霊仙山の樹氷 白山や御嶽山を遠望 雪積もる三角点峰から

随分と前の話となってしまいましたが、2013年(平成25年)3月の話。
Aさんと1泊で鈴鹿山脈でも北端部にあたる霊仙山を雪山登山しました。
雲が多かった初日と異なり、2日目はお天気にも恵まれ、澄んだ冬の青空の下、気分よく霊仙山最高点(最高峰)を登頂します。
展望も文句なしの好条件で、遠く加賀白山や伊吹山を背に雪遊びを楽しみました。
続いて、霊仙山三角点を目指します。

霊仙山 最高点と三角点を結ぶ稜線 白い雪原を歩く 2013年3月

霊仙山の雪景色 白山や伊吹山を遠望 最高点から 鈴鹿北部

2013.04.21

霊仙山最高点の話は前回の記事に。
今回はその続きで、霊仙山三角点から撮影した遠景写真や、樹氷の写真を掲載しています。

伊吹山や白山を背に転がり落ちる 積雪する霊仙山にて 2013年3月
伊吹山や白山を背に雪上を転がるAさん。楽しそうです。
念のために申し上げておきますが、事前に雪庇の確認は済ませています。
あくまでも撮影用のお遊びです。

そり遊びもひと段落。
霊仙山最高点に続き、霊仙山三角点の登頂を果たします。

鈴鹿の霊仙山 三角点から白山や小津三山、伊吹山ドライブウェイを遠望 2013年3月
鈴鹿の霊仙山三角点から白山や小津三山、伊吹山ドライブウェイを遠望する。

主な山距離標高山頂所在地備考
四塚山104.7km2530m石川県白山市
七倉山104.7km2557m石川県白山市
大汝峰103.9km2684m石川県白山市
岐阜県大野郡白川村
御前峰
(白山)
103.4km2702.1m石川県白山市
岐阜県大野郡白川村
石川県最高峰
両白山地最高峰
別山98.1km2399.3m石川県白山市
岐阜県高山市
岐阜県大野郡白川村
南白山98.1km2168.6m岐阜県高山市
岐阜県大野郡白川村
権現山
(小津権現山)
36.8km1157.7m岐阜県揖斐郡揖斐川町
花房山39.8km1189.5m岐阜県揖斐郡揖斐川町
雷倉42.4km1168.6m岐阜県揖斐郡揖斐川町
岐阜県本巣市

前日から吹き荒れていた風もおさまり、写真撮影も楽になりました。
「小津三山」雷倉の後方、あるいは別山の手前には二ノ峰~打波ノ頭(越前三ノ峰)~三ノ峰の連なりも写っています。

白山までの直線距離は、霊仙山の最高点峰から、あるいは三角点峰から、ほぼ同等です。
最高点峰と三角点峰の遠景はよく似ていますが、能郷白山の山頂域の見え方に差が生じます。
経度が西に動く三角点からは伊吹山に遮られて能郷白山が見えにくく、上の写真でも分かりにくいです。

鈴鹿・霊仙山 三角点から北アルプス槍ヶ岳、穂高岳、乗鞍岳、御嶽山を遠望 2013年3月
霊仙山三角点から御嶽山、乗鞍岳、北アルプス穂高岳、槍ヶ岳などの山々を遠望する。

山名距離標高山頂所在地備考
槍ヶ岳164.5km3180m長野県大町市
長野県松本市
奥穂高岳160.4km3190m長野県松本市
岐阜県高山市
長野県最高峰
岐阜県最高峰
飛騨山脈最高峰
乗鞍岳140.5km3025.7m岐阜県高山市
(長野県松本市)
御嶽山120.9km3067m長野県木曽郡木曽町
長野県木曽郡王滝村
(岐阜県下呂市)

私は過去に厳冬期の霊仙山から黒部五郎岳まで撮影しており、その日と比較すると、北アルプス方面の見え方はやや劣るものでした。
もっとも、肉眼で明瞭に穂高岳が見えていましたので、それだけでも十分すぎるくらいです。

夜明けの時間帯には赤石岳や聖岳といった南アルプスの山々の頂上部が見えていましたが、この時間帯には曖昧に薄れた見え方となっていました。
他所でときどき話の種としていますが、光岳や加加森山に遮られるため、霊仙山から富士山は見えません。
この日は見えそうになかったものの、日本で2番目に高い山である北岳は霊仙山から遠望できます。

積雪する霊仙山から西南尾根越しに鈴鹿山脈を眺望 御池や雨乞、御在所 2013年3月
積雪する霊仙山から西南尾根と鈴鹿山脈を眺望する。御池や雨乞、御在所といった山々。

主な山距離標高山頂所在地備考
天狗岩
(藤原岳 天狗岩)
14.1km1171m滋賀県東近江市
三重県いなべ市
御池岳
(御池岳 丸山)
11.8km1247m滋賀県東近江市鈴鹿山脈最高峰
鈴ヶ岳10.2km1130m滋賀県東近江市
滋賀県犬上郡多賀町
御在所岳 三角点峰
(御在所山)
29.1km1209.4m滋賀県東近江市
三重県三重郡菰野町
最高峰は1212m
雨乞岳28.8km1237.7m滋賀県東近江市
滋賀県甲賀市
綿向山29.8km1110m滋賀県甲賀市
滋賀県蒲生郡日野町

念のために申し上げておきますが、表中の「距離」は撮影地点からの直線距離を示しています。
鈴鹿の山々の上は早朝から雲が多く、御池岳などの高峰が隠れてしまう時間帯もありましたが、幸い、私たちが三角点に滞在していた時間帯は御在所岳や雨乞岳も見えていました。

海まで40km以上の距離があるため、それなりに条件がよくないといけませんが、霊仙山から見て天狗岩(藤原岳)の左手には伊勢湾を望むこともできます。
霊仙山から伊勢湾が見える、ということじたいは知られていますし、実際に見た、という話もよく聞きますが、そのわりには撮影例を見掛けません。
三角点ではなく、この日、最高点から伊勢湾を撮影した写真を掲載しておきます。

霊仙山の最高点から伊勢湾と知多半島の付け根を遠望 2013年3月
鈴鹿山脈北部の霊仙山最高点から伊勢湾と遠くに知多半島を望む。
撮影地点から遠望峰山(愛知県額田郡幸田町、蒲郡市)まで88.2km。

朝日に伊勢湾が照らされています。対岸は知多半島の付け根。
この日の条件では厳しく、肉眼では到底見えそうになかったものの、計算上、知多半島の向こうには渥美半島の山々まで見通すことができます。
常々申し上げていますが、海を越えての低山や平地の撮影は難しく。

よくよく見ると、三河の三ヶ根山周辺も写っています。
手前の目立つ山ではなく、遠く遠くにうっすらと写っている山影です。
ほぼ見えていないも同然なので、こちらの方角に所在するという参考程度に。

伊吹山、白山と樹氷 真っ青な空 真っ白な雪原 冬の霊仙山にて 2013年3月
樹氷と伊吹山、白山。真っ青な空と真っ白な雪原。霊仙山の西尾根にて。

名残惜しいですが、遠くに望む白山ともお別れです。
下りは冬道の定番である三角点の西尾根から北の谷間に直下しました。
樹氷がとくに目立つコースでもあります。

逆光の樹氷 雪積もる霊仙山にて 鈴鹿山脈 2013年3月
逆光ですが、見応えのある樹氷です。霊仙山ともお別れ。

霊仙山で雪そり大滑走 鈴鹿山脈 2013年3月
Aさん、雪そりで霊仙山を大滑走。

いよいよ雪遊びも最後となりました。
私は谷を挟んだ反対側の斜面の中腹から撮影しています。
Aさんが滑る斜面の上(尾根の上)と下(谷間の底)の比高は25~30m程度でしょうか。

走って登っては滑って下ることを何度も繰り返して遊んでいらっしゃいましたが、よくよく考えてみたら、たとえ20m程度の登りであっても、20回も登れば累積で400mなのですよね。
さすがAさん、なかなかの体力です。

霊仙山から琵琶湖と竹生島を展望 三重嶽や岩籠山など野坂山地を遠望 2013年3月
霊仙山の琵琶湖展望地から竹生島を遠望。野坂山地や高島トレイル北部の山々を一望。

主な山距離標高山頂所在地備考
武奈ヶ嶽43.6km865m滋賀県高島市
三重嶽43.7km973.9m滋賀県高島市野坂山地最高峰
大御影山43.6km952m福井県三方郡美浜町
滋賀県高島市
標高の値は10mDEMによる
三角点は949.9m
赤坂山41.1km823.6m福井県三方郡美浜町
滋賀県高島市
三国山41.6km876.1m福井県三方郡美浜町
福井県敦賀市
滋賀県高島市
乗鞍岳38.4km865.1m滋賀県高島市
福井県敦賀市
野坂岳46.3km913.3m福井県敦賀市
岩籠山
(岩篭山)
42.5km765.1m福井県敦賀市
竹生島25.8km197.3m滋賀県長浜市点名「竹生島」

霊仙山五合目の「見晴台」ではなく、その上の琵琶湖展望地からの眺望です。
高度感こそ山頂周辺より大きく下がりますが、武奈ヶ嶽や三重嶽、大御影山といった高島トレイル北部山域周辺の高峰、それに野坂岳や岩籠山(岩篭山)といった「敦賀三山」など、野坂山地を代表する山々を見渡せる展望スポットと言えるでしょう。

視点を左に。

霊仙山から琵琶湖と沖島を展望 蓬莱山や武奈ヶ岳など比良山地を遠望 2013年3月
霊仙山の琵琶湖展望地から沖島を遠望。蓬莱山や武奈ヶ岳といった比良山地の山々を一望。

主な山距離標高山頂所在地備考
蓬莱山44.8km1173.9m滋賀県大津市
武奈ヶ岳43.1km1214.2m滋賀県大津市比良山地最高峰
尾山
(宝来ヶ嶽)
28.9km220.2m滋賀県近江八幡市点名「沖之島村」

鈴鹿北部や伊吹山地からの遠望における難題である琵琶湖越えはこの日もなかなか。
琵琶湖の対岸、うっすら曖昧ですが、沖島の向こうには京都北山の天ヶ岳や大原三山の山々が見えています。
ある程度、条件が良い日であれば、さらに遠方の愛宕山まで見通せますが、この日は肉眼では確認できず。
上の写真では見切れていますが、この構図の左手には比叡山を遠望できます。

追記。
後年、京都北山の天ヶ岳から霊仙山越しに中央アルプスの山々を撮影する機会がありました。

京都北山 冬の天ヶ岳から琵琶湖、伊吹山、鈴鹿北部、中央アルプス(木曽山脈)を眺望 2016年2月

天ヶ岳から伊吹山、中央アルプスの木曽駒ヶ岳を遠望 京都北山

2016.02.12

ちょうど、今回の記事に掲載している写真と逆の構図になります。
追記終わり。

霊仙山五合目まで下り、いよいよ琵琶湖、そして霊仙山ともお別れです。
風も止み、気温も上がり、私たちが下山する頃には雪解けが進んでいました。
明け方、凍てつく白銀の世界が広がっていたのが嘘のようです。
私たちと入れ替わるように登っていらした方々は、ぬかるむ雪に悩まされたことでしょう。

関連記事 2013年3月 大展望の霊仙山で雪遊び

すべて同時期の山行記録です。併せてご覧ください。

霊仙山(三角点)(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「霊仙山(三角点)」周辺の地図を表示
「霊仙山三角点(リョウゼンザン、リョウゼンサン)(りょうぜんざん、りょうぜんさん)」
標高1083.5m(二等三角点「霊仙山」)
滋賀県犬上郡多賀町(山域は滋賀県米原市、岐阜県大垣市、不破郡関ケ原町に跨る)

ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!