八王子山 木曽御嶽山と琵琶湖を望む 日吉大社 滋賀 大津

2016年(平成28年)12月25日、今年の「宿題」を片付けるべく、滋賀県大津市坂本を訪れました。
ケーブルカーを利用すればいいという突っ込みはさておき、比叡山を登山するほどの時間的な余裕も体力的な余裕もありません。
お目当ては山上の延暦寺さんではなく、山麓の日吉大社さんです。
JR湖西線の比叡山坂本駅、あるいは京阪石山坂本線の坂本駅から日吉大社さんの参道を上っていくと、これから登拝する八王子山(はちおうじやま)の秀麗な山姿が目に入りました。

八王子山の山容 比叡山坂本駅~日吉大社の参道から 2016年12月

八王子山の山容。比叡山坂本駅から日吉大社さんへ上る参道から。

山頂付近に牛尾宮(八王子権現)が鎮座することから牛尾山(うしおやま)とも呼ばれます。
よく見ると、上の写真にも国から重要文化財の指定を受けている牛尾神社・三宮神社の懸崖造の社殿が写っています。
これらの神社は日吉大社さんの摂社であり、八王子山は日吉大社さんの裏山と言えるでしょう。

日吉大社 酉年の干支絵馬 2016年から2017年へ 滋賀県大津市

日吉大社さん。鶏の干支絵馬。申年2016年から酉年2017年へ。滋賀県大津市。

今年の1月、干支である申年にちなみ、山王信仰で知られる日吉大社さんを参拝しました。
年始には猿の干支絵馬が飾られていましたが、すでに新年を見越して鶏の干支絵馬に替えられており、今年も残りわずかだと実感します。
よく考えてみると、奇しくもクリスマスで、鳥さんに無理やりこじつけられなくもありません。

申年の猿 日吉山王大権現 日吉大社 干支絵馬 2016年1月

残雪の八王子山(牛尾山)を日吉大社から登拝 申年の猿 大黒山

2016.10.13

年始に日吉大社さんを参拝し、雪積もる八王子山を登った話は上の記事に。
八王子山そのものについては上の記事のほうが詳しいかもしれません。

標高が低いながらも八王子山は好展望の山で、眼下に広がる湖国の風景を一望できますが、1月に登った際は鈴鹿山脈の山々が雲の中に隠れていたのが惜しく、そのことが心残りとなっていました。
12月25日も朝のうちは雲が広がっていましたが、天気予報を見るかぎり、午後遅くなるほど雲が失せ、空気が澄んで遠くまで見えやすくなるのではないかと予想します。
年内に「宿題」を片付けるのであれば、もはやこの日しかないでしょう。

日吉大社さんの西本宮に参拝し、その後、檻の外から神猿さんを眺めます。
機嫌が良いのか、お猿さんはタイヤにぶら下がって遊んでいましたが、なかなか上手く写真を撮影できません。
お猿さんは諦めて東本宮にもお参りし、その脇から八王子山に取り付きます。

八王子山登山 牛尾神社と三宮神社の参道 日吉大社 2016年12月

八王子山を登山。牛尾神社と三宮神社の参道。日吉大社さんの本来の御神体山と考えられます。

整備された参道を道なりに登っていくのが分かりやすく、牛尾神社・三宮神社の社殿前までに限定すれば、道を外して迷う心配はありませんが、ハイカーであれば山道歩きとなる尾根コースを選ぶのが良いでしょう。
ところどころに置かれているドラム缶が目印となっており、あとは踏み跡を辿っていけば最終的に正規の参道と合流します。
また、社殿の手前から三石岳や八王子山の山頂方面の山道に岐れますが、信仰の行者道ということもあり、ごく目立たない巻き布や小さなテープを除けば道標のようなものは見当たらないので、コースを把握していないと八王子山を登頂するのは難しいかもしれません。

牛尾神社・三宮神社の下で参道が大きくカーブしている地点からの眺めが良く、一般的に好展望地として紹介される社殿の前や奥、あるいは「金大巌(こがねのおおいわ)」と呼ばれる巨岩の上などよりも、実は視界が広いです。
いちおう、金大巌の上からも御嶽山まで見通せますが、社殿の前からは見えません。
標高こそ下がってしまいますが、「八王子山」と見なせる山域においては、おそらく、このカーブ地点が最も良い展望適地だと考えられます。

八王子山の展望 日吉大社から琵琶湖、沖島、伊吹山、御嶽山を一望 大津市 2016年12月

八王子山の展望。日吉大社さんから琵琶湖、沖島、伊吹山、遠く御嶽山まで一望。滋賀県大津市。

主な山距離標高山頂所在地備考
ブンゲン
(射能山)
68.4km1259.7m岐阜県揖斐郡揖斐川町
滋賀県米原市
伊吹山62.6km1377.3m滋賀県米原市滋賀県最高峰
霊仙山52.5km1094m滋賀県犬上郡多賀町
尾山
(宝来ヶ嶽)
23.8km220.2m滋賀県近江八幡市点名「沖之島村」
津田山
(奥島山)
21.7km424.5m滋賀県近江八幡市現地道標では「姨綺耶山」

見晴らしの良い展望地から堅田や琵琶湖大橋方面を向いて撮影しています。
これは14時過ぎに撮影しており、わずかに雲が残っていますが、15時頃には雲が完全に消えて真っ青な空となりました。
「肉眼では」15時頃のほうが御嶽山が見えやすいと感じましたが、なぜか写真では14時頃のほうが写りが良く、いつものことながら「眼や脳の補正」のようなものに感心します。

上の写真の構図から右(霊仙山の右)には御池岳や雨乞岳など鈴鹿山脈の連なり、さらに「近江富士」三上山や湖南の山々まで一望できます。
ただし、上の写真の構図から左(金糞岳の左)は木々や山体に遮られるため、残念ながら白山(加賀白山)はほぼ見えません。
比叡山地から白山が見える地点は多々あるので、とくに八王子山に固執する必要はありませんが、あと少しで見えそうで見えないのは惜しいと感じます。

よく見ると、伊吹山と霊仙山の間、遠くに真っ白な山影が覗いています。
察しの良い方であれば方角で気付くでしょうが、これは長野の御嶽山です。
広角的な視野では分かりにくいでしょうから、御嶽山周辺を望遠で撮影した写真も。

木曽御嶽山や日和田富士を大津坂本の八王子山から琵琶湖大橋やピエリ守山越しに遠望

木曽御嶽山や日和田富士を大津坂本の八王子山から琵琶湖大橋やピエリ守山越しに遠望する。
八王子山(牛尾山)は日吉大社さんの裏山で比叡山地に属します。滋賀県大津市。

主な山距離標高山頂所在地備考
剣ヶ峰
(御嶽山)
172.7km3067m長野県木曽郡木曽町
長野県木曽郡王滝村
御嶽山最高峰
摩利支天山173.2km2959.5m岐阜県下呂市
継子岳174.6km2859.1m岐阜県高山市
長野県木曽郡木曽町
日和田富士
川戸山63.5km905.5m岐阜県揖斐郡揖斐川町
(滋賀県米原市)
点名「藤川」
伊崎山25.1km210.3m滋賀県近江八幡市伊崎不動
御所山22.8km348m滋賀県近江八幡市

決定的と言えるほどの好条件ではなく、やや掠れ気味の見え方に過ぎませんが、なんとか八王子山から御嶽山を撮影できました。
これが京滋から御嶽山を眺望する年内最後の機会かもしれないと考えながら、遥か彼方に聳える霊峰の姿を拝みます。
とくに記録として残していませんが、今年は3月にも京都側の山から御嶽山が明瞭に見えた日があり、あれは春先としては珍しい出来事だったように思います。

金大巌の上の標高が約350m~、社殿の前の標高が約340m、この写真の撮影地点である参道のカーブ地点の標高が約300m未満。
他にも見える山(場所)はありますが、標高300m未満の低所から長野の御嶽山をピンポイントで見通せる貴重なスポットと言えるでしょう。
視点の高さを上げて良いのであれば、それこそ飛行機やヘリコプターを利用すれば済む話ですので、「視点を低く抑え、かつ遠くから望む」という点にも遠見の面白さを見出せます。

また、当地点は琵琶湖大橋の東岸に所在するピエリ守山さん(など周辺の施設)と御嶽山を同じ構図に収めて撮影できるスポットでもあります。
かつて、比叡山四明岳の山上の展望地(四明ヶ嶽駐車場の展望地)からは、今は亡き大観覧車「イーゴス108」と御嶽山を合わせて撮影できました。

先ほど、「(八王子山の展望地から)白山(加賀白山)は見えません」と述べましたが、金糞岳の山肩越しに能郷白山は見通せます。
ただし、かろうじて山頂付近が見える程度に過ぎず、御嶽山と異なり、これは肉眼では分かりにくいでしょう。

能郷白山を金糞岳や白倉岳の山肩越しに八王子山から遠望 日吉大社 2016年12月

能郷白山を金糞岳や白倉岳の山肩越しに八王子山から遠望する。日吉大社さん。

主な山距離標高山頂所在地備考
能郷白山96.7km1617.3m岐阜県本巣市
岐阜県揖斐郡揖斐川町
福井県大野市
越美山地最高峰
白倉岳
(白倉ノ頭)
67.6km1270.7m岐阜県揖斐郡揖斐川町
滋賀県長浜市
金糞岳68.3km1317m岐阜県揖斐郡揖斐川町
滋賀県長浜市

12月末であるにもかかわらず、昨年と同様、今年も伊吹山や霊仙山の積雪量が極端に少ないと感じます。
ですが、さすがに湖北の豪雪峰として名高い金糞岳は真っ白に染まっていました。

あと少し、金糞岳より左の視界が開けていれば、計算上では白山(加賀白山)まで八王子山から見通せます。
先にも述べましたが、比叡山地から白山を遠望できる地点はありふれており、坂本ケーブルさんのケーブル延暦寺駅などを選べば、とくに登山なさらない方でも容易に遠景を楽しめます。
この日の条件であれば、15時頃には比叡山や如意ヶ岳、逢坂山から白山まで明瞭に望めたはずです。
私もまた別の山の上から日没前に白山を拝みましたが、その時間帯ともなると、すでに色薄れて曖昧でした。

整理の都合で記事を分けます。
なんとか年内に続きを書ければと思いますが、なにぶん年の瀬ですのでどうなることやら。

牛尾宮 金大巌からフジテック研究塔越しに長野の木曽御嶽山を遠望 日吉大社 比叡山坂本

日吉大社 牛尾宮 金大巌から長野の御嶽山を遠望 比叡山坂本

2016.12.30

続きは上の記事に。
実は、金大巌の上からであれば、ある「塔」越しに御嶽山を遠望できることが分かりました。

関連記事 日吉大社・八王子山から御嶽遠望

すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。

八王子山(牛尾山)(地理院 標準地図)

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「八王子山(ハチオウジヤマ)(はちおうじやま)」 別称として「牛尾山」
標高381m
滋賀県大津市

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!