本日、2014年(平成26年)4月1日付で、国土地理院による測量成果(三角点の標高)が改定されました。
三角点の標高成果改定について|国土地理院
国土地理院では位置の基準として三角点を全国に設置しており、水平位置座標と標高を公表しています。この三角点の標高を水準測量に整合した体系とするため、平成26年4月1日に一部離島を除く全国の三角点約10万点について、標高成果を改定しました。
これに伴い、京都府の山々の標高にも変化が見られます。
そこで、主だった三角点峰(標高800m以上の30峰+α)について、新たな標高の値を調べてみました。
皆子山や大比叡など、山頂が他県との府県境に跨るため、設置点の所在地が他県となる三角点も含んでいます。
表の左が改定前(改算前)の旧標高、右が改定後(改算後)の新標高です。
標高800m以上の三角点峰に限定すると、小数点以下を四捨五入する場合、以前と標高が変わるのは皆子山、地蔵山、大江山。
皆子山は972m→971m、地蔵山は948m→947m、大江山は833m→832mとなります。
標高900m以上
山名 | 点名 | 改算前の標高 | 改算後の標高 |
---|---|---|---|
皆子山 | 葛川 | 971.5m | 971.3m |
峰床山 (峰床) | 久多村II | 970.0m | 969.9m |
三国岳 (久多三国) | 久多村I | 959.0m | 959.1m |
鎌倉山 (カマクラ) | 鎌倉岳 | 950.5m | 950.5m |
地蔵山 | 地蔵山 | 947.6m | 947.3m |
ブナノ木峠 | 芦生 | 939.1m | 939.2m |
小野村割岳 | 広河原 | 931.7m | 931.7m |
桑谷山 (経塚山) | 長戸 | 924.9m | 924.9m |
長老ヶ岳 | 長老ケ岳 | 916.9m | 916.8m |
雲取山 (二ノ谷山) | 川上 | 911.1m | 911.0m |
並び(順位)に変動はないものの、京都府最高峰の皆子山は0.2m低くなりました。
京都府に限らず、近畿地方の山は低くなった例が目立ちますが、芦生のブナノ木峠や三国岳(久多三国、近江山城丹波国境)は高くなっています。
標高800m以上 その1
山名 | 点名 | 改算前の標高 | 改算後の標高 |
---|---|---|---|
地蔵杉 | 地蔵杉 | 898.9m | 898.8m |
桟敷ヶ岳 | 桟敷岳 | 895.8m | 895.7m |
イチゴ谷山 (ヘラ谷奥) | 久多 | 892.1m | 892.1m |
愛宕山(三角点) | 愛宕 | 890.1m | 889.8m |
品谷山 | 佐々里村 | 880.7m | 880.7m |
滝谷山 (別所山) | 別所村 | 876.2m | 876.0m |
頭巾山 | 納田終村 | 871.0m | 871.0m |
フカンド (深洞山) | 奥ノ谷 | 853.5m | 853.5m |
天狗畑 (河端山) | 河端 | 848.3m | 848.2m |
大比叡 (比叡山) | 比叡山 | 848.1m | 847.9m (→848.1mに修正) |
愛宕山(の三角点)、比叡山といった有名峰も低くなりましたね。
※
本記事の初稿公開時、4月1日の時点では比叡山の標高は847.9mでしたが、その後、5月26日に標高が848.1mに修正され、改定前の標高と等しくなりました。
詳しくは本記事の追記事項をご覧ください。
標高800m以上 その2
山名 | 点名 | 改算前の標高 | 改算後の標高 |
---|---|---|---|
三岳山 | 三岳山 | 839.2m | 成果の公表を停止中 |
天狗杉 (花背山) | 三輪谷 | 837.2m | 837.0m |
大江山 (千丈ヶ嶽) | 千丈ケ岳 | 832.5m | 832.4m |
オークラノ尾 (大倉谷山) | 田歌 | 826.3m | 826.3m |
魚谷山 | 柳谷 | 816.2m | 816.0m |
ナッチョ (天ヶ森) | 見谷 | 812.6m | 812.5m |
奥ノ谷山 (オクノタン) | 芦生 | 811.0m | 811.0m |
ソトバ山 (タキノタニ) | 祖母谷 | 806.0m | 806.0m |
高庵山 | 高庵 | 801.3m | 801.2m |
八ヶ峰 | 八ケ峰 | 800.1m | 800.2m |
八ヶ峰は標高が高くなっていますね。若丹国境付近は標高に変化がない例が目立ちます。
以上が京都府の標高800m以上の三角点30峰。
続いて、京都盆地(岩倉盆地、山科盆地)を囲む三角点峰のうち、代表的な山をいくつか。
大雑把に申し上げて、盆地の西→北→東→南の順に並べています。
京都盆地の外縁
西日差す清水山の山頂。三等三角点(点名「清水山」)。京都市東山区。
2007年(平成19年)1月撮影。
山名 | 点名 | 改算前の標高 | 改算後の標高 |
---|---|---|---|
鳩ヶ峰 (男山) | 八幡 | 142.3m | 142.4m |
ポンポン山 | 加茂勢山 | 678.8m | 678.8m |
松尾山 | 松尾 | 275.8m | 275.6m |
山上ヶ峰 (北松尾山) | 上山田 | 482.4m | 482.2m |
沢山 | 鷹峰 | 515.8m | 515.6m |
神山 | 神山 | 301.4m | 301.2m |
瓢箪崩山 | 大谷 | 532.2m | 532.0m |
大文字山 | 鹿ケ谷 | 465.4m | 465.3m |
清水山 | 清水山 | 242.3m | 242.2m |
音羽山 | 小山 | 593.2m | 593.1m |
甘南備山(雌山) | 甘南備山 | 201.6m | 201.6m |
大文字山の標高値も低くなりました。
大文字山は466mの時代が長かったため、その値で記憶している方も少なくないでしょう。
この件は追記に補足あり。
以上、2014年4月1日の話。
追記・補足
2014年5月26日付の修正について
三角点の標高成果の一部誤りについて|国土地理院
平成26年4月1日に公表した一部地域を除く全国の三角点約10万点のうち、498点の標高成果に誤りがありました。そのため、誤りのあった三角点について標高成果を再計算し、5月26日に成果の公表を再開しました。
https://sokuseikagis1.gsi.go.jp/SysMsg/hyoko-recalc/hyoko-recalc.html
上記の修正に該当する京都府の三角点は3つ。
このうち、ハイカーにもなじみがある山としては、京都市伏見区の高塚山(点名「高塚」)の標高が484.9mから485.0mに修正されました。
他の2点についても上記リンク先で確認できます。
滋賀県の扱いですが、同様に、大比叡(点名「比叡山」)の標高も847.9mから848.1mに修正されました。
結果的に、4月1日の改定前と同じ値に戻ったことになります。
今回の記事とは無関係ですが、大文字山の南に所在する大津市の逢坂山(相場山)(点名「神出」)も対象となっており、324.4mから324.7mに修正されました。
大文字山の標高について
他の方によるインターネット上の記事 が目に留まったので、久々に追記しておきます。
大文字山の標高について取り上げた良い記事でしたが、せっかく本記事に対してリンクしていただいたので、当方より一点だけ指摘しておきますと、大文字山に設置される三等三角点(点名「鹿ケ谷」)の標高の値が466.0mから465.4mに改定されたのは2002年(平成14年)です。
念のため、この件については国土地理院にも調査を依頼し、確認を取っています。
追記終わり。
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