積雪した佐和山を登山 大雪の彦根と伊吹山を一望 龍潭寺と東山

西日本や北日本を襲った寒波が過ぎ去った2016年(平成28年)1月26日の話。
余呉の豪雪地帯のみならず、前日は彦根も大雪に見舞われ、深く積雪したと聞きました。
次に雪が降ったら金閣を見に行くと予告していたこともあり、やや時間的に厳しいものがありましたが、強引に彦根へと足を運びます。

雪の瑞岳寺・五重塔と瑞岳寺・金閣 彦根・佐和山遊園 2016年1月

大雪の佐和山遊園 金閣と瑞岳寺の五重塔 滋賀県彦根市 閉鎖

2016.01.27

雪の佐和山遊園(佐和山美術館)を訪問した話は上の記事に。

雪化粧した金閣や五重塔を撮影した後、当初は鳥居本から摺針峠か鈴鹿北西端部の山を登るつもりでしたが、佐和山城跡の東山ハイキングコース案内を見て気が変わります。
急きょ、彦根東部の佐和山(さわやま)をスノーハイクすることに。
近江佐和山は石田三成ゆかりの地で、その山上には三成の居城である佐和山城が建っていましたが、関ヶ原の合戦後、落城しました。

積雪する彦根・佐和山の山頂 「佐和山城趾」碑越しに伊吹山を望む 2016年1月
積雪した彦根・佐和山の山頂。「佐和山城趾」碑越しに伊吹山を望む。

大雪の「彦根八景 武士の夢 佐和山」 積雪した彦根城、琵琶湖を俯瞰 2016年1月
大雪の「彦根八景 武士の夢 佐和山」。積雪した彦根城、琵琶湖を俯瞰。

あいにく、霞んで遠くが見えにくい日で、琵琶湖の対岸は望めそうにありません。
空気が澄んでいれば、琵琶湖を跨いで比良山地や比叡山地まで遠望できるでしょう。

時間を遡り、前回の続きから。

佐和山城跡の南麓「東山ハイキングコース Cコース」案内看板と上山口 2016年1月
佐和山城跡の南麓「東山ハイキングコース Cコース」案内看板と上山口付近。

佐和山遊園から国道8号を挟んだ向かい側にあたりますが、この奥には清涼寺さんが設置された看板が立っており、どうもこのコースは登山禁止(入山禁止)のようです。
地形図では破線路の扱いですが、この時点では事情がよく分かりません。
インターネット上では、登山禁止を示す看板の存在について全く触れず、堂々と国道8号からのコースを紹介している記事も見受けられますが……。

雪の龍潭寺(弘徳山龍潭護国禅寺) 佐和山城跡の西麓 滋賀県彦根市 2016年1月
雪の龍潭寺さん(弘徳山龍潭護国禅寺)。佐和山城跡の西麓(北西麓)。

積雪する龍潭寺 東山(佐和山)ハイキングコース入口 石田三成公銅像所座 2016年1月
龍潭寺さんの佐和山・東山ハイキングコース入口。

写真には写っていませんが、この左に石田三成公銅像と佐和山観音さんが。
彦根の龍潭寺(りょうたんじ)は井伊家の菩提寺である遠江の龍潭寺を井伊直政が招いたものです。

彦根市による佐和山ハイキングコース案内 龍潭寺(大洞観音堂) 2016年1月
彦根市による佐和山ハイキングコース案内。龍潭寺(大洞観音堂)側。

彦根市が設置するハイキングコース案内によると、「団体でハイキングされる場合は、山の所有者である清涼寺や龍潭寺の了解を得てください」とのこと。
ソロハイクで龍潭寺さんから登山するか、龍潭寺さんの北側にある長寿院さん(大洞弁財天)から弁天山を経て登山する分には問題ない、ように見えます。
ですが、山中や山頂に清涼寺さんが設置されている看板には、「無断入山禁止 佐和山は、清涼寺の境内地です。団体入山の場合は清涼寺の入山許可を得て下さい」とありました。
両者の看板を見比べるかぎり、彦根市と清涼寺さんでは微妙に言い分が異なりますが、地権者がどなたであるかよく分かりません。
清涼寺さんは龍潭寺さんに隣接するお寺さんで、代々、彦根藩井伊家の墓所となっています。
少し拝見した感じ、ハイキングコースの案内のようなものは見当たりません。
佐和山の西麓には井伊家ゆかりのお寺さんや神社さんが密集していますが、ハイキングコースの案内があるのは龍潭寺さんと長寿院さんです。
山中や山頂に立つ清涼寺さんの看板はやや強い口調で書かれていますが、佐和山は手軽に登れるわりに見晴らしの良い山で、心無いハイカーらに山を荒らされて辟易なさったのでしょう。
少なくとも単独行でひっそりと登る分には問題なさそうですが、よく心しておきます。

どの上山口を選ぶにせよ、山頂との比高は150m未満の山ですので、雪が無ければ短時間で登頂できるでしょう。
前日の大雪で深く積雪していたことに加え、どちらかと言えばゆるんだ雪質で、強く足を踏み込むと脛まで沈みます。
アイゼンやチェーンスパイクは必要なく、スノーシューやワカンであれば歩きやすいでしょうが、大した距離・高さでもないため、何も考えずに雪山用の靴で登ります。
地形図の密な等高線から容易に推測できますが、山頂付近は急登を余儀なくされ、階段道も雪中に埋もれて隠れており、やや凍っていた地点のみ雪を蹴り込みました。
登りはおおむね晴れており、風も弱い日で、午後になり気温も上昇したことから、厚着では暑さを感じるほど。

雪の彦根を佐和山から一望 彦根市街、跨線橋、彦根城、荒神山、琵琶湖、沖島 2016年1月
雪の彦根を佐和山から一望。彦根市街、彦根駅跨線橋、彦根城、荒神山、琵琶湖、沖島など。

主な山距離標高山頂所在地備考
三上山33.1km432m滋賀県野洲市近江富士
鶴翼山
(八幡山)
22.7km271.7m滋賀県近江八幡市最高点は約280m
津田山
(奥島山)
21.9km424.5m滋賀県近江八幡市現地道標では「姨綺耶山」
尾山
(宝来ヶ嶽)
20.1km220.2m滋賀県近江八幡市点名「沖之島村」
荒神山8.3km284m滋賀県彦根市

佐和山は低山ながら眺めの良い好展望の山で、眼下の彦根や琵琶湖のみならず、少し場所を変えれば湖東や湖北をも一望できます。
遠くまで見えやすい好条件の日であれば、琵琶湖の対岸に湖西の山々や、ごく一部、京都の山や湖南の山なども見通せるでしょう。

この日はあいにくの霞み空で、かろうじて「近江富士」三上山や津田山(奥島山)、琵琶湖に浮かぶ沖島は見えていましたが、それより遠くは見えにくく。
沖島の遠方にうっすら見えているのは比叡山の北尾根で、彦根城の遠方にうっすら見えているのが南比良の蓬莱山ですが、まず分からないでしょう。
佐和山の山頂から見て、彦根城の天守閣と蓬莱山は直線上に並びます。

広角レンズで撮影した写真では彦根城も分かりにくいでしょうか。
彦根駅でも西側は写っていますが、東側は左端で見切れています。

左下に県道518号彦根城線の赤い跨線橋が見えています。
JRの線路を跨いでいますが、近江鉄道の線路は左端で岐れて見切れています。
この先で近江鉄道本線は佐和山をトンネルで抜け、鳥居本へ。

近江佐和山城跡から積雪した彦根城、旧港湾、琵琶湖を遠望 2016年1月
近江佐和山城跡から積雪した彦根城周辺、彦根旧港湾、琵琶湖を遠望する。

左下の彦根旧港湾(旧彦根港)に釣り人さんらが写っていますね。
鴨川等間隔の法則ならぬ、桟橋の方々も等間隔を維持していらっしゃるようです。
佐和山から船町のあたり(や彦根城)が見えているということは、逆もまたしかりで、船町や彦根城から佐和山の山頂を見通せます。
下山後に確認しましたが、彦根城側から見ると佐和山城跡は木が少なく、禿げているように感じます。

雪の湖北を佐和山から眺望 フジテックの研究塔、伊吹山と金糞岳 滋賀県 2016年1月
雪の湖北と伊吹山、金糞岳を佐和山から眺望する。フジテックさんの研究塔など。

主な山距離標高山頂所在地備考
金糞岳30.6km1317m岐阜県揖斐郡揖斐川町
滋賀県長浜市
ブンゲン
(射能山)
27.8km1259.7m岐阜県揖斐郡揖斐川町
滋賀県米原市
虎子山24.7km1183.2m岐阜県揖斐郡揖斐川町
(滋賀県米原市)
伊吹山19.7km1377.3m滋賀県米原市滋賀県最高峰
田村山9.2km138.0m滋賀県長浜市

フジテックさんの白いエレベータ研究塔が目立ちますね。
この研究塔は地上高170mで、京都タワー(地上高131m)や大津プリンスホテル(地上高137m)の高さを上回っており、京滋の構造物(建造物)としては最高の高さを誇ります。
湖北の風景の中では明らかに異質な印象を受けますが、雪景色と一体化しているように感じなくもありません。
伊吹山とエレベータ研究塔、滋賀県で最も高いと見なせるものが2つ、同じ構図に収まります。

この日、佐和山には私の他にもハイカーさんがいらっしゃいました。
伊吹山の左の山がどこか尋ねられたので、「あの高いのが金糞岳で、その右がブンゲンと虎子山(とらすやま)ですね」とお答えしましたが、後で調べてみたら、虎子山の南の約1180m小ピークと重なるため、虎子山の山頂はやや分かりにくいようです。
もっとも、虎子山の山頂付近が見えているのは確かですから、誤りとまでは言えません。
その方は横山岳がどこかを気にされていたので、「横山岳は金糞岳の左(西)ですが、ここからだと見えにくいですね」と申し上げると、頭の中の地図と照らし合わせて納得していらっしゃいました。
他にも滋賀県の山々についてお話をしていたら、あっという間に時間が経ってしまいます。
その方は私より随分と年上の方でしたが、「貴方のような山に詳しい人と逢えてよかった」と喜んでくださいました。

登頂時は金糞岳と、その左に白倉岳(白倉ノ頭)が見えていましたが、その方とお話ししている間に雲も増え、さらに霞んでしまいました。
上の写真では白倉岳には雲が重なっており、まず分かりません。
彦根(の山)から長浜(の山)と考えると近いような気もしますが、佐和山から金糞岳は思いのほか遠く、実は直線距離で30kmも離れており、先ほどの近江富士などの見え方からすると、金糞岳が見えにくいと感じるのも順当でしょうか。

左端の隅にちらっと琵琶湖の端が見えていますが、その右に小さく田村山が写っており、琵琶湖でも長浜港と長浜ドームの間あたりの湖面だと分かります。

佐和山の山頂(三角点232.6m) 深く積雪した佐和山城跡 滋賀県彦根市 2016年1月
佐和山の山頂。三角点232.6m。滋賀県彦根市。低山ながらも深く積雪した佐和山城跡。

間に名神高速道路や東海道新幹線が通じているため、地図を一見すると、佐和山と鈴鹿北西端部の山々は切り離されているように感じますが、大昔は繋がっていたそうです。
弁天山や佐和山は広義の鈴鹿山脈の北西端と見なせます。

整理と時間の都合で記事を分けます。

雪の彦根城天守を遠景で 佐和山城跡(佐和山山頂)から撮影 2016年1月

雪の彦根城天守を佐和山城跡から遠望 石田三成、井伊直政の城

2016.02.06

続きは上の記事に。

関連記事 2016年1月 雪の彦根・城めぐり

佐和山(地理院 標準地図)

クリック(タップ)で「佐和山」周辺の地図を表示
「佐和山(サワヤマ)(さわやま)」
標高232.6m(三等三角点「石ヶ崎」)
滋賀県彦根市

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ABOUTこの記事をかいた人

Maro@きょうのまなざし

京都市出身、京都市在住。山で寝転がりながら本を読むか妄想に耽る日々。風景、遠望、夕日、夜景などの写真を交えつつ、大文字山など近畿周辺(関西周辺)の山からの山岳展望・山座同定の話、ハイキングや夜間登山の話、山野草や花、野鳥の話、京都の桜や桃の話、歴史や文化、地理や地図、地誌や郷土史、神社仏閣の話などを語っています。リンク自由。山行記録はごく一部だけ公開!