びわ湖バレイ 蓬莱山から「あべのハルカス」を望む 2013年8月

2013年8月の話。
今年の夏はもやっとした空模様の日が続いていましたが、お盆も過ぎ、ようやく空気が澄む気配があったため、この日は比良山地に属する蓬莱山をハイキング。
打見山と合わせ、蓬莱山は「びわ湖バレイ」の山としても知られています。

順番が後先していますが、これは、

摩耶山「掬星台」から友ヶ島の向こうに紀伊水道、伊島を望む 2013年8月

神戸 摩耶山から「あべのハルカス」、四国東端の伊島を遠望

2013.08.29

上の記事で私が摩耶山を登った日より、おおよそ1週間ほど前の話です。
念のため。

この日のお昼頃、比良の標高が高い地点では雨が降っていたようですが、私が山の上に着く頃には雨も止んでいました。
遮るものがない夏のゲレンデはただただ暑く、蓬莱山の山頂までリフトを利用して移動しなかったことを後悔します。

熱中症でしょうか、山頂の手前でひどく疲れてしまい、シカのフンを避け、広がる草原に座り込み、眼下の琵琶湖を眺めながらひと休み。
ようやくの登頂後、遠くの大阪方面を眺めてみると、予想どおりの好条件、ハルカスさんはもちろん、遠く和泉山脈の山々まで見えています。

滋賀県大津市 蓬莱山からの展望、眺望

蓬莱山は比良山地でも南部にあたる山域(南比良)の主峰であり、その山頂からは360度の展望を誇ります。

あべのハルカス、京都タワーを遠望

蓬莱山から京都タワー、あべのハルカス、遠くに和泉山脈を望む 2013年8月
蓬莱山から京都タワー、あべのハルカス、遠くに和泉山脈を望む。
撮影地点から三峯山(和歌山県紀の川市、大阪府泉佐野市)まで108.6km。
日本一高いビルの「あべのハルカス」(大阪府大阪市阿倍野区)まで71.1km。
京都タワー(京都府京都市下京区)まで27.2km。

京都盆地と大阪平野、それに「あべのハルカス」、遠くには和泉山脈の連なり、条件よく見えています。
ぎりぎり写っていませんが、この写真の左手には和泉葛城山が連なっています。
大文字山からだとせいぜい6km未満の距離にすぎない京都タワーも、蓬莱山からだと27kmも離れており、さすがに細い針のような見え方です。

「びわ湖バレイ」さん 、夏場はちょっとした避暑地、冬場はスキー場。
この日も山の上は観光客さんやハイカーさんでぼちぼちにぎわっていました。
私が撮影の準備を始めると、リフトの係員さんが寄っていらして、「まもなくリフトの営業が終わりますが……」と。
あたりを見渡してみると、私や係員さんを除き、山頂にはすでに誰もいません。
「歩いて戻りますので結構です。ありがとうございます」とお答えし、貸し切りとなった蓬莱山の上から撮影を続けます。

あべのハルカスに対する遠望について

蓬莱山から「あべのハルカス」、「りんくうゲートタワービル」を望む 2013年8月
蓬莱山から大阪の「あべのハルカス」、遠くに紀泉アルプスの山々を望む。
撮影地点から和歌山市最高峰の雲山峰(和歌山県和歌山市)まで117.0km。
りんくうゲートタワービル(大阪府泉佐野市)まで103.5km。

「あべのハルカス」については、淡路島南部寄りの柏原山から望むより、比良山地に属する打見山や蓬莱山から望むほうが僅かに遠く、同じ比良山地に属する武奈ヶ岳から望むよりは近くなるものの、おおむね全景が見える山としては遠くに所在します。

滋賀県最高峰の伊吹山や、滋賀県で2番目に高い山である金糞岳の周辺(白倉岳)、それに、鈴鹿山脈に属する霊仙山や御池岳(ボタンブチ)、藤原岳、御在所岳の周辺(鎌ヶ岳、雨乞岳)などの山々からでもハルカスさんを見通せますが、その全景を望むことはできません。
また、ドライブウェイによるアクセスが容易な伊吹山の現地まで足を運んでいただければお分かりいただけると思いますが、近江盆地、琵琶湖を越え、さらにその先の平地まで見通すのはなかなか難しいものがあります。
伊吹山から「あべのハルカス」までの距離は118.2km。
この距離、実は、蓬莱山から雲山峰までの距離と同等で、上の写真では雲山峰が明瞭に写っていることから、それなら伊吹山からでも……、となりそうですが、そううまくはいきません。

同様に、四国は徳島県最高峰の剣山、高知県最高峰の三嶺など、剣山地に属する山や、香川県最高峰の竜王山、第2位峰の大川山など、讃岐山脈(阿讃山脈)に属する山からも、(あくまでも計算上は、)海の向こうに「あべのハルカス」を見通せますが、こちらは淡路島、大阪湾を越える必要があるため、さらに困難をきわめるでしょう。
参考までに、剣山から「あべのハルカス」までの距離は157.6kmです。

これら、伊吹山や四国から「あべのハルカス」を望むことについては、過去に何度か他所で述べたことのおさらいのようなものですが、「あべのハルカス 四国」「あべのハルカス 遠く」 などの検索結果を経由して当ウェブサイトへいらっしゃる方が後を絶たないこともあり、改めてこちらでも述べておきます。

この日の蓬莱山からは、その伊吹山や金糞岳も見えていましたが、どうにももやもやした感じで、空の色と区別が付きづらく、写りも今ひとつ。
この日、比良山地の高い山の上では雨が降ったことからも、奥美濃や湖北、それに鈴鹿山脈でも雨が降っていた可能性があります。
撮影した他の写真を見ても、鈴鹿の山々の上には雲が出ている印象を受けます。
その程度の見え方では、当然ながら遠く白山(加賀白山)を望むべくもなく。
ただ、金糞岳との間、琵琶湖に浮かぶ竹生島ははっきり見えていました。

紀泉アルプス、コスモタワー、大阪湾 方面

蓬莱山からコスモタワー、大阪湾、和泉山脈西部の山々を望む 2013年8月
蓬莱山からコスモタワー、紀泉アルプス、和泉山脈西端部の山々を望む。
撮影地点から大阪府咲洲庁舎(コスモタワー)(大阪府大阪市住之江区)まで76.6km。
和泉山脈西端の高森山(和歌山県和歌山市、大阪府泉南郡岬町)まで124.3km。

手前の街並みは京都市内(京都盆地)の北部~西部寄りの地域です。
「あべのハルカス」から視点を右に動かすとコスモタワーも見えていました。
上の写真ではきわめて分かりにくいですが、コスモタワーと俎石山や高森山との間には大阪湾が広がっています。
写真のさらに右手、紀淡海峡には友ヶ島が浮かんでいるはずですが、ちょうど、ポンポン山に遮られる形となり、蓬莱山から望むことはできません。
比叡山や大文字山からであれば友ヶ島まで望むことができます。

さらに視点を右に動かしていき、京都西山、北摂の山々の向こうを見てみると、そこにはなにやら山の影が……。
これは、あの島では!?

整理の都合で記事を分けます。

蓬莱山から淡路島、諭鶴羽山地を望む 比良山地 滋賀県大津市 2013年8月

比良山地から淡路島を遠望 びわ湖バレイ 蓬莱山 2013年8月

2013.09.04

続きは上の記事に。

関連記事 2013年8月 「びわ湖バレイ」の風景

すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。

蓬莱山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「蓬莱山」周辺の地図を表示
「蓬莱山(ホウライサン)(ほうらいさん)」
標高1173.9m(一等三角点「比良ヶ岳」)
「打見山(ウチミヤマ)(うちみやま)」
標高1108m
滋賀県大津市

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6 件のコメント

  • 『上の写真ではきわめて分かりにくいですが、
    コスモタワーと俎石山や高森山との間には大阪湾が広がっています。』

    蓬莱山から、大阪湾をとらえる すごい写真ですね。

    最近は、私も俎石山(阪南市)から頻繁にコスモタワーや大阪湾を双眼鏡で
    眺めているので、(自分の経験でこれらの位置関係がはっきり認識できてい
    るので) Maroさんの言われる 『…大阪湾が広がっています』の文章
    すごく納得できます。 そうや そうそう 大阪湾やって感じです。

    すごい。すごく、おもしろいです。

    • こんばんは。

      こちら方面から大阪湾を望む場合、海面に反射する西日や夕日の光がないと肉眼でも写真でもそれが海だとは分かりにくいのが惜しいです。
      ただ、この写真ではそれと分かりにくくても、知識をお持ちの方であれば、そこに広がる大阪湾を思い浮かべていただけるようで、私としては嬉しいかぎりです。

      実は、その写真、撮影時の元サイズで確認すると、泉南から多奈川にかけての海岸線も写っています。
      もっとも、撮影地点から見て水平線に至るまでの距離が約122kmですので、はっきりと海岸線そのものが見えているかどうかは微妙なところです。
      いずれ、もう少ししっかりとした写真を撮影できればといいなと。

  • Maroさん、こんばんは。本日、俎石山の展望台まで行ってきました。12/30、1/1、1/3と年末年始に3回 俎石山まで行ったのですが、いずれの日も霞んでいて遠望はさっぱり。特に1/1なんて、眼下の関空ですら見えない始末。1/5が近所の高台から見る見晴らしがよく、悔しい気持ちでいました。
    そして、本日。私にとっては、過去最高の見晴らしでした。めずらしく大阪方面がすごく澄んでいて、普段は大阪のビル群の後方の山並みですら確認するのは、困難な状況ですが、今日は、大阪のビル群の後方の山並みのさらに後方に雪の積もった山並み(さらに高い山々)が望めました。感動ものでした。(空にかかった雲のため、雲の白と山の雪の白が近かったのが残念ではありましたが…) ただ、なんという山が見えているのか私には断定できず、イライラした気持ちでもありました。
     俎石山の展望台から見て、ゲートタワービル(後方にあべのハルカス)とコスモタワーの間、梅田?!のビル群のはるか後方、 それから、コスモタワーから神戸よりのところのはるか後方にも雪の積もった高い山が… Maroさん 見えているのは、何という山なんでしょう?! 蓬莱山が見えてるのでしょうか?! どうかお助け下さい。 これらを見た時、「こんな高い山が、こんなとこにあったんやー」って感じです。それにしても、条件次第で、とんでもなく遠く遠くが見えたり、すぐ近くが全く見えなかったり、へんな感じがします。
     Maroさんの、このブログのおかげで、今までは、すぐ近くに見えている山並みにしか興味を持ちませんでしたが、最近は、さらに、その奥の山並みが気になるようになりました。

    • こんばんは。

      1月5日の午後から7日の早朝あたりにかけては好条件が続きましたが、7日の夕暮れ時に強い南風が吹き、大阪平野周辺はひどく湿気た空となってしまいました。
      おっしゃるように、本当に少しの条件の差で近くすら見えなくなってしまうものです。

      私は山を登ることができず、自身の目では確認していませんが、今日は紀泉から遠くまで見えたとのこと、お話を伺うだけでも楽しくなります。
      お写真がないかぎり、断定はできず、あくまでも個人的な推測に過ぎませんが、

      ゲートタワービル(後方にあべのハルカス)とコスモタワーの間、梅田?!のビル群のはるか後方

      こちらは比良山地、もしくは比叡山、どちらかではないでしょうか。
      北展望台からは蓬莱山だけではなく、武奈ヶ岳なども望むことができますが、現地の天候から判断すると、比良山地の高峰は雲に隠れていた時間が長そうです。
      りんくうゲートタワービルとコスモタワーの真ん中あたりの遠方であれば比良山地、関空連絡橋の南東端の遠方であれば比叡山の可能性が高いとは思います。
      ただし、比叡山が見えていなければ比良山地を望むこともほぼできません。

      コスモタワーから神戸よりのところのはるか後方にも雪の積もった高い山

      コスモタワーの左遠方、関西国際空港の向こうではなく、連絡橋の向こうですよね。
      こちらは愛宕山の可能性が高いでしょう。

      • Maroさん、こんばんは。こちらのわがままに対して、早速の回答、どうもありがとうございました。1/10は、本当に見晴らしが良く、下山するのが本当にもったいなく、俎石山の展望台で約2時間、遠望を楽しみました。「写真に収められたら、Maroさんに正しくチェックしていただけるのにな」と思ったりもしました。9年前に買った約500万画素のデジカメ(SONY CIBER-SHOT DSC-T7)しか持ってませんが、今後は、双眼鏡で楽しむだけではなく、遠くの景色を写真におさめることも行ってみようかな という気持ちになっています。写真にさえ、うまく収められれば、後からでも何が写っているのかゆっくり精査できますものね。それにしても、どの写真もMaroさんのこのブログの写真はすごいです。見ていて、心がすーっとしますね。1/11、1/12とも 霞んでいてダメです。やっぱり雨上がりですよね。1/10 俎石山まで行って、良かったです。2月、3月は、黄砂にPM2.5 Maroさんが秋から冬にかけて、山登りにラッシュするのがわかります。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

        • こんばんは。

          昨年は紀泉アルプスを訪れることができず、残念に思っていたのですが、こうやってお話を伺うことができてよかったです。
          おそらくは京滋方面の山々を望まれたに違いなく、羨ましいかぎりです。
          「下山するのが本当にもったいない」と思われたこと、よく分かります。
          遠望に適した日は風邪をひきやすい日でもあるため、ご自愛ください。

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    Maro@きょうのまなざし

    京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!