2013年(平成25年)11月13日の話。この日は夕方から大文字山をハイキング。
お天気そのものは今ひとつでしたが、雨の中で空気が澄んでいたのでしょう、大文字山からは今まで見たことがない景色……、遠景を目にすることができました。
目次
うぐいす峠の眺め
もう、うぐいす峠の地名をご存じの方もほぼいらっしゃらなくなりました。
私が伝えなければ、いずれ消滅しそう。
前日の交野山ハイク同様、この日も雨が降ったり止んだりの安定しない空模様。
どうやら、比叡山では雨が降っているようです。
大文字山でも、ごく弱くとはいえ小雨が降っており、山頂(三角点)から望む奈良方面は真っ白。
大峰山脈はもちろん、金剛山地も雲に隠れていたものの、大阪湾方面は決定的とも言えるほどの好条件で、和泉山脈西端、友ヶ島のみならず、遠く淡路島南部の山々もはっきりと見えていました。
大文字山の展望・遠景 京都市左京区
あべのハルカス、SiSりんくうタワーを遠望
大文字山から超高層ビル「あべのハルカス」、りんくうゲートタワービルを望む。
撮影地点から「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)まで49.6km。
紀泉アルプス最高峰の雲山峰(和歌山県和歌山市)まで95.6km。
よく見ると、大福山の上に飛行機が写っています。
当サイトではおなじみ、いつもの構図、見飽きた構図でしょうが、これは、次回あたりに予定している記事のネタ振りとなっています。
興味がある方は、大阪の超高層ビル「りんくうゲートタワービル」(→SiSりんくうタワー)の位置を覚えておいてください。
上の写真ではうっすらした写り方にすぎませんが、どれほど条件が良い日であっても、日中にはっきりと撮影することは困難です。
京都西山に沈む夕日を望む
大文字山から京都西山、小塩山の向こうに沈む夕日を望む。
撮影地点から「豊能富士」鴻応山(京都府亀岡市、大阪府豊能郡豊能町)まで29.1km。
とくに示していませんが、小塩山は夕日のすぐ右側の目立つピークです。
大文字山の山頂から眺めると、11月11日頃に小塩山の向こうに日が沈み、その1ヶ月後、12月11日頃にポンポン山の向こうに日が沈みます。
ポンポン山の山名は「西山で1ヵ所だけポンと飛び出ているから(一番高い山だから)」などという珍説があるようですが、遠目には小塩山のほうが飛び出て見えます。
四国の高丸山を京都市から撮影
京都の大文字山から淡路島最高峰の諭鶴羽山、四国・剣山地の高丸山を遠望する。
撮影地点から高丸山(徳島県勝浦郡上勝町、那賀郡那賀町)まで185.6km。
淡路島最高峰の諭鶴羽山(兵庫県南あわじ市)まで126.3km。
大文字山から諭鶴羽山地を明瞭に遠望できる日、まず、それじたいが年に何日もありませんが……、そのような日であっても、日が沈むとあっという間に稜線が見えにくくなってしまうのが常です。
ところが、この日は日没から20分(見掛け上の日没から30分)以上が過ぎても、まだ諭鶴羽山地の山々が見え続けていました。
しかも、浮かび上がるような見え方、これは私としても人生で初めての経験です。
京都西山の山々を繋ぐ送電鉄塔の航空障害灯や、手前の京都盆地の街明かりが点いた状態で、大文字山から淡路島の島影を撮影できました。
…実は、上の写真にまつわる話はこれで終わりではありません。
よくよく見ると、兜布丸山(兵庫県南あわじ市、洲本市)の右奥に、なにやら影が写っています。
雲にしては妙に鋭い形で、この日、撮影した他の写真と見比べても位置が動いていません。
改めて、慎重に検討してみたところ、これは雲ではなく、四国は徳島県勝浦郡上勝町・那賀郡那賀町の郡境に所在する剣山地東部の「千年の森」高丸山(1438.8m) だと分かりました。
高丸山は和泉山脈の西部から何度か眺めていますが、本州側から見ると鋭い山容を誇っているため、今もなお強く印象に残っています。
大文字山から剣山地が見える?
出典「基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュ」(国土地理院)
カシバードだとこのような感じになりますね。
興味がある方は先の写真と照らし合わせてみてください。
大文字山から遠望できる四国の山としては、計算上、友ヶ島の右後方、紀伊水道の海の向こうに、四国南東部の八郎山や太竜寺山といった、1000mに満たない山の山頂部が見える可能性があるだけだと思い込んでいましたが、淡路島(諭鶴羽山地)と京都西山の「隙間」に高丸山が見通せるとは……、感無量です。
実のところ、大文字山から高丸山を遠望できることは、「可視マップ」を作製し、「大文字山が見える範囲」(可視エリア)を調べたときに気付いていた、それどころか、過去にうっすら望んだこともありましたが、写真を撮影する機会がなかなか訪れないため、すっかり忘れていました。
いずれにせよ、私にとっては数年越しの夢だった、「明確に分かる形で大文字山から四国を撮影する」ことができました。
おそらくは、史上初めてとなる「京都に所在する山から四国を撮影した例」でしょう。
ここに至るまで、手助けしてくださった皆さま、ありがとうございました。
悔いが残るとすれば、高丸山の右手、京都西山の山々の「隙間」に、剣山地(四国山地)の雲早山、高城山といった山も見えていた可能性が高かったにもかかわらず、そのことに気付くことができず、そちら方面の撮影を試みていないということです。
いずれ、そちらも撮影できればと思います。
なお、京都西山の山々に遮られるため、剣山や三嶺、矢筈山(阿波矢筈山)といった、剣山地を代表する高峰は見えない(大文字山から見通せない)のは、過去の記事でも述べたとおりです。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
追記しておきますと、その後、滋賀県の山からも四国(や剣山)の撮影に成功しました。
ですが、「大文字山から四国を望む」という行為に特別な思い入れがあることに変わりありません。
関連記事 2013年11月13日 大文字山の風景と夢
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 京都の大文字山から剣山地の高丸山、淡路島の諭鶴羽山を遠望
- 京都の大文字山から四国の山や観覧車「りんくうの星」を遠望
大文字山(地理院 標準地図)
「大文字山(ダイモンジヤマ)(だいもんじやま)」標高465.4m(→465.3m)(三等三角点「鹿ケ谷」)
京都府京都市左京区(山体は山科区に跨る)
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