2013年(平成25年)3月の初め、Aさんと1泊の山行に。
のんびり過ごしながら雪遊びでもと、鈴鹿山脈の北端部にあたる霊仙山へ。
山頂は滋賀県犬上郡多賀町にあたりますが、山の北部は米原市、北東部は岐阜県不破郡関ケ原町、東部は大垣市にも跨り、きわめて広い山域を誇る、鈴鹿北部を代表する名峰です。
この日は気温が低く、3月の初めとしては雪も締まっており、稜線の上に出るまでは問題なかったのですが……。
1泊する予定だったため、この日はややのんびりした出発。
榑ヶ畑登山口から霊仙山二合目の「汗ふき峠」、霊仙山五合目の「見晴台」を経て登ります。
雲が多めの空模様、上空の雲の流れは異常なまでに速く、山の上では強い風が吹いているであろうことを予感させます。
多くの下山者さんらと入れ違いになりながら、少しずつ高度を上げていきます。
私たちが山頂下部のカルスト台地に立ったのは午後も遅い時間。
見渡すかぎり、雪上を歩く他の登山者さんは見当たらず、この広い雪原が私たちだけのものかと思うと胸が高鳴りますが、案の定、強い風が吹き荒れており、体重が軽い私にはこれがなかなか辛く。
遮る木々が無い霊仙山の山頂域で風に煽られるのはいつものことで、別段、珍しい話ではありません。
たとえば、同じ鈴鹿山脈の山であれば、御在所岳の望湖台などでも同様の経験が何度もありますが、1000m級の山でここまで強い横風を受けたのは初めてのことでした。
体感気温も低く、他の方々が早めに下山なさっていたのも無理からぬ話。
凍てつく経塚山(霊仙山九合目)から霊仙山最高点と霊仙山三角点を望む。
最高点は左で、三角点は右の奥です。
霊仙山は最高点(標高1094m)と三角点(標高1083.5m)が異なる山で、単純に高低だけで山の頂を判断するのであれば、当然ながら最高峰が「霊仙山の山頂」と見なせるでしょう。
ただ、歴史的な経緯もあり、昔のハイキングガイドブックなどでは三角点峰を山頂とするものもあります。
日没が近付き、この時間帯特有の殴りつけるような暴風に晒され、私は霊仙山九合目の「経塚山」で動けなくなってしまいました。
立っていることもままならず、手近な岩場にしがみつき、じっとこらえます。
横風吹く中、Aさんは果敢にも小走りで霊仙山三角点方面へ。
もちろん、私もついていきたい気持ちはありましたが、ここは我慢。
写真で上のほうに見えているのは三角点ではなく、その東寄りの小ピーク。
Aさん(「小」の字の上)が手にしていらっしゃる赤い物体はソリです。
このような状況でも、あわよくばソリで滑るつもりだ!
約10分後にAさんが霊仙山三角点に到着する姿を確認。
日没時、かつ、暴風が吹き荒れる中、お見事です。
Aさん(「三」の字の下)はカメラを構えていらっしゃるようです。
おそらく夕日を撮影なさってるのでしょう。
霊仙山の最高点や三角点は滋賀県犬上郡多賀町に所在しますが、汗ふき峠からの登山道や経塚山の山頂は米原市との郡市境にあたります。
よって、私は米原市との市境付近に立っていますが、Aさんがいらっしゃるのは多賀町です。
経塚山(霊仙山九合目)から琵琶湖と夕日を望む。雪上に西日が眩しく反射します。
私はなんとか経塚山(霊仙山九合目)から夕日を撮影できました。
広大な琵琶湖や、よく見ると、夕日の左下には沖島も写っています。
この日は蓬莱山と武奈ヶ岳の間あたりに日が沈むと予想できましたが、そちら、比良山地方面は雲で分かりにくいですね。
その後、走って! 私が残る九合目まで戻っていらしたAさんと合流。
雪景色の中、こちらへ向かって走ってくるAさんの姿は力強く、何枚か連続写真を撮影しておきましたが、残念ながら、激しくぶれた写真のみ。
日が沈んでも風が静まることはなく、むしろ激しさを増すいっぽう。
積もった雪が風で巻き上がる浚風、地吹雪めいた現象も続きます。
もっとも、19時頃には雲が失せ、星は綺麗に見えるようになりました。
「オリオンの剣」を肉眼でも容易に確認できる条件下で星景を観望したのはいつ以来でしょう。
風はもはや台風なみと言えるほどの強さ。
残念ながら、暴風環境下で星空を撮影するすべがなく、この日の写真はこれまで。
天気予報では翌日は晴れの予想、この風、それに雲の失せ方、明朝の景色はさぞや美しいものとなるでしょう。
風の音に怖さを感じるものの、期待に胸を膨らませ、そのまま眠りにつきました。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
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経塚山(霊仙山九合目)(地理院 標準地図)
「経塚山(キョウヅカヤマ)(きょうづかやま)」 あるいは「霊仙山九合目」とも標高1040m
滋賀県米原市、犬上郡多賀町(山域は岐阜県大垣市、不破郡関ケ原町に跨る)
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