少し前の話となりますが、2013年(平成25年)9月の話。
この日は和歌山県橋本市との府県境近く、大阪府河内長野市に所在する岩湧山(いわわきさん)をハイキング。
改めて申し上げるまでもなく、和泉山脈でも東部山域に属する南河内の名峰です。
何年か前、夏の岩湧山をナイトハイクし、流星群を観測した夜の思い出が蘇り、今年は久々に盛夏の時期に岩湧山を訪れたいと考えていました。
ですが、この夏はあまりにも暑すぎたため考え直し、その時期は外すことにして、別の目的もあり、秋の訪れを待っての上山に。
目次
ワレモコウ 岩湧山の花
大阪府河内長野市 岩湧山を登山
晴れるとの天気予報とは裏腹に、雲が多くすっきりしない空模様。
この様子では日没そのものは期待できないと思いつつも、秋雨前線の通過に伴い空気は澄んでおり、夕景を楽しみに山を登ります。
夕日に合わせてのハイク、午後からの出発となったため、他のハイカーさんらと入れ違います。
三角点の手前(三角点の東)から振り返って大峰山脈方面を望むと、八経ヶ岳、弥山の山頂付近は雲で隠れて見えないものの、山上ヶ岳、稲村ヶ岳、釈迦ヶ岳、中八人山などは見えていました。
この時点で大峰の山々を撮影しておけばよかったのですが、少し待てば八経ヶ岳や弥山も見えるようになるのではないか……、などと甘いことを考えてしまい、撮影は見送ることに。
少し前までは多くのハイカーさんらがいらっしゃったのでしょうが、山頂の展望地(三角点の西)にはすでに誰もいらっしゃらず、貸し切りの状態。
まだ赤みを残すカヤト(ススキ)の穂を眺めながら、まずはひと休み。
今の体調では時間を要すると思い、この日は岩湧寺さんを起点として少し早めに登り始めましたが、意外にも快調に登り切ることができたため、日没までまだ時間に余裕があります。
大展望を誇る岩湧山ですが、登頂時、大阪湾方面の見え方は今ひとつ。
岩湧山から見て、この日は瀬戸内海に浮かぶ小豆島の向こうに夕日が沈む日ですが、これでは期待できそうになく。
六甲山はうっすらと見えていたものの、神戸の街並みを確認できるほどではなく、この時点では明石海峡大橋も遠望できません。
ですが、大和葛城山、金剛山をはじめ、ダイトレ(ダイヤモンドトレール)の山々はもちろん、京阪奈の周辺や生駒山などは条件よく見えており、さらには、その向こう、遠く比叡山や比良山地まで肉眼で望むことができました。
岩湧山の展望・眺望
比良山地、比叡山 方面
岩湧山(大阪府河内長野市)から生駒山、遠くに比叡山、皆子山、蓬莱山を遠望する。
撮影地点からリトル比良の鳥越峰(滋賀県高島市)まで108.6km。
京都府最高峰の皆子山(京都市左京区、滋賀県大津市)まで95.5km。
大比叡(滋賀県大津市、京都市左京区)まで81.0km。
便宜上、「↓京都盆地」と示していますが、京都盆地でも比叡山の南西麓、左京区のあたりが写っています。
蓬莱山の左後方には比良山地の最高峰である武奈ヶ岳が見えるですが、山頂域が雲で隠れており、この日は見えずじまいでした。
蓬莱山や武奈ヶ岳の山頂が雲に隠れるのはよくある話とはいえ、より遠くに所在するリトル比良の稜線まで見えているだけに惜しかったです。
山城、奈良、若草山 方面
岩湧山から二上山、遠くに鷲峰山、若草山、奈良市などを望む。
撮影地点から阿星山(滋賀県湖南市、栗東市)まで80.7km。
釈迦岳(鷲峰山三角点峰)(京都府相楽郡和束町、綴喜郡宇治田原町)まで61.0km。
どこからでもよく目立つことでおなじみ阿星山はここでも健在。
二上山の向こう、奈良盆地は街並みが分かるほど条件よく写っています。
撮影地点から若草山の山麓まで40km以上の距離がありますが、それほどの距離は感じさせない見え方でした。
参考程度に山名を表示しておきましたが、はるか遠く、125.9km先の霊仙山の見え方はごくうっすらしたもので、肉眼ではほぼ見えていません。
この日は伊吹山も金糞岳も望むことができなかったため、いずれ、冬場、江越美方面の条件が良い日にも訪れたいものです。
これは余談ですが、岩湧山からは白山(加賀白山)まで望むこともできます。
ただし、計算上、湖北の金糞岳のさらに遠方に御前峰や大汝峰、別山の山頂がわずかに見えるだけにすぎず、肉眼による視認は困難をきわめるものと予想されます。
能郷白山も重なるため、35mm判換算で400mm~800mm程度の焦点距離のレンズ、あるいはそれに類する双眼鏡、望遠鏡などが必要となるでしょう。
「岩湧山から白山を望んだ」とおっしゃる方がインターネット上で公開していらっしゃるお写真も拝見しましたが、慎重に検討するかぎり、金糞岳と混同していらっしゃる可能性がきわめて高く、今に至るまで、明確に分かる形での撮影例は見たことがありません。
さらに視点を右に動かし、岩橋山と大和葛城山の間、遠くを眺めてみると、鈴鹿山脈の中核を成す山々が見えていました。
雨乞岳、御在所岳 方面
岩湧山から遠くに御在所岳など鈴鹿山脈の山々を望む。
撮影地点から御在所岳(御在所山)(三重県三重郡菰野町、滋賀県東近江市)まで107.1km。
綿向山、雨乞岳、御在所岳、鎌ヶ岳といった鈴鹿中部の山々が写っています。
上の写真だけではどちらを向いて撮影しているのか分かりにくいでしょうが、上でも述べたように、岩橋山と大和葛城山の間にあたります。
写真だとなんだかもやもやしているようにも見えますが、霊仙山とは異なり、こちらは肉眼でも明瞭に見えていました。
金剛山を望む
岩湧山から金剛山を望む。
撮影地点から金剛山地最高峰の金剛山(奈良県御所市)まで12.3km。
金剛山の右手にはピラミダルな山容を誇る高見山も見えていましたが、距離のわりにはややかすれた見え方で、どうも撮影意欲が湧きません。
…実は、この日、遠くの比良山地や鈴鹿山脈の山々、それに、高見山などを分かりやすく望むことができたのはこの時間帯まで。
この後、さらに雲が増え、大峰山脈の山々は隠れてしまい、時間が経つにつれ、高見山や鈴鹿山脈の影も薄れゆくのみとなりました。
代わりに、かつて見たことがない素晴らしい光景を目にすることができましたが……。
そのあたりの話は次回以降に譲ります。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
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岩湧山(地理院 標準地図)
「岩湧山(イワワキサン、イワワキヤマ)(いわわきさん、いわわきやま)」標高897.1m(二等三角点「岩湧山」)
大阪府河内長野市(山体は和歌山県橋本市に跨る)
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