「『あべのハルカス』は滋賀から見える？」
滋賀県から超高層ビル「あべのハルカス」（大阪市阿倍野区）を望むにあたり、どこまで遠く離れた場所から見える（どこから見える、遠望できる、撮影できる）のでしょうか。
「カシミール3D」 を用いて、国土地理院が提供するベクトルデータ「基盤地図情報（数値標高モデル）10mメッシュ」（DEM10B）を基に「可視マップ」を作製、「滋賀県のどこから『あべのハルカス』が見える」か、その範囲を計算、調べてみました。
「岐阜県から『あべのハルカス』の最遠望地点は？」 と重なる点が多いため、こちらではより厳密に最遠望地点（見える範囲、見える場所）を検討することにします。
滋賀県からの最遠望地点は近畿地方（関西）からの最遠望地点となります。
図の紫色の地点が計算上の「見える範囲」（可視エリア）となります。
伊吹山地、近江美濃国境（湖北、西美濃）
金糞岳、白倉岳（白倉ノ頭）
岐阜県揖斐郡揖斐川町、滋賀県長浜市
「あべのハルカス」までの距離 125.3km（金糞岳）、124.6km（白倉岳）
岐阜県と滋賀県の県境にあたる近江美濃国境尾根（湖北の山、西美濃の山）の稜線上、滋賀県で2番目に高い山でもある金糞岳が「あべのハルカス」から125.3km離れており、計算上、「滋賀県から『あべのハルカス』が見える最遠望地点」 となります。
「近畿地方（関西）から『あべのハルカス』が見える最遠望地点」 でもあります。
白倉岳（白倉ノ頭）や、その周辺の稜線は金糞岳までの距離に及びません。
広義として山域で申し上げる場合であっても、滋賀県の第2位峰であり、また、地形図に山名が表示される金糞岳の名前を優先するのが適切でしょう。
以前は白倉岳を指して「西峰」と呼ぶ方もいらっしゃったこともあり、あくまでも金糞本峰に対する支峰の印象が強いです。
現状、金糞岳の山頂周辺は深い藪に覆われており、琵琶湖方面の展望は期待できないため、無雪期に山頂から「あべのハルカス」を遠望するのは困難なものの、山頂から約0.15kmほど西に下った地点が開けており、十分な視界を確保できます。
この山域は豪雪地帯として知られており、視線が藪の高さを上回る量の雪が積もることも珍しくありません。
そのため、積雪期であれば、山頂から「あべのハルカス」まで見通せるでしょう。
現地の環境等は上の記事に。
滋賀県の他の遠望が可能な地点
滋賀県最高峰である伊吹山、さらに、霊仙山周辺（霊仙山、谷山の南稜）、鈴鹿山脈最高峰である御池岳周辺（御池岳、鈴ヶ岳）、藤原岳周辺（天狗岩、藤原岳）、御在所岳周辺（雨乞岳、御在所岳、鎌ヶ岳、宮越山（水沢岳））など。
距離としては短くなりますが、好展望地として比良山地の山々を挙げることができます。
また、滋賀県大津市に所在する逢坂山は、全域が滋賀県にあたる山でありながら、「あべのハルカス」を容易に遠望できるスポットです。
いわゆる比叡山は、一本杉（京都精華大学叡山閣）、登仙台駐車場（ロテルド比叡の下、あるいは一本杉の横）、比叡ビュースポット（ケーブル比叡駅の南）、ガーデンミュージアム比叡（四明岳）、玉体杉（横高山の南）などから「あべのハルカス」を遠望できますが、一本杉や登仙台、それに玉体杉は京都府との府県境、その他は明確に京都府に所在します。
比叡山でも立脚点の全域が滋賀県だと見なせる地点から「あべのハルカス」を遠望するのは意外に難しく、現状では開けた展望地を確保できません。
しいて挙げれば叡山閣のテラスが滋賀県にあたりますが、一般の立入は禁止されています。
最後に
金糞岳、白倉岳の周辺は見晴らしのよい展望地、尾根を抱えていますが、やはり、125kmという距離の壁は厚く、日中の撮影は困難をきわめるでしょう。
今後の視認例（確認例）、撮影例が楽しみです。
本記事の内容は2013年10月、ならびに2014年1月時点での見解であり、提供されるデータの更新により、今後、計算結果が変わる可能性があります。
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