2014年(平成26年)6月の話。
この時期に咲く湿生花、湿生植物を観察するため、滋賀県の山へ。
昨年の梅雨時は極端に雨が少なく、湿原は干割れて無残な有り様でしたが……。
トキソウなどの湿生植物群落と生育環境。
昨年ほど乾いてはいないものの、湿潤というには遠く。
湿原に咲くトキソウ。
人の手がほとんど入っていない、整備が進んでいない貴重な自生地ですが、その分、踏圧や盗掘による影響が懸念されます。
ヤマトキソウの小規模な群生地。
湿原の畔、周辺部の脇にヤマトキソウがまとまって咲いていました。
トキソウより一回り小さく、白いお花を上向きに付け、基本的に全開しません。
また、湿地を好むトキソウと異なり、ヤマトキソウは湿地周辺の草むらを好みます。
イシモチソウ(石持草)のお花。
ヤマトキソウが好む環境は、イシモチソウやノギラン、リンドウが好む環境と似ています。
トウカイコモウセンゴケ(東海小毛氈苔)のつぼみ。
トウカイコモウセンゴケや、その仲間の植物は、晴れの日の午前中に開花する例が多く、午後にはお花を閉じてしまいます。
テイカカズラ(定家葛)のお花。
他にはハイイヌツゲ(イヌツゲ)やガンピなどの目立たないお花も咲いていました。
ネジキ(捩木)のお花。
樹皮の縦筋がねじれることで有名ですが、波打つ葉も特徴的だと感じます。
湿原のハラビロトンボ。
翅の色も含め、全体的に美しく金色に輝く、未成熟な個体でした。
こちらの湿原を舞っている、あるいは留まっているトンボはハラビロトンボばかり、私が好きなハッチョウトンボの姿は見当りません。
ところが、あたりをうろうろしていたら、目の前に小さな小さな赤いトンボさんが……。
レンズを交換している間に姿を見失ってしまいましたが、こちらの湿原にもハッチョウトンボが生息することが分かりました。
ハッチョウトンボそのものは滋賀県ではありふれていますが、こちらで見掛けたのは初めて。
残念ながら、ハッチョウトンボは撮影できなかったものの、足元の草むらに青紫色の小さなお花が咲いていることに気付きます。
1輪だけとはいえ、ハルリンドウが咲き残っていました。
ハルリンドウも個人的に好きなお花ですが、ハッチョウトンボに導かれたのでしょうか。
いよいよ今年も見納めです。
この環境がいつまで保たれるかは分かりませんが、来年以降も見守りたいと思います。
昨年の記録は上の記事に。
追記。
翌年(2015年)、この山でハッチョウトンボを観測しました。
その日の話は上の記事に。
2014年6月
滋賀県
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