京都の愛宕山から比叡山や鈴鹿山脈、恵那山を遠望 2012年1月

京都の西北に聳える愛宕山の眺望や遠景について。
前回の記事だけで終えてもよかったのですが、ついでにちょっとした小ネタを。

愛宕山の展望 高見山地、台高山脈、京都盆地を三角点峰から望む 2012年1月

京都 冬の愛宕山 三角点から高見山地の三峰山を遠望 2012年1月

2015.02.17

前回の記事では愛宕山三角点峰から主に京都盆地方面に対する展望について取り上げました。

愛宕山三角点の南0.2km~、地蔵辻のすぐ南、あるいは山頂(最高峰)の東側を巻くコース上、北東や東向きに開けた場所があります。
愛宕神社さんから三角点峰へ向かって歩いていると、道中、比良の山々が視界に入る崖上のジープ道と申し上げれば、あそこかと思い浮かぶ方も多いでしょう。
とくに展望所と定められているわけではありませんが、好条件の日であれば比良山地や伊吹山、鈴鹿山脈を一望できる、それどころか、遥か遠くの山まで見通せる地点です。

前回の記事で掲載した、「愛宕山から高見山地を望む」写真を撮影した冬の日の話。
その展望地から鈴鹿山脈の連なりを広く見渡しました。

愛宕山の展望 比叡山、鈴鹿山脈、恵那山の山影を望む 京都市 2012年1月
愛宕山(京都市右京区)から比叡山、鈴鹿山脈を一望し、遠くに恵那山の山影を望む。

主な山距離標高山頂所在地備考
恵那山183.6km2191m長野県下伊那郡阿智村
岐阜県中津川市
撮影地点から
山頂は見えない
ソノド
(霧ヶ峰)
74.5km925.8m岐阜県大垣市
鍋尻山69.1km838.2m滋賀県犬上郡多賀町
高室山67.8km818m滋賀県犬上郡多賀町
烏帽子岳75.2km864.8m岐阜県大垣市
(三重県いなべ市)
三国岳73.2km894m滋賀県犬上郡多賀町
三重県いなべ市
(岐阜県大垣市)
鈴ヶ岳71.2km1130m滋賀県東近江市
滋賀県犬上郡多賀町
鈴北岳71.9km1182m滋賀県東近江市
滋賀県犬上郡多賀町
三重県いなべ市
御池岳72.3km1247m滋賀県東近江市鈴鹿山脈最高峰
天狗岩74.8km1171m滋賀県東近江市
三重県いなべ市
藤原岳75.4km1140m滋賀県東近江市
三重県いなべ市
標高の値は
10mDEMによる
銚子岳73.6km1019m滋賀県東近江市
静ヶ岳73.3km1088.5m滋賀県東近江市
(三重県いなべ市)
竜ヶ岳74.2km1099.3m三重県いなべ市
(滋賀県東近江市)
日本コバ64.7km934.2m滋賀県東近江市
釈迦ヶ岳73.6km1091.9m三重県三重郡菰野町
滋賀県東近江市
銚子ヶ口68.6km1076.8m滋賀県東近江市
水舟ノ峰68.1km1067m滋賀県東近江市
大峠ノ頭
(深谷山)
68.3km1087m滋賀県東近江市
イブネ68.9km1160m滋賀県東近江市
国見岳72.0km1170m滋賀県東近江市
三重県三重郡菰野町
標高の値は
10mDEMによる
雨乞岳68.5km1237.7m滋賀県東近江市
滋賀県甲賀市
綿向山64.7km1110m滋賀県甲賀市
滋賀県蒲生郡日野町
鎌ヶ岳72.1km1161m三重県三重郡菰野町
滋賀県甲賀市
宮越山
(水沢岳)
71.8km1029.3m三重県四日市市
滋賀県甲賀市
三上山36.8km432m滋賀県野洲市近江富士
水井山
(阿弥陀ヶ峯)
18.9km793.9m京都府京都市左京区
滋賀県大津市
横高山
(釈迦ヶ岳)
18.6km767m京都府京都市左京区
滋賀県大津市
大比叡18.2km848.1m滋賀県大津市
京都府京都市左京区
都富士
四明岳17.8km838m京都府京都市左京区都富士

上の構図の左手には霊仙山、伊吹山、それに比良山地を望むことができます。
「都富士」比叡山の手前に岩倉盆地。よく見ると宝が池(寶池)の周辺も写っています。
松ヶ崎の山々を越え、その右には京都盆地の北東端。
比叡山の向こうは近江盆地ですが、「近江富士」三上山の見え方でもお分かりいただけるように、琵琶湖の湖面(水面)は見えず、近江盆地でも琵琶湖を跨いだ対岸が見えています。
少し左を向けば、霊仙山の手前に琵琶湖でも彦根のあたりが見えますが、約55km先の湖面を肉眼で望むのはなかなか難しいでしょう。
これは大文字山の山頂(三角点)から大阪湾までの距離と同等です。

上の件について追記。
滋賀県にお住まいの方から、彦根の琵琶湖畔から愛宕山を撮影したお写真をいただきました。
そのお写真に写る山が愛宕山(の山頂域)であることは当方でも確認済です。
彦根の琵琶湖畔から愛宕山(の山頂域)をピンポイントで見通せるということは、逆もまたしかりで、愛宕山から彦根の琵琶湖畔が見えるということです。
ありがとうございました。
追記終わり。

鈴鹿山脈の核心部とも言える山域はおおむね見えていますが、雨乞岳に遮られるため、御在所岳(御在所山)は見えません。
御在所岳の周辺、北の国見岳や南の鎌ヶ岳は見えます。

よくよく目を凝らして眺めてみると、烏帽子岳と三国岳(近江、伊勢、美濃国境)の向こうになにやらぼんやりと山影が……。
この日は眠気と寒気で疲れ切っており、手抜きで撮影した写真しかありません。
リサイズを控えめにし、トリミングした写真を。

愛宕山三角点の南から鈴鹿山脈の向こうに恵那山の一部を遠望 2012年1月
愛宕山三角点の南0.24km地点から鈴鹿山脈の向こうに恵那山の一部を遠望する。
中央アルプス(木曽山脈)の南端寄り、恵那山の一部がぼんやりと見えていますが、この撮影地点から恵那山の山頂を望むことはできません。

愛宕山三角点の南0.24km地点から恵那山方面の展望図 気差1.2で計算
出典「基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュ」(国土地理院)
愛宕山三角点の南0.24km地点から恵那山方面の展望図。
「気差の設定」は「気差を含んだ地球半径の倍数 1.2倍」で計算。

気温が低い冬場の影響でしょう、標準的な「気差の設定」である「気差を含んだ地球半径の倍数 1.156倍」を用いた計算結果よりも、この日は恵那山が高く見えていたため、この値を1.2倍として計算しています(恵那山の山頂付近でマイナス18~19℃見込み)。
よほど特殊な気象条件下に置かれないかぎり、計算上、愛宕山三角点の南0.24km地点から恵那山の山頂は見えません

愛宕山三角点の南0.24km地点から恵那山の遠望図 気差1.2で計算
愛宕山三角点の南0.24km地点から恵那山の遠望図。
「気差の設定」は「気差を含んだ地球半径の倍数 1.2倍」で計算。

愛宕山三角点の南から恵那山の北尾根を遠望する 2012年1月
恵那山の山頂(最高峰)や三角点峰は見えませんが、前宮コース(前宮登山道)と大判山(~神坂峠)の分岐点にあたる約2170m小ピークあたり が目立って見えているようです。
撮影地点からこの小ピークまで183.3km。

愛宕山三角点の広場から恵那山方面の展望図 気差1.156で計算
愛宕山三角点の広場(展望地)から恵那山方面の展望図。
「気差の設定」は「気差を含んだ地球半径の倍数 1.156倍」で計算。

三角点が設置されている地点ではなく、わずかに標高を下げた鉄塔横の広場から見た展望図です。
標準的な気象条件下であっても、計算上、愛宕山三角点の展望地から恵那山の山頂が見えます
「三角点の南0.24km地点」と「三角点の展望地」、両地点の標高差は約15mに過ぎず、距離も南北に0.24kmしか離れていませんが、このわずかな南北の緯度の差が明暗を分けています。

同様に、あくまでも計算上では地蔵山や竜ヶ岳から恵那山の山頂が見えますが、現地の状況から判断するかぎり、その両座から御池岳方面を見通すのは(現状では)難しいでしょう。
近隣の山で、いわゆる愛宕三山より標高が下がる山、たとえば、近年、東向きの見晴らしが良くなった朝日峯などからは、そもそも恵那山が見えません。
本記事を見て展望に興味が湧いた方は、ご自身でも考えたり、調べたり、検証のため現地を訪れてみてください。
恵那山が見えるということは、この左(北)には某山が見えるのでは……、などなど。
見える・見えないで申し上げれば、もちろん見えますが、長くなってきたため、その話はまた別の機会に譲ります。
頻繁に愛宕山を登っていらっしゃる方でもお気付きない、見落とされていることは少なからずあるものです。

関連記事 2012年1月 冬の愛宕山から遠望

愛宕山 三角点峰(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「愛宕山 三角点峰」周辺の地図を表示
「愛宕山(アタゴヤマ、アタゴサン)(あたごやま、あたごさん)」
最高峰 標高924m 三角点峰 標高889.8m(890.1mから改定)(三等三角点「愛宕」)
京都府京都市右京区(山域は京都府亀岡市に跨る)

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ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!