、昔は大文字山にもギフチョウがいました。
どこぞの方々の愚かな行いや、それに加担したも同然と言える某大学の方々の行いにより、こちらは2000年代半ばを境に姿を消したものと記憶しています。
上記の件について追記。
2015年(平成27年)、久々に大文字山でギフチョウの目撃例が出ました。
ただし、私自身は未確認ですし、大文字山産とは限りません。
大文字山や船山など、他の里山の例に漏れず、この山でも個体数を減らしています。
環境を見るかぎり、いずれ、失われてしまう可能性があります。
2014年4月
京都府京都市
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