2016年(平成28年)11月の話。
この日は大阪府交野市と枚方市の市境にあたる山域をトワイライトハイキング。
関西電力枚方変電所の周辺を歩き、国見山の展望デッキの現況を確認し、枚方の国見山を登頂しました。
相変わらず国見山の山頂にはどなたもいらっしゃらず、夕暮れ時でも入れ替わり立ち替わり人が訪れる交野山とは異なりますが、わざわざ山に来てまで多くの人と会いたいとも思わない私にとっては好都合と言えるでしょう。
山の上で寒風が吹くたび、国見山の山名を記した旗が夕暮れ時の空に翻ります。
この日は国見山から見て明石海峡大橋の向こうに夕日が沈む日でした。
神戸須磨の山々と淡路島の間に落日する瞬間を撮影した写真は前回の記事に掲載しています。
今回はその続きです。
明石海峡大橋主塔と淡路島北端の向こうに沈む夕日を枚方の国見山から望む。
撮影地点から明石海峡大橋の南主塔(淡路島側主塔)まで67.4km。
明石海峡大橋の主塔のシルエットが浮かび上がります。
並びとしては明石海峡大橋が手前で、その後方に淡路島の北端部が重なるように見えています。
淀川に架かる鳥飼大橋、と申し上げても、遠くから目立つのはアーチ状に連なる大阪モノレールの淀川橋梁ですが……、も手前に写っています。
水面が西日に照らされる淀川の対岸(橋の右奥)が摂津市や大阪市東淀川区で、見切れそうですが、橋の左前が守口市にあたります。
鳥飼大橋の後方(南西)では東淀工場の大きな煙突が点滅しており、上の写真でも右端付近に影が写ってはいますが、サンセットが眩しい時間帯に撮影した写真では場所が分からないでしょう。
この直後に他の方が山頂にいらっしゃいましたが、空の明るさが刻一刻と変化する光景に見入るわけでもなく、そのまま通過するように下山なさいました。
せっかく挨拶してくださったのに、私はノドを痛めており、軽い会釈しか返せなかったのが悔やまれます。
この「痛めたノド」が尾を引いたのか、国見山を登った翌日に熱を出して寝込んでしまいました。
以下は日没後に撮影した写真です。
国見山の山名旗越しに愛宕山、鳩ヶ峰(男山)や天王山を望む。大阪府枚方市。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
地蔵山 | 32.1km | 947.3m | 京都府京都市右京区 |
愛宕山 | 30.2km | 924m | |
竜ヶ岳 | 31.9km | 921m |
大きく「国見山」と記された旗の遠方に、俗に「愛宕三山」とも呼ばれる山々が聳えています。
旗を立てるポールの後方に重なるように見えている丘陵地帯が八幡の鳩ヶ峰(男山)で、その左に対峙しているのが山崎の天王山です。
2つの山の間が淀川の三川合流点で、枚方から大した距離ではありませんが、標高が低い国見山からでは川の流れが分かりません。
合流点は京都府八幡市と乙訓郡大山崎町(ともに山城国)と大阪府三島郡島本町(摂津国)の府県境で、淀川を下ると大阪府に入り、淀川の東(左岸)が大阪府枚方市(河内国)で、西(右岸)が大阪府高槻市(摂津国)となります。
3ヶ国の国境地帯を見晴らせる、まさに「国見山」の呼称にふさわしい景観の美を誇っており、「枚方八景」に選定されたのも頷けます。
京都府最高峰の皆子山や峰床山、オレンジ色の京都タワーを大阪府枚方市の「国見山の山頂」から遠望する。
主な山、建築物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
峰床山 | 49.9km | 969.9m | 京都府京都市左京区 | |
皆子山 | 46.3km | 971.3m | 京都府京都市左京区 滋賀県大津市 | 京都府最高峰 |
京都タワー | 21.6km | (131m) | 京都府京都市下京区 |
京都盆地方面に目を向けてみると、日が暮れた後も皆子山は明瞭に見え続けていました。
肉眼では場所が分かりにくいですが、すでに京都タワーもライトアップされているようで、塔体がオレンジ色に照らされています。
京都タワーの真後ろに「京都五山送り火」の「妙」の字跡が、やや離れて右に「法」の字跡が写っていますが、さすがに暗いと分かりにくいです。
追記しておきますと、写真の右手前に聳える紅白の鉄塔はKBS京都ラジオ電波塔(京都放送久御山送信所)(くみやま夢タワー137)です。
その高さ(地上高)は137mで、これは京都タワーの高さを上回り、現状、京都府で最も高い構造物です。
上の写真は「国見山の山頂」から撮影していますが、夜景は下の「展望デッキ」から撮影することにします。
山頂には目立つ指示や道標のようなものはありませんが、「国見山作業歩道」を下っていくと、送電鉄塔の分岐(サクラのデッキとの分岐)を経て展望デッキに出ます。
展望デッキからは細かくコースが岐れており、とくに夜間は道が分かりにくいですが、日中であれば展望デッキから見て北東~北の尾根(夫婦岩コース・ツツジ尾根)を選ぶのが良いでしょう。
踏み跡を外さないように尾根を辿れば国見池や津田サイエンスヒルズ、津田駅方面へ下山できます。
コースとしてはきわめて短いものの、「ツツジ尾根」を称しているだけあって、この尾根の周辺ではツツジ類が見られ、この日も季節外れのモチツツジがまとまって咲いていました。
もっとも、晩秋にモチツツジやヤマツツジが花開くのは珍しい話ではありません。
夜間であれば、展望デッキから先ほどの送電鉄塔(鉄塔番号「南京都線 六六」)まで戻り、北東の谷(エダ谷作業歩道・サクラのデッキコース)を選ぶのが無難かつ安全です。
サクラのデッキを経て国見山の一般的なハイキングコースと合流し、やはり国見池や津田サイエンスヒルズ、津田駅方面へ下山できます。
この送電鉄塔周辺の話は上の記事で触れています。
国見山の展望デッキからの夜景。京都北山や比良山、京都盆地を遠望。大阪府枚方市。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
桟敷ヶ岳 | 40.1km | 895.7m | 京都府京都市北区 | |
天狗杉 (花背山) | 40.1km | 837.0m | 京都府京都市左京区 | |
武奈ヶ岳 | 54.4km | 1214.2m | 滋賀県大津市 | 比良山地最高峰 |
蓬莱山 | 48.3km | 1173.9m | 滋賀県大津市 | |
四明岳 | 31.4km | 838m | 京都府京都市左京区 | 都富士 |
大比叡 | 31.7km | 848.1m | 滋賀県大津市 京都府京都市左京区 | 都富士 |
標高約250m~の地点に所在する国見山の展望デッキ。
木々が茂った影響は大きく、明石海峡や大阪方面は視界が狭くなりましたが、京都方面は綺麗に開けています。
山頂と異なり、展望デッキからであれば送電線や鉄塔が目に入らないのが売りでしたが、肝心の大阪平野が見えにくくなったのは惜しいです。
そちら方面の展望は交野山の観音岩に譲るとしましょう。
比叡山四明岳の山上が夜間照明で明るく照らされています。
その左遠方には南比良の蓬莱山も覗いていますが、四明岳と重なるので肉眼では場所が分かりにくいです。
この1週間後の2016年11月9日には比良の高峰が冠雪し、山は短い秋に別れを告げました。
ニュース記事などでは11月10日に今年の初冠雪を記録したと報道されましたが、これは観測記録上の話であって、9日には遠目にも山上の雪が見えており、びわ湖バレイさんでも積雪したようです。
昔、私が撮影した写真を見るかぎり、11月上旬に比良の高峰が冠雪するのは珍しい話でもないように思えますが、近年としては早いと言えるでしょう。
冬の訪れが異常とも言えるほど遅かった昨年と比較するとなおさら。
話が逸れましたが、京都方面の展望に戻します。
皆子山の左手前、天狗杉の右手前に、橙色の細い塔がマッチ棒のように立っています。
オレンジリボン運動で橙色にライトアップされた京都タワーを大阪府枚方市の「国見山の展望デッキ」から遠望する。
京都駅ビルも京都タワーの手前に重なるように見えています。
京都タワーの塔体がオレンジ色に照らされているのは、「オレンジリボン運動」(児童虐待防止の啓発)に賛同したものです。
今年は11月1日と2日の両日に実施されました。
枚方の国見山から直線距離で20km以上先の京都タワーを「日中に」肉眼で確認するのは困難ですが、ライトアップされる夜間であれば目視で発見できる、かもしれません。
もちろん、方角や場所を把握しており、空気が澄んだ夜に限る、という条件付です。
視認ではなく、ライトアップされた塔や橋、高層ビルなどを望遠レンズを用いて撮影するのは容易な話で、少々距離が遠くとも、適切な知識をお持ちの方であれば強引に撮影できるでしょう。
これは肉眼では見えにくい夜空の星も、写真であれば撮影できるのと似ています。
淡路SA大観覧車のライトアップを国見山の展望デッキから遠望する。夕焼け。
撮影地点から淡路サービスエリアの大観覧車(兵庫県淡路市)まで68.2km。
このように、直線距離で約70km近く離れた淡路島の観覧車であっても、空気が澄んだ夜にライトアップされれば撮影できます。
この観覧車を日中に国見山から撮影するのは難しく、たとえ2.0級の視力を誇る方であっても、日が高い時間帯に肉眼で望むのはほぼ無理だと断言しても構いません。
もっとも、展望愛好家さんであれば、肉眼では見えていなくても「心の眼」には映っている、ということはあるでしょう。
上の写真は木立の合い間を縫うように撮影していますが、数年前は明石海峡大橋や六甲山系と合わせて一望できました。
観覧車でも視界の端ぎりぎりで、現状では明石海峡を展望デッキの付近から見通すのは困難です。
ありし日の展望デッキから撮影した夜景の写真は上の記事に掲載しています。
今とは異なり、当時は展望デッキから大阪湾や明石海峡大橋、六甲山系に至るまで綺麗に見晴らせました。
ただし、京都方面については今回のほうが雲が無く、遠くまで見えやすく、清々しいナイトハイクとなりましたが……。
そういえば、夫婦岩を経て下山する道中、ライトも点けずに真っ暗な山中に潜む外国人さんと出くわし、闇を恐れない私としては珍しく驚いてしまいましたが、津田サイエンスヒルズのどこかに勤める方でしょうか。
11月17日現在、大文字山の山肌も遠目に色づいており、里山でも紅葉の盛りを迎えつつあります。
同様に、京都市内の平地部でも場所によっては紅葉が進んでいますが、例年どおり、夕方に真如堂さんを軽く歩く程度に留めるでしょう。
時間が空けば嵐山の奥のほうに行けるかも、行けないかも。
…と書いた手前、「嵐山の奥」の紅葉も見てきました。
その話は上の記事に。
関連記事 2016年11月 国見山サンセットハイク
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 交野市 枚方変電所 北山(倉治山)の送電鉄塔から六甲山を遠望
- 国見山の展望 明石海峡大橋に沈む夕日 翻る旗 枚方八景
- 枚方 国見山 展望デッキの夜景 オレンジリボンの京都タワー
国見山 展望デッキ(地理院 標準地図)
「国見山(クニミヤマ)(くにみやま)」別称として「津田山(ツダヤマ)(つだやま)」
山頂 標高284m 展望デッキ 標高約250m~
大阪府枚方市
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