京都北山でも京都市左京区鞍馬、大原、静原あたりの境に所在する天ヶ岳(あまがたけ、てんがたけ)を登山した2016年(平成28年)2月11日の話。
どちらかと言えば遠くまで見えやすい日で、山頂の北の鉄塔展望地からは、琵琶湖を越えた向こう、滋賀県最高峰の伊吹山と鈴鹿最北部の霊仙山の「合い間」に、遥か彼方にそびえる木曽駒ヶ岳まで遠望できました。
京都北山から「日中に」中央アルプスの山々を見通した話は前回の記事に。
日が高い時間帯に、約200km先の山々を撮影するのは、やや困難です。
その日の話は前回の記事だけで十分かと考えていましたが、個人的な息抜きがてらに補足と小ネタを。
京都北山の天ヶ岳から木曽駒ヶ岳、霊仙山、彦根市街、琵琶湖の沖島を遠望する。
主な山、建造物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
木曽駒ヶ岳 | 195.4km | 2956.1m | 長野県木曽郡木曽町 長野県木曽郡上松町 長野県上伊那郡宮田村 | 木曽山脈最高峰 |
空木岳 | 193.9km | 2864.0m | 長野県駒ヶ根市 長野県木曽郡大桑村 | |
霊仙山 | 55.0km | 1094m | 滋賀県犬上郡多賀町 | |
フジテック研究塔 | 46.9km | (170m) | 滋賀県彦根市 | エレベータ研究塔 |
尾山 (宝来ヶ嶽) | 25.2km | 220.2m | 滋賀県近江八幡市 | 点名「沖之島村」 |
私は過去に何度も鈴鹿山脈の山の上から中央アルプスを眺めていますので、その山容や見え方を把握していますが、まったく知識が無い方だと、この曖昧な白い稜線が中央アルプスだとは分からないと思います。
琵琶湖に浮かぶ沖島の後方に見えているのは彦根南部の荒神山です。
視点を右へ。
京都北山の天ヶ岳から鈴鹿山脈最高峰の御池岳、藤原岳、琵琶湖を遠望する。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
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鈴ヶ岳 | 54.9km | 1130m | 滋賀県東近江市 滋賀県犬上郡多賀町 | |
鈴北岳 | 55.7km | 1182m | 滋賀県東近江市 滋賀県犬上郡多賀町 三重県いなべ市 | |
御池岳 (御池岳 丸山) | 56.2km | 1247m | 滋賀県東近江市 | 鈴鹿山脈最高峰 |
天狗岩 (藤原岳 天狗岩) | 58.9km | 1171m | 滋賀県東近江市 三重県いなべ市 | |
藤原岳 | 59.6km | 1140m | 滋賀県東近江市 三重県いなべ市 | 標高の値は 10mDEMによる |
伊庭山 | 33.2km | 336m | 滋賀県東近江市 | |
望西峰 | 26.3km | 278m | 滋賀県近江八幡市 | |
長命寺山 | 24.4km | 333m | 滋賀県近江八幡市 |
望西峰と重なるため、その後方の安土山の山頂は撮影地点から見えません。
伊庭山は繖山(観音寺山)の北尾根に、望西峰は鶴翼山(八幡山)の北尾根にあたります。
上の写真は天ヶ岳から東を向いて撮影しているため、この構図の右(南)には、それぞれ繖山、鶴翼山が連なります。
視点を右へ。
京都北山の天ヶ岳から東近江市「鈴鹿10座」天狗堂、竜ヶ岳を遠望する。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
天狗堂 | 54.0km | 988m | 滋賀県東近江市 滋賀県犬上郡多賀町 | |
銚子岳 | 58.1km | 1019m | 滋賀県東近江市 | |
静ヶ岳 | 58.0km | 1088.5m | 滋賀県東近江市 (三重県いなべ市) | |
竜ヶ岳 | 59.0km | 1099.3m | 三重県いなべ市 (滋賀県東近江市) | |
繖山 (観音寺山) | 32.9km | 432.6m | 滋賀県東近江市 滋賀県近江八幡市 | 最高点は約440m |
鶴翼山 (八幡山) | 25.8km | 271.7m | 滋賀県近江八幡市 | 最高点は約280m |
岡山 | 22.5km | 187.6m | 滋賀県近江八幡市 |
現状、天ヶ岳の展望地から東向きが「明確に」開けているのは上の写真に写る範囲までで、これより右は木の枝や送電線に視界を遮られやすくなります。
もし、全面的に開けていれば、この展望地からは鈴鹿南部の山々まで広く見渡せます。
木立の合い間を縫うように撮影するのは私の好みではなく、竜ヶ岳より右(南)に連なる鈴鹿中核部の山々、日本コバや雨乞岳といった目立つ高峰ですら撮影する意欲が湧きません。
私が遠くの山並みを眺めていたら、後からいらっしゃったグループの中のお一人が、私に対し「ここから雨乞岳は見えますか?」とお尋ねに。
「木の枝越しで見えにくいですが、あのひときわ高くなだらかな山が雨乞岳ですね」とお答えすると、次に「それなら綿向山は見えますか?」と。
「綿向山は雨乞岳の右手前の目立つ山ですね」と申し上げると、「数日前に雪の綿向山を登ったので場所が気になって……」とのこと。
その方は私の返答で満足なさったようですが、いつも通り、私は適当に答えただけに過ぎず、本当に正しいか一抹の不安がよぎり、あとで確認するために雨乞岳方面を向いて写真を撮影しておきました。
その際、竜王町の東西の龍王山(竜王山)が見えていたので、そちらも併せて撮影しておくことに。
京都北山の天ヶ岳から鈴鹿の雨乞岳と御在所岳、竜王町の東西の竜王山を遠望する。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
御在所岳 三角点峰 (御在所山) | 58.3km | 1209.4m | 滋賀県東近江市 三重県三重郡菰野町 | 最高峰は1212m |
雨乞岳 | 55.2km | 1237.7m | 滋賀県東近江市 滋賀県甲賀市 | |
鎌ヶ岳 | 59.1km | 1161m | 三重県三重郡菰野町 滋賀県甲賀市 | |
綿向山 | 51.7km | 1110m | 滋賀県甲賀市 滋賀県蒲生郡日野町 | |
高円山 | 57.7km | 941m | 滋賀県甲賀市 | 標高の値は 10mDEMによる |
雪野山 (龍王山) (東の竜王山) | 32.7km | 308.8m | 滋賀県東近江市 滋賀県蒲生郡竜王町 滋賀県近江八幡市 | |
鏡山 (西の竜王山) | 27.2km | 384.5m | 滋賀県蒲生郡竜王町 滋賀県野洲市 |
おおむね見切れていますが、写真の手前に僅かに見えているのは比叡山の北尾根です。
写真の中央に広がる平野部は竜王町、野洲市、守山市の市町境あたり。
雨乞岳と綿向山の「隙間」に鎌ヶ岳の特徴的な頭のみ覗いていますが、いわゆる鎌尾根や水沢岳(宮越山)は見えません。
より標高が高い雨乞岳に遮られやすいため、京都(の山)から御在所岳を望むのは困難です。
たとえば、比叡山、愛宕山、如意ヶ岳(大文字山)、音羽山、ポンポン山といった山々から雨乞岳は見えますが、御在所岳は見えません。
天ヶ岳以外であれば、ナッチョ(天ヶ森)や杉ノ峠の東の「びわ湖展望」スポットから御在所岳が見えることを確認しています。
近くのナッチョから御在所岳が見えますので、少し考えれば天ヶ岳からも見えることに気付きそうなものですが、なぜだか天ヶ岳の現地ではそのことが頭の中から抜け落ちていました。
帰宅後、撮影した写真を確認してみたら、御在所岳の山頂はもちろん、山上公園駅のレーダ雨量計(ドーム)まで明確に写っており、京都でも鞍馬と大原の境にあたる地点から御在所岳を見通せたことに驚いてしまいます。
木々に遮られるため、綺麗に一望とはいきませんが、御在所岳が見えたことにより、「天ヶ岳は京都から『鈴鹿10座』を全て一望できる山である」ことが分かりました。
選定直後に、上の記事でも話の種として軽く取り上げましたが、鈴鹿山脈でも東近江市に接する山域から選ばれた10の山を「鈴鹿10座」として東近江市が認定しています。
鈴鹿10座の選定|東近江市ホームページ
https://www.city.higashiomi.shiga.jp/machizukuri_kankyou/moritomizuseisaku/1003959/1003961.html
具体的には御池岳、藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳、イブネ、銚子ヶ口、日本コバ、天狗堂の10座。
このうち、藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳の5座が、いわゆる「鈴鹿セブンマウンテン」と重複しています。
「鈴鹿10座」については関係者さんから事前に少しばかり話を聞いていたこともあり、2015年秋の公表に合わせて京都の山から10座を撮影しようと考えていましたが、やはりネックとなるのが御在所岳で、残りの9座を遠望できる愛宕山でも御在所岳のみ見えません。
ひとまず容易に一望できる比良山地の山から撮影しましたが、その後、11月の紅葉期には京都側の山からも撮影できました。
いずれも未整理のまま放置していますが……。
話を天ヶ岳に戻します。
今回の記事で掲載している写真には、「鈴鹿10座」のうち、御池岳、藤原岳、竜ヶ岳、御在所岳、雨乞岳、天狗堂の6座が写っています。
東西の竜王山を同じ構図に収めるため、雨乞岳から少し右(南)の山々を撮影しましたが、もし、雨乞岳から少し左(北)を向いて撮影しておけば、イブネの周辺峰が写ったでしょう。
あるいは、木の枝越しになることを厭わず、竜ヶ岳から右(南)を向いて撮影しておけば、日本コバと釈迦ヶ岳、銚子ヶ口も写ったでしょう。
少し惜しい気もしますが、大した距離ではないため、いずれ天ヶ岳から撮影する機会もあると見ています。
見える、見えないで申し上げれば、この撮影地点から「鈴鹿10座」すべてを眺望できます。
最後にリサイズをやや控えめにしてトリミングした写真も掲載しておきます。
京都市の天ヶ岳から御在所岳のレーダ雨量計と東西の雨乞岳を遠望する。
これでもまだ分かりにくいですが、御在所岳でも全域が三重県側にあたる御在所ロープウェイ山上公園駅のピーク、レーダ雨量計(ドーム)が写っていますので、興味がある方は目を凝らして眺めてみてください。
このレーダ雨量計は過去に大阪の交野山など他府県の山から撮影していますが、距離的には近い京都のほうが見える地点が限られているのが面白いところです。
直線距離で100km以上も離れた六甲山系(「白山の宮」など)や和泉山脈(岩湧山など)から山上公園駅のピークを撮影したこともありますが、距離が遠すぎるため、私が撮影した写真ではレーダ雨量計が分かりにくいです。
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天ヶ岳(地理院 標準地図)
「天ヶ岳(アマガタケ、テンガタケ)(あまがたけ、てんがたけ)」標高788m
京都府京都市左京区
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