比叡山4月の花 バイカオウレンやトウゴクサバノオ 滋賀・京都

2014年(平成26年)4月の話。
春の山野草を観察するため、この日は比叡山を登山しました。
そろそろ花期も終わりでしょうが、せっかくなのでバイカオウレンも。

カタクリの花 片栗 比叡山 京都府・滋賀県 2014年4月

比叡山 カタクリの花 シキミとツルシキミの葉 滋賀・京都

2014.04.20

今回は上の記事の続きで、同じ日に撮影した写真を掲載しています。

バイカオウレン(梅花黄蓮)の花 比叡山 2014年4月
バイカオウレン(梅花黄蓮)のお花。キタヤマオウレン(北山黄蓮)との違いは?

追記。
写真に写るお花について、記事初稿の公開時は「バイカオウレン(梅花黄蓮)」としていましたが、2011年(平成23年)に新種として発表された「キタヤマオウレン(北山黄蓮)」の可能性があるとご指摘いただきました。
キタヤマオウレンはバイカオウレンの近縁種とされ、京都府以外では、岐阜県と福井県、滋賀県に分布するとされます。
2015年(平成27年)の京都府自然環境目録にも記載がなく、バイカオウレンとの分類が進んでいないようです。

バイカオウレンの葉は5枚に全裂、キタヤマオウレンの葉は三全裂だが五全裂も混在する。
キタヤマオウレンの小葉柄はほぼ無いに等しいが、バイカオウレンの小葉柄はきわめて短いとはいえ確認できる。
キタヤマオウレンの花弁(白い部分ではなく黄色い部分)は楕円形で、バイカオウレンの花弁は円形。
キタヤマオウレンの花はバイカオウレンの花よりやや大きい。
キタヤマオウレンは地下匐枝(地下走出枝)を持つ。

上の写真のお花や、次の次の写真に写る葉を見るかぎり、個人的にはバイカオウレンかなとも思いましたが、たしかにキタヤマオウレンの可能性もあるかもしれませんね。
今回の記事に掲載している写真だけでは分からないことが多すぎますので、機会があれば細かく観察、調査してみたいものです。
追記終わり。

ミヤマカタバミ(深山片喰)の花 比叡山 2014年4月
ミヤマカタバミ(深山片喰)のお花。

入れ替わるように、ミヤマカタバミが数多く咲いていました。
ミヤマカタバミの別名は「エイザンカタバミ(叡山片喰)」、これはもちろん、比叡山に多いことに由来しています。

「エイザン」の名を冠する植物として、他にエイザンスミレが知られていますが、こちらは比叡山では個体数を極端に減らしています。
2013年(平成25年)のレッドリスト改定により、京都府では絶滅寸前種の指定を受けました。
京都府では絶滅種のエイザンユリ(ヤマユリ)については別の記事 で少しだけ。

混在するバイカオウレンとミヤマカタバミ 比叡山 2014年4月
混在するバイカオウレンとミヤマカタバミ。キタヤマオウレンかも?

右手前にバイカオウレンの葉、左奥にミヤマカタバミの葉が写っています。
バイカオウレンの別名は「ゴカヨウオウレン(五加葉黄蓮)」。
それが示すように、右手前に写る葉が深く5枚に全裂していますね。
対して、ミヤマカタバミは、いかにもカタバミらしい三つ葉です。

追記。
よく写真を見てみると、バイカオウレンとしている植物の葉のうち、右手前で目立つ葉はたしかに5枚に全裂していますが、それ以外の葉は三全裂も混在していますので、上でも追記したキタヤマオウレンの可能性があります。
ただし、短いとはいえ小葉柄も一定の長さがあるように見えます。
比叡山に分布するバイカオウレン(と見なされてきた植物)は全てキタヤマオウレンではないかとの指摘もありますので、今後の分布調査に期待。
追記終わり。

ミヤマカタバミの花とチャルメルソウ(哨吶草)の葉 比叡山 2014年4月
また別の場所で撮影したミヤマカタバミのお花。

この付近のミヤマカタバミのお花は異様に大きく、別の植物かと思うほど。
比叡山では基本的な白色のお花を咲かせるミヤマカタバミが目立ちますが、若狭の青葉山 ではピンク色のお花をよく見かけます。
あれはいわゆるベニバナミヤマカタバミであるのか、そうでないのか。
右手前に写っている葉や、その横に写っている、縦にすっくり長い茎は明らかにチャルメルソウ(哨吶草)のそれですね。

ミヤマカタバミを撮影しながら、何気なく横を見てみると……。

トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)の花 比叡山 2014年4月
トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)のお花が咲いていました。
まとまって咲いている場所も多いため、そこまで珍しい植物とも思えませんが、京都府では準絶滅危惧種の指定を受けています。

トウゴクサバノオとよく似ている植物に、より大型のキバナサバノオがあります。
キバナサバノオは近畿地方の北部と岡山県のごく限られた範囲でのみ分布が確認されており、2013年のレッドリスト改定により、京都府では絶滅寸前種の指定を受けています。
以前はトウゴクサバノオとキバナサバノオが混同されていましたが、実際に見てみると大きさがまったく異なります。
他県のキバナサバノオ自生地はよく知られており、ハイカーであれば容易に観察できますが、京都府の自生地はやや分かりにくい場所に残ることもあり、現状ではあまり広まっていないようです。

写真整理の都合で記事を分けます。

シロバナネコノメの花 白花猫の目 比叡山 2014年4月

春の比叡山 シロバナネコノメの花 ミヤコアオイの蕾など

2014.04.22

続きは上の記事に。

比叡山(比叡山地)
滋賀県大津市、京都府京都市左京区

関連記事 2014年4月 比叡山で山野草観察

Facebookでもコメントできます。

コメントする

コメント本文の入力のみ必須。お名前(HN)とメールアドレス、ウェブサイトの入力は任意。
管理人の承認後、お名前(HN)と本文のみ公開されますが、メールアドレスは管理人にのみ伝わり、他者に公開されることはありません。
入力した本文の内容を確認後、よろしければ「コメントを送信」ボタンを押してください。
当コメントフォームはGoogle reCAPTCHA により保護されており、訪問者が人かロボットかを識別しています。
Google reCAPTCHA の動作に必須なため、ブラウザの設定でJavaScript を有効化してください。

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。


Loading Facebook Comments ...

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!